最近ケーブルTVの放映で観た。1959年、岡本喜八監督の東宝アクション。作品としては実はそれほど大したことはない。そう言ったらここでオススメする意味が薄れて身もふたもないのですが、作品の完成度よりもむしろ、今だからこそ感じて欲しい、あの時代の色使いやデザイン、心意気などの良さを、ということでご覧になって頂きたい映画。僕のお気に入りの監督である岡本喜八が「独立愚連隊」で大ブレイクする直前のカラー作。鶴田浩二、宝田明、三船敏郎、他の出演。小気味いいというか歯切れのいい演出。まぁ、映画全体のスピード感は同じ岡本監督の「顔役暁に死す」の方がすごいけどね。バーのホステス役・草笛光子がかなり色っぽい。美人。当時彼女はまだ20代半ばだっただろうけど、さすがです。平田昭彦もダンディ。それより何より・・・佐藤允っていう俳優は「怪優」だね。日本のリチャード・ウィドマークって感じ(・・・分かる?分かる人はすごく映画に詳しい人です)。 佐藤允の個性は日本人俳優には珍しいよね。それまでの東宝に、いや日本映画界自体にいなかったユニークなタイプ。そしてユニークと言えば、カメラのアングルもとてもユニーク。広げて立った両足の間から(下から上の角度で)相手を撮ったり、殴られた相手が画面のこちら側(映画を観ている人の目の前)に飛んでくる角度で撮ったり。この映画は一般的な意味では古くてマイナーなので(ギョーカイでは有名ですけど)レンタル店では見つけにくいかもしれませんが、ぜひ観てみて下さい。当時の外車や俳優の着ているスーツを見るだけでもいいです。色使いやデザインがカッコイイよ。新宿のジャズクラブのセット(?)もステキ。僕もあの時代に20代で楽しみたかったなあと思わせるほど。