2007年6月13日(水) 於 上海。 出張。
雨が降っている。
ドラマティックなことがいくつか起こる日だ。
この日の仕事を終え、香港人(というより広東人だな)、上海人、韓国人などの同僚たちと夜の街に出る。
「負け戦」 は、結局、まだ続いていて、
それは上海の排気ガスをも飲み込み、
悲しげな青島ビールと、
(映画「ブエノスアイレス」風に言えば)大いなる生の肯定へと走るウィスキーを、
同時にもたらす。
韓国人の同僚がBombと呼ぶ飲み方。
昔、ダブルファックとアメリカ人が呼んでいたような気がする。
ビールにがんがんウィスキーを混ぜて、
一人一人と乾杯するごとにイッキ飲み。
したたかに、酔う。
英語と上海語とマンダリンと日本語と韓国語が飛び交い、
僕はオパールの幻想と一緒にダイスを振って遊ぶ。
サイコロの目は、吉と出たか、凶と出たか。
「凶」 と出たならそれは 「狂」 でもあるのか。
前日に受け取った、ある男からの、いわばラブレターは、
僕の「負け戦」を敬意と真摯な精神と共に高く評価しているが、
すでに時は流れている。
雨に濡れた浦東(プドン)の夜景は、
ここが魔都であることを教え、
僕と素晴らしい仲間たちとの夜を、彩るのだ。
ただ、月は見えず、オパールは見つからない。
(続く)
♪ テーマ曲
「ウェルカム上海」 by 吉田日出子 ♪
関連記事:
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「サクラ、 チル」
関連書籍:
「上海游記」 by 芥川龍之介
「どくろ杯」 by 金子光晴
どくろ杯
金子 光晴 / 中央公論新社