諸事情で不眠症の時期に、職場の妹分が薦めてくれたのが「口語訳詩で味わう百人一首」(さ・え・ら書房)。
「アニキ、そういう時はねぇ、口語訳付の百人一首なんかを読むことをオススメしますよ。おおらかな万葉集ではダメ。きっと心に響く歌に出会える予感がします」ってさ。
ありがたかった。
買って読んだ。読んだというより、味わった。
恋の歌がわりと多いのですね。
気に入ったやつが結構あるのですが、いくつか挙げると――
「春すぎて 夏来にけらし 白妙(しろたえ)の
衣ほすてふ 天の香具山」
(持統天皇 出典「新古今集」夏)
「たち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば いま帰り来む」
(中納言行平 出典「古今集」離別)
「君がため 春の野に出でて 若菜つむ
わが衣手に 雪は降りつつ」
(光孝天皇 出典「古今集」春上)
「百人一首」って、今の音楽業界で言えば、コンピレーション・アルバムとかベストCDとおんなじような位置づけかもね。
和歌ってステキだと思った。
なかなか寝付けないのは前とあまり変わらないけれど、いいものを味わえて気分はいいかな。