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2004年 11月 07日 ( 2 )

アジアの匂い バリ島ウブドの休暇/夏目芳雄著(新風舎)

夏目芳雄著「アジアの匂い ~バリ島ウブドの休暇~」(新風舎)のご紹介。

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by y_natsume1 | 2004-11-07 20:11 | 夏目芳雄の著作物

肉骨茶


(注)マレーシア駐在時の文章:

「肉骨茶」と書いて何と読むか、ご存知だろうか。マレーシアやシンガポールに駐在していた経験のある方ならば、一種の懐かしさをもって、たちどころに「バクテー」と答えられるだろう。

これは中国系の人々の朝飯だ。骨付き豚肉、豚のモツ、マッシュルーム、白菜、ゆば、油揚げなどを漢方薬のスープで煮込んだ料理である。肉骨茶はクレイポット(土鍋)に入れられ、ご飯、中国茶と一緒に出てくる。クレイポットはあくまで人数分の肉骨茶が入る程度の大きさである。骨付き豚肉は柔らかくなるまで煮込まれており、骨と肉がするりと簡単に離れる程だ。ご飯にスープをかけながら、あるいは骨付き豚肉を上にのせながら、食べる。酒を飲んだ後のラーメンがうまいように、二日酔いの朝など、この漢方薬ベースのスープはうまい。酔い覚めに良い、とはこのことである。

肉骨茶を供する店は、通常、朝から昼過ぎにかけて開いている。エアコンのきいたレストランではなく、全てホカーレストラン(屋台)形式である。開いていても、午前十一時くらいになると、良い部分の肉はもうなくなって、モツしか残っていないこともある。僕はモツも美味いと思うけれど。中国茶は、店によっては、鉄観音や烏龍など、好みの茶を選ばせてくれるところもある。屋台であるから、ある程度は清潔さにも目をつぶらないといけない場合がある。日本人のご婦人方の中には、苦手の人もいるようだ。特に、お茶を注ぐおちょこや、お箸、お皿などは、熱湯の入った容器にまとめて入れられて、無造作に出てくる。僕などは、返って衛生上は問題ないようにも思えるが、ご婦人方は、「これって、ちゃんと洗ってないわあ、やっぱり不潔だわあ」、と感じるようである。我が愛妻は全く大丈夫であったが、一緒に連れて行った彼女のお友達は、苦手のようであった。少々残念。我々はこういった屋台で一度もお腹をこわしたことはない。こわすような屋台に行っていない、とでも言おうか。念の為。

マレーシアで肉骨茶を食するのは華人以外は主に日本人などであって、マレー人、インド人は食べない。イスラム教は豚肉を食することを禁じているから、マレー人が食べないのはあたりまえである。インド系は牛肉のみがヒンドゥー教で禁止されているが、習慣上豚肉も食べない。ヨーロッパ系の人達が食べているのも見たことがない。

さて、肉骨茶については、地元の華人の間でも、ここが美味い、いや、あそこの方がいい、などと言っているそうである。だいたい、シンガポールの華人はシンガポールの肉骨茶の方がうまいと言うし、マレーシアの華人は、マレーシア、特にクランのものがいいという。僕はシンガポールで肉骨茶を食べたことはないので、どちらがおいしいかはわからない。ただ、クランの肉骨茶は本場、発祥地、と言われるだけあって、本当にうまい。駐在当時は土曜日か日曜日の朝、ゴルフの予定がない時など、前夜のお酒で眠い目をこすりながらも、車でフェデラルハイウェイを三、四十分間とばして、ポートクラン方面の、そのお店に向かう。ジャスコがある近辺で高速を下りてすぐそばにある。話はそれるが、ポートクランは、クアラルンプールから南西へ三、四十キロの位置にある。大昔を知る人には、旧ポートスェッテナムという地名の方が通りがいいかもしれない。元来、ペナン島やシンガポール島はマレーシアにとって、交易上、重要な島であったが、シンガポールが現マレーシアから分離独立した際に、それに代る港湾を開発する必要が生じたそうである。これがマラッカ海峡に位置する現ポートクランである。

クラン以外にも美味い店は多い。クアラルンプール市内のジャラン・インビ辺りにある店もそうである。ここのスープはクランのそれよりもしょう油味のような感じが強い。一人前十二リンギから十五リンギくらい。

サンダカンからコタキナバルという所に一人旅した時、コタキナバル市内のガヤ・ストリートにあるお店で食べたこともある。この地域は肉骨茶の店は朝ではなく、夜中に開いている。朝は雲呑麺(ワンタンミー)という中華そばを出している店が主流であり、実はこれもうまい。さて、夜中に、肉骨茶の店を見つけ、すかさず入って食べてみた。そこもやはりおいしい。お世辞抜きである。安くて一人前六リンギだったように思う。 
 
ちなみに、現在、コタキナバルは、ボルネオ島北部のサバ州の州都となっている。木材の積出港として有名だったサンダカンと共に、元々北ボルネオの中心都市であった。英国の植民地だった時代には、英国風にジェッセルトンと呼ばれていたそうだ。今でもコタキナバルには、趣味の良さそうな英国調のホテル・ジェッセルトンがあり、旧地名の名残を留めている。旧ジェッセルトンという地名は、山崎朋子の書いた「サンダカン八番娼館」にも登場する。
 
日本に帰国した人達の中には、肉骨茶のスープの味が忘れられず、自宅で作ってみる人もいるようである。けれど、悲しいかな、同じ味は出ないそうだ。火力が違うのか、他に理由があるのか。とにかくマレーシアで買ったパックを利用して調理しているのに、である。おまけに匂いが自宅内に染み付いてなかなか消えないらしい。

肉骨茶のようなものは、やはり東南アジアの屋台で、ふうふう言いながら汗をかいて食べる方が、いいのかもしれない。ポートスェッテナムもジェッセルトンも、今では別の呼び名に変わっているけれど、肉骨茶の美味さはこれからも変わらないハズだ。

By 夏目芳雄
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by y_natsume1 | 2004-11-07 15:29 | マレーシア駐在記