人気ブログランキング | 話題のタグを見る
カテゴリ
Entrance ようこそ
Biography 略歴
夏目芳雄の著作物
Moon
アジア的独白
鎌倉湘南Seaside
酒×酒
Back Street Days
四国
Music Bang Bang
Jazz Night
ビートニク
マレーシア駐在記
シンガポール
ベトナム
南の島
韓国
中国
キューバ
メキシコ
アメリカ
Books
日々の雑文
子供語録
ごはん
映画言いたい放題
過去の映画評「あ」
過去の映画評「か」
過去の映画評「さ」
過去の映画評「た」
過去の映画評「な」
過去の映画評「は」
過去の映画評「ま」
過去の映画評「や」
過去の映画評「ら」
過去の映画評「わ」
その他
大阪
京都 奈良 滋賀
神戸
関東甲信越
以前の記事
2024年 03月
2023年 12月
2023年 11月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 06月
2023年 05月
2023年 04月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2012年 12月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月


女はみんな生きている

仏映画。組織に追われて重症を追った娼婦を助ける主婦。物語は娼婦と主婦の、組織からのサバイバル・ゲームである。どこかコミカルでユーモアがあるヨーロッパ的な映画。退屈しない、メリハリの利いた展開。これは女性に特に受けるだろうなぁ。娼婦が自分の過去を独白するくだりはシリアスでとてもいい。その後の展開に説得力を持たせるのに充分なエピソードだ。主婦の夫や息子は、彼女を家政婦程度にしか思っていない。息子は自分の生活にも怠惰だし、二股をかけているガールフレンドたちに対しても不誠実。夫は夫で妻にアイロンがけや洗い物などを早くやれと言うだけであって、家族にも実の母親にも冷たい。主婦は内面的には爆発寸前だったのである。一方、娼婦の家族も男性を徹底的に悪く描いている。娼婦の父は結納金欲しさに娼婦やその妹をアルジェのおっさんと結婚させようと売り渡そうとするし、オトコの兄弟は姉(娼婦)や妹に偉そうに食事の用意を命令するだけである。そう、オトコはとんでもなく悪くてくだらない生き物という視点だ。これは女性監督による、アホな男性たちに反旗を翻す女性の痛快な物語だ。ほぼ同世代の、したたかで百戦錬磨の娼婦と、その日暮らしで遊びほうけるだけの息子のガールフレンドたちを暗に対比させているのも良い設定ですね。

あまり目立たない部分なのですが、主婦の暮らしているアパルトマン内のシーンで、壁に書画がかかっているカットがあります。その書は「福」という一字なのですが、上下逆さまにかかっている。これを作者が無意識にやったのだとしたら小道具の使い方が中途半端というかなってないわけだけど、もし意図的に逆さまにしたのなら、ユーモアたっぷりで秀逸だと思う。幸福の反対に位置する主婦の状況にぴったりの表現だからね。

  ***上記の補足***

逆福について補足します。
元出版社勤務だった某友人のご指摘。
中国では逆さまにかけることに意味があるそうです。「福到了」(福が来る)と「福倒了」(福がひっくり返る)の「ダオ」が同じ発音なので、わざと逆さまにして、福が来るように、という願掛けをしているんだってさ。
中国語を習うとよく出てくる話らしいよ。
僕が知ってるのはせいぜい旧正月に紅包(アンパオ)とマンダリンオレンジ持ってって「恭賀新喜」とか「恭喜發財」って言うことぐらいだからねぇ。

「女はみんな生きている」のあのシーンはほんの2,3秒しかないので映画を観ても気づかない人も多いかもしれない。何気ない短いシーンですが、個人的にはとても印象深かったので「オススメ映画」で書きました。かえって自分の教養のなさを露呈してしまいましたが(苦笑)、文脈的には合っていたから助かったかな。某友人よ、いつもサンキュー。ほんまに何でもよう知っとる人やもんなぁ。これで監督たちが意図的に演出したシーンだという可能性が高くなってきたような気もします。真相をいつか知りたいですわい。

*** ***

この手の映画は、カップルで観るにはあまりオススメしないけど、一人で深夜にクスっと笑いながら、でも心のどこかで真剣に考えながら観てしまう、そういう傑作ではないかと思います(笑)。
by y_natsume1 | 2004-11-09 17:51 | 過去の映画評「あ」
<< 木更津キャッツアイ ヘブン・アンド・アース 天地英雄 >>




夏目芳雄の東南アジア・映画・ジャズ・酒などに関するよもやま話です。
by y_natsume1
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧