2009年3月19日(木) 夜。
袋小路にはまったような、もどかしい精神状態。
気が狂いそうになる毎日。
たまたま数年ぶりに某友人とコンタクトが取れる。
この人とはかれこれ7~8年の付き合いだ。
僕が心から信頼している人の一人。
その友人が今、ある飲み屋で働いているという――。
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お寺の境内に建っている日本家屋の一軒家で、
その飲み屋は営まれている。
「お寺」、「お寺の敷地内にある」
という部分に敏感に反応し、魅かれて、
とうとうやって来てしまった。
ホントにここは東京都内か?
不思議な時空。
ここでは男も女も、まるで桃源郷にいるかのように、
何かを楽しんでいる。
会話、酒、日本家屋の空間、花、そして・・・・。
僕はこの不可思議な空間を、
この世とあの世のはざまに存在する、いわば亜空間として、
トリップしているような感覚で味わっていた。
癒されている、というのではないし、
馬鹿騒ぎして楽しんでいるというのでもない。
味わっているとしか言いようのない空間、
けれどとても「良い感じ」なのだ。
ここに導いてくれた某友人に、とても感謝している。
アリガトウ。
僕は、友人といろんな話をした。
ヘンリー・ミラーの「北回帰線」の話から僕たちはペルノーを頼み、
京都知恩院と鎌倉光明寺のご縁、
ザ・フーのライブ、ベンシャーマンのシャツ、
出張先で明け方に酔っ払って「Love Reign O'er Me」を大声で歌ったこと、
セックス、万葉集や和歌の話(
31文字のラブレター)、
奈良薬師寺の月光菩薩、東塔の水墨画のような佇まい、
福岡のぼたやま、五木寛之の「青春の門」、
その日僕が着ていた
古着のツィードジャケット、
シンガポールの大親友、 墨の香りのフレグランス、写経、
坂口安吾の「桜の森の満開の下」、狂気、
マラッカ出身の友人とシンガポールのチャイナタウンを歩いたときの話、
花様年華、白洲次郎、
レトロな大衆食堂、1920年代の上海、
「馬鹿な(=良い意味で馬鹿を演じられる)オンナ」・・・・・
いろんな話をした。
不思議とお月様の話は出なかった。
こういう夜は、それで、 いいのかもしれない。
充実した時間だった。
この空間が、それを作ってくれたのだろうと思う。
やはり、ヘンリー・ミラーが「北回帰線」のラストで書いているように、
人間には時間よりも空間が必要なのだ。
夜が更ける。
・・・・・・ 月が見えない夜、
さあ、再び月を求めて、 さ迷い始めようか。
亜空間の果てまで、行ってみようよ、 ね、 月子さん(仮名)。
♪ テーマ曲
「Greensleeves」 by John Coltrane ♪
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