ポール・トーマス・アンダーソン監督。主演アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン。映画の始め、大きなトラックが怒涛のように過ぎ去る演出効果で、のっけから期待させる。決して若くはない男女の、ちょっと変わったラブストーリーと申しましょうか。パンチドランク=イッパツ食らったような「一目ぼれ」の恋。主人公はちょっと変わってる。食品会社の広告宣伝のミスをついて食品ラベルに付いているマイレージをがんがん集めたり、普段は7人もいる姉たちに虐げられていて突然キレてガラスを割ったり、つまらないことでクレーム電話をかけたりする。その主人公になぜかエミリー・ワトソンのような「いい女」が興味を持つ。不思議な設定ではある。しかしその分、ハリウッド映画の典型である美男美女の恋愛ものより、こちらのちょっとダサい男女のぎこちない恋愛模様の方がよっぽど好感がもてる。
PTアンダーソン映画(「マグノリア」、「ブギーナイツ」)や、他の独立系映画(「ワンダーランド駅で」、「あの頃ペニーレインと」)などで常に一風変わった役を演じてるフィリップ・シーモア・ホフマンが本作でもいい役で出演しています(詐欺的なダイヤルQ2業者の元締め役)。いつもちょい役ですけど印象深いのでご注目を。彼って、デビュー当時には例えば「セント・オブ・ウーマン」(アル・パチーノがアカデミー主演賞獲得)で卑怯な高校生役を演じてたけど、その頃から既に印象度は強い。
この映画、とてもオススメなんですけど、ただ、音響効果で使われているドラムスや音楽は僕はあまり好きではないなぁ。どうも落ち着かない。そこが難点かな。監督にはそれなりの意図があってああいうサウンドを取り入れてんだろうけどね。