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お正月 ~ハリラヤプアサと中国旧正月~

(注) 1998年ごろ、マレーシア駐在当時の文章:


日本では12月を師走といい、何かと慌ただしい時期である。

そして年末年始は、サービス業など一定の業種を除いて、だいたい12月27、28日頃から正月3日ぐらいまで休暇に入る企業が多い。

言うまでもなく、12月31日が大晦日、明けて1月1日が元旦であり、暦のとおりお祝いをするのが日本の習しである。年越しそばやお雑煮の世界である。

一方、マレーシア企業では12月31日までみっちり働き、1月1日は祝日で、年明けは2日から出社するのが普通である。僕の場合もそうであった。

それでは、マレーシアの人々は年末年始をお祝いしないのか。いやいや、そんなことはない。ちゃんと別の時期にお祝いはするのである。



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マレーシアは多民族国家であり、お正月は民族と宗教によって異なる。

一番影響も大きく、大々的な雰囲気になるのがマレー人のハリラヤプアサと中国系の人々のチャイニーズ・ニュー・イヤー(中国旧正月)である。

インド系タミール人のお正月は毎年、4月14日の一日だけで、しかもその日はマレーシアでは祝日でないこと、インド系は総人口の一割ぐらいということ、等から、先の2つのお祝いの方が規模、印象の点では強いものがある。


ハリラヤプアサとは、イスラム教徒であるマレー人の、断食明けのお祝いである。

ハリは日、ラヤは祝い、プアサは断食を意味するマレー語だそうである。

ムスリムは、病人、子供、妊婦などを除いて、約1ヶ月間、ラマダンと呼ばれる断食を行う。ラマダン期間中は日中は水も飲めず、煙草も吸えない。日中に食事しているところを見つかると宗教警察に通報される。

けれど、丸々1ヶ月間何も飲まず食わず、ということではない。夜になれば食事や水分をとることが許される。

イスラム教は豚肉を食すことを禁じており、他の動物の肉や油もおはらいをしたものに限られる。こういったムスリム用のレストランをハラル・レストランという。

ムスリムはノン・ハラル(=ハルム)では食事できない。断食シーズンは、当然、ハラル・レストランは開いていない。だから、断食期間中の夕刻になると、急いで帰宅して「家庭でのブレクファスト」をとろうとする為、その時間帯は道路渋滞がひどくなる。

断食が始まる日、終わる日は、月の満ち欠けに基づくイスラム暦をみながら決めてゆく。

年によって時期はずれるが、だいたい12月後半から一月中のいつかに始まり、約1ヶ月続く。ハリラヤプアサ、つまり断食明けの日付は、ある程度は予想して祝日としてカレンダーにも印刷されている。しかし、月の満ち欠けによるため、直前になるまで正確な日付は、はっきりとはわからない。ハリラヤは彼らにとってのお正月である。

オープンハウスと称して、食事に招待する。中国系、日本人なども招待を受けることがある。訪問時間は特に決まっていないことが多い。一定の時間帯のうち、好きな時に伺い、食べて帰る。

首相など閣僚もオープンハウスを行う。これには一般人も参加して構わない。首相のオープンハウスには毎年、3、4万人もの人々が列をなして訪れる。首相と握手し、言葉を交わす為だ。お疲れサンである。

チャイニーズ・ニュー・イヤーについては日本でも意外と馴染みがあると思う。

横浜、神戸、長崎など、チャイナタウンのある街でも、旧暦(太陽太陰暦)のお正月を祝うからだ。おおよそ西暦の1月末前後になる。

東南アジアの各国は経済的に華僑、華人の影響が強い。メインランドチャイナ(大陸の中国)や台湾、マレーシアのチャイニーズだけでなく、シンガポール、タイ、ベトナムなどのチャイニーズも旧正月を祝う。

これらの国々でも企業、官公庁とも休みになる。

中国系の人々は、旧正月の大晦日の夜には家族や親戚一同が本家に集まり、夕食のテーブルを囲む。この時ばかりは一族優先である。

日本と同じようにお年玉の習慣もある。

紅包(アンパオ)と呼ばれる赤い袋にお金を入れて渡す。袋には「恭賀新禧」とか「恭禧發財」(コン・シー・ファー・チャイ)と書かれている。

「恭禧發財」は一獲千金とでも言おうか、「財産がころがりこんでくる」ということから転じて、「お金が儲かりますように、新年おめでとう」の意味でよく使われる言葉である。

お金、商売繁盛を尊ぶチャイニーズらしい言い方だ。

アンパオは特に子供だけもらえるもの、と決まっているわけでなく、家に新年の挨拶に訪れた人で独身であれば、大人でももらえるそうである。

年が明けると、チャイニーズ・レストランでは正月メニューとして、日本の七草がゆならぬ、野菜と混ぜ合わせた生魚(イー・サン)を出す。チャイニーズは普段、生魚を食べない人が多いけれど、この時は別だ。

おめでたいということで、旧正月中は縁起ものの獅子舞(ライオン・ダンス)も見ることができる。

僕が生まれ育った四国の田舎町でも獅子舞はお祭りの時によく見かけたものだ。
小さい頃は当たり前のようにそれを眺めていた。
中国系の文化の中にいると、マレーシアのライオン・ダンスも日本の獅子舞も、やはり中国大陸からの伝来なんだなと思うわけである。

ちなみに、ライオン・ダンスはマレーシアの日系企業の新工場オープン記念式典などでもよく催される。僕も招待を受けてそのような式典に出席するのであるが、そういった時も大抵、ライオン・ダンスを見ることができる。

中国系の社会ではミカンも縁起ものである。

そこでライオン・ダンスの際に、ミカンをお金に見立てて食べるシーンを見せる。
ダンスの最後には現地法人の社長の前や、銀行関係者などの前で、ミカンを配る演技をする。

商売繁盛を祈るわけである。

中国語ではミカンの発音が金(ゴールド)と似ているからだとか、「柑」が「吉」を連想させるからだとか、いろいろいわれがあるようだ。

だから、ミカンは年始の贈物としても用いられる。単身赴任の駐在員宅では他に家族もおらず、一人では食べきれないくらいのミカンが、異様に増えてゆく時期でもある。縁起ものだから捨てるわけにもいかない。ご近所に配り直したりする。


チャイニーズ・ニュー・イヤーの休暇中は、市内の主だったデパートやスーパーが休みになる。

日本人駐在員は家族とともに、あるいは家族に会いに、一時帰国する人が多い。

航空券は数ヶ月ほど前から予約が入っている。ある程度予定を見越して、いくつかのパターンで、ダミーででも複数の予約を入れておかないと、直前の予約では満席で帰れないことになる。

子供のいない若手夫婦の場合、プーケット、夏の季節のオーストラリア、モルジブやフィリピンのダイビングポイントなどに行く人もいる。バンコクやニュージーランド、トルコなども候補地としてはよく話題にのぼる。

これらの旅行先は、場所によっては日本から出発するよりも安くなる場合がある。だから、若手夫婦はマレーシア駐在中に、こういった所にできるだけ行こうとする。

早めに予定が立たなかった人や、お金をセーブする必要のある人は、国内旅行か自宅でのんびりである。

国内旅行の行先としては、ランカウィ島やペナンなどが日本人のお馴染みの場所である。ジョホールバルに住む日本人は対岸のシンガポールに行く人もいるだろう。物価は高いけれど。

また、松本清張の小説「熱い絹」で有名なキャメロンハイランド、公営カジノのあるゲンティンハイランドなどは涼しくて避暑に向く。

ゲンティンハイランドのカジノではブラックジャック、ルーレット、スロットルマシンなど、一通りのギャンブルが楽しめる。

男性はバテック又はネクタイ着用が求められるが、ゲームセンター感覚で気楽に過ごすことができる。
熱くなりすぎてスッカラカンにならないようにしたいものだ。

僕の場合は、いつもかわいくスロットルマシンで充分楽しめる。チャイニーズ・ニュー・イヤーの時期には中国系の人々の家族連れで混み合うそうだ。

託児所があるかどうかは知らないが、子供用の遊び場や遊園地もどきはあった。そこで遊んでなさいということか。とにかくチャイニーズも賭け事が大好きだ。

ハリラヤプアサとチャイニーズ・ニュー・イヤーの休暇期間中は、企業も官公庁も休みになる。

特に役所に申請を出していた案件の認可手続が、丸々1ヶ月から、休みグセが抜けるもう1ヶ月くらいは、遅々として進まない。役所にはマレー系の担当官が多いが、ハリラヤ前の断食期間中のマレー人に、早くやってくれと要求しても、なかなか物事はうまく進まないのである。

日本の本社サイドは1月、2月にマレーシアの事態が進展せぬことを、最初は理解しづらいようだ。

 さて、僕もいつのまにか、お正月にはお年玉をあげる年になってしまった。今年のアンパオにはいくら包もうか?
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by y_natsume1 | 2007-02-18 10:50 | マレーシア駐在記
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