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ダイスを転がせ!

2008年7月某日 深夜。

都内の某バー。
客は僕1人だけだ。

いつもの、ペルノーのソーダ割り。


この数週間へヴィに関わっている仕事(プロジェクト)で
改めて認識したことがいくつかある。

そのうちの一つ。

僕は結局、大嫌いなのだ。 


上司であろうと部下であろうと、
アメリカ本社の田舎モンであろうと、
他部署の人間であろうと、
ベテランであろうと若手であろうと、
敵であろうと味方であろうと、


それぞれの立場での

決断力のないヤツが。
覚悟や気概のないヤツが。
失敗を恐れすぎて異常なほど責任取りたくないヤツが。
感性やシリアス感覚に乏しい、にぶいヤツが。
一見なんでもない小さなことだけど、大切な何かを軽視するヤツが。


もうちょっとマジメに仕事やれよ、と。
自分らの決め事だろ、 ビビるな、 あんたらが決めなくてどうすんだよ、と。
あんたら、一応組織としちゃあ、オレより上役なんだろ、と。




・・・・・・ 珍しく、本当に珍しく、
僕がこのバーで仕事なんぞのことを口走るもんだから、

バーの女性が、

「珍しいね。 夏目クンがそこまで怒るなんてよっぽどなんだね。 まぁ、怒らしちゃいけない人を本気で怒らしちゃったヤツが周りにいるってことなんだろうけど。 夏目クン、元々一本気だから・・・・」

「そうね・・・・・ そういうとこ、あるかも」

「その、お仕事の、憤りっていうの? なんか、だんだんワタシのこと言われてるような気になってくる。 ワタシもそういうとこ、あるもん(笑)」


そう言って彼女は、ダイスを3個出してきて
カウンター席の僕の目の前に、 置く。 


・・・・・・ 僕は上海でダイス遊びをした時のことを思い出す。

そして、 日活の昔のアクション映画のことも。

小林旭の 「投げたダイスが明日を呼ぶ」 とかね(笑)。

「いや、旭もいいけど、日活ならオレは赤木圭一郎が断然好きだな」

「ワタシも。 あの俳優はいいね。 カッコイイよね」

「うん、20歳で主演はってたんだもん。 十分大人の男の感じでさ。 今の若手の男の俳優だと、子供っぽくて、20歳ぐらいじゃ大人の男の役で映画の主演はれる人、今は少ないと思うなぁ」

即席の日活映画ごっこ。

ダイスの賭博シリーズ映画ということであれば、
赤木圭一郎ではなくやはり小林旭か。

僕が小林旭の典型的セリフを、
バーの女性が浅丘ルリ子の役を。

昭和30年代の映画のセリフは懐かしくもあるが、ちょっと今じゃ通じにくいような、カッコつけすぎのところもある。

「オレのハジキにさわるんじゃねぇ。 怪我するぜ」
「ごめんなさい」
「なぁに、いいってことよ」

「コルトのジョーに言っときな、 借りは必ず返すってな」
「わたしは、ただ・・・・」

「ゴキゲンな車だな。 お嬢さん、一緒に乗ってくだろ」
「でも・・・・」
「いいから、乗んなよ」 


あ~、アホらし。


・・・・・・ 正気に戻り、僕はバーの女性に言う。

「姐さん、 オレがダイス転がして、もし、出た目の合計が奇数だったらさ、
オレ、XXをXXする。 決め事だ」

「ホント~? 1回勝負だよ」

「もちろん」

「よし、 やってみて、やってみて」



転がす・・・・・・・・。









出た。



目の合計は、

































奇数。

それも、ダイス3個ともそれぞれが皆、奇数。

あ~あ。  マジかよ。

お見事、と言うべきか。 

でも、 僕は XXするのか?  ホントに?


・・・・・いつのまにか僕の気分は変わっていた。 


       とても良い方向に。


よくもまぁ、バーの女性は絶妙のタイミングでダイスを出してきたものだ。

さすがだな。

ありがたいことだ。 彼女に感謝している。


仕事(プロジェクト)はともかく、

ダイス遊びも、日活映画も、酒も詩も音楽も、そして魅力的な女性も、
僕は好きだ。


いつ、XXしようかねぇ(笑)。
考えるのも、楽しい。

家に帰って、
久しぶりに赤木圭一郎のDVD 「霧笛が俺を呼んでいる」 か、
石原裕次郎の 「錆びたナイフ」 でも、かけたくなってきたな。

ま、そういう夜だ。
いや、明け方だ。

ドーン・パープル。
ブルー・グレイ。

夏の明け方、 投げたダイスが明日を呼ぶ、 か。


♪ テーマ曲 「蘇州夜曲」 by アン・サリー ♪
♪ テーマ曲 「I Will」 by The Beatles ♪
♪ テーマ曲 「さらば恋人」 by 山崎まさよし ♪


関連記事:

「日活アクション映画ってさ」
「赤木圭一郎という俳優」
「ジャスミンと巫女」
「魔性の都市で杯を (1)」
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# by y_natsume1 | 2008-07-26 15:14 | 酒×酒

十六夜の月 於鎌倉

2008年7月19日(土) 午後。

久しぶりに鎌倉へ。

材木座海岸。

暑い。

海水浴客が大勢いる。

泳ぎはしないが海岸でぼーっと海を眺める。



・・・・・・・ 八幡宮方面の表通りを歩く。

駅の近く、白いサマージャケットと夏らしいスカートをキチンと着こなした30歳ぐらいのキレイな女性がどこかの店から出てきて日傘をさし、歩いていくのが目にとまる。

周りには観光客や海水浴客などがたくさんいる通りなのに、
なぜかその女性だけが強烈に僕の視界に入ったのだ。

目には見えないけれどオーラでも出ているのだろうか。

冬場の、トレンチコートが似合う女性もいいが、
白いサマージャケットと日傘がこれだけ似合う女性もステキだ。

歩き方がさっそうとしていて、しばし見とれてしまう。
後姿が見えなくなるまでずっと見つめる。



小町通り近くのゴーティに入り、
フォーキーなBGMが流れる中、ペルノーのソーダ割り。 

真っ昼間からのペルノーはうまい。



夕刻、七里ヶ浜の鎌倉プリンスで妹尾武さんのライブ。

この日梅雨明けしたらしい。

夏の海と武さんの繊細なピアノの音色は相性が良いのか、とてもいい雰囲気をかもし出す。

ラフマニノフの曲、美しいなぁ。
(難曲なのに、よくもまぁ、さらりと弾いているように聴こえるものだ。)


ライブにはいつもの飲み仲間や、Hさん親娘、逗子のドクター(ヨットやってて、その容貌から僕は密かにパパヘミングウェイと呼んでいる)、僕の自宅近くのソウルバーでよく見かけるI氏カップル、鎌倉の馴染みの小料理屋のマスターとママさんも来ている。  

休憩時間にご挨拶する。

小料理屋のマスターとママさんに会うのは本当に久しぶりだ。
嬉しい。 


ライブの後、野暮用で某所へ。



用を済ませてから、由比ヶ浜の「お酒の神様」という名のバーへ。

冬場、明け方にこのバーに来てご迷惑をかけたお詫びをマスターに言う。

マスターは俳優の大沢たかおに結構似ていて (よく言われるそうだ)、
とってもハンサムで感じのいい人で、僕はここでいつも本当に癒されている。

モヒート、オリジナルカクテル、クレマン(ラム酒)ストレート、ジントニック。

マスターから、今日は長谷でいつもの写経でもしてきたんですか?とか聞かれて、そういう会話自体が嬉しくなる。 

カウンター席の隅にいた栗山千明風のキレイな女性客が、マスターと時間のことを口にしたとたん、僕は我に帰る。 

あ、そうだ、ここは鎌倉だった、と。 

まるで今の時間が19時なのか、22時なのか、午前3時なのか、深夜零時なのか、意識していなかった(意識したくない)ほどに。 

時間の流れるスピード感がゆるくて、ズレていて、まるで異空間にいるみたいで。
それこそが、このバーの、そして鎌倉全体の良さなのだ。 


そうだ、 帰らなきゃ。



バーを出たら、由比ヶ浜の空に見事な月が出ているのが、 見える。

しかも、ちょっと赤みを帯びた、おぼろ月。

妖しい。

美しい。


思わず江ノ電で帰るのをやめる。
R134沿いをてくてく歩く。

そうなると、今夜は立ち寄れないだろうと思っていた小料理屋へ自然と足が向いてしまう。



店に入ると・・・・・・

いたいた。 知り合いがかなりいる。

逗子のドクター(パパヘミングウェイ)、I氏カップル、
(ここには書けないけど)あの人、この人、
そして当然ながらこのお店のマスターとママさんご夫婦など。

大人数でかなり盛り上がっている。

あれ? 今日は来られないって言ってたのに、 よかったね、来れて、

とか言われて。

野暮用は意外に早く終わりましたし、
十六夜の月が赤くて、あまりにきれいだったから
ちょっとだけでも寄りたくなってしまいました、

と訳の分からない (けれど自分にとってはそれ以外にあり得ないほど正直な) 言い訳を言う。

お月様のことを言ったら、向こうの方で おおっ、なるほどっ 
というちょっとした歓声が起きる。


I氏がこっちおいでよと座敷のテーブル席の隅に席を作ってくれる。
今夜はお客さんが大勢いるのでママさんの代わりにI氏のガールフレンドさんが僕にビールを注いでくれる。


で、席について驚いた。 

I氏の左隣には、あの日傘の女性がいたのだ。

このお店っていうかマスターたちの知り合いだったの?


そうらしい。


素性はここでは書けないが、なんだそうだったのかという今夜の事情と彼女のバックグラウンドを、差し障りのない範囲でマスターたちからちょっとだけお聞きする。

そうだったのか。 だから今夜ここにいるのか。


僕はその日傘の女性に直接、実は今日の午後、小町通りの近くでお見かけして、とても印象に残っていたことを正直に話す。  決してストーカーではないとお断りした上で。


少しの間、日傘の女性とお話させて頂く。

さり気なく「何やってらっしゃる方なんですか?」と聞かれ、
僕の職業とその業界について話す。

ウマが合うというよりも、
おそらく日傘の女性が聞き上手なせいか、楽しい会話となる。


ビール、赤ワイン、またビール。 

なんて楽しい夜なんだろう。


マスターからこの店の斜め向かいに住む、僕のマレーシア駐在時代の友人、S氏夫婦に、ついこの間、赤ちゃん(女の子)が授かったことを聞く。 

彼は周りにもそういうことをあまり積極的に言わないタイプだから、僕もこのときまで知らなかった。 相変わらずだなと思う。

来週はマレーシア駐在仲間の同窓会があるというのに、S氏は来ないらしい。 
出産時期の前後だから避けてたんだろうけど。
アイツらしい。

とにかく、 めでたい。

おめでと。


夜11時半、ほとんどのお客さんは泊まりか地元民なのでまだ盛り上がっているが、僕は横須賀線最終電車に乗ろうと店を出る。


鎌倉に来る度に、僕は仕事のストレスを癒され、暖かい気持になる。
ありがたいことだと思う。


赤い月は、夏の夜の鎌倉を照らしている。

月子さん(仮名)は、今頃どうしているだろう。



赤い月は、  アヤシイね。


♪ テーマ曲 「Everyday」 by 妹尾武 ♪
♪ テーマ曲 「紙飛行機」 by 井上陽水 ♪
♪ テーマ曲 「夏まつり」 by 井上陽水 ♪
♪ テーマ曲 「人生が二度あれば」 by 井上陽水 ♪


関連記事:

「京の女に言ふ (2)」
「ゆる~いレゲエを鎌倉で」
「由比ヶ浜に 酒の神 在り」
「ミュージシャンは旅をする そして僕らも旅に出る」
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# by y_natsume1 | 2008-07-20 21:04 | 鎌倉湘南Seaside

傘がない & オダギリジョー

井上陽水。

つい最近、新譜CD 「弾き語りパッション」 が出た。
ライブでの生ギター弾き語りの曲を集めたもの。

陽水のボーカル、
1970年代と違って、最近は歌い方がひねているというか、
巻き舌過ぎて、どうも好きではないなぁ。

1970年代が必ずしも良いとは言わないけど、
あの頃みたいに、もっと普通に歌えばいいのに、
良い声なんだから、良い曲なんだから、
と思う。

それに、 「冷たい部屋の世界地図」 という初期の曲が
このCDに入っていないのも残念。
入れてくれよ、なぁ、


でもやっぱり、生ギターの弾き語りに似合う曲というのは、
そもそもメロディがキレイで完成度が高いからこそ可能なんだとも思う。

全体としてはこのCD、昔の曲と生ギターという点で大好きだ。

発売日に即買いして正解 (僕にとっては、ね)。


とにかくファンはなんとでも言うんだな。


「傘がない」
「人生が二度あれば」
「闇夜の国から」
「限りない欲望」 ・・・・・・

こういった陽水の初期の代表的な曲を、
四国のド田舎で本格的に聴き始めたのは、
1977年、僕が12歳、中学1年生の頃だったと思う。


ちょうど僕ら仲間うちでアコースティック・ギターを始めた頃。

陽水たちニュー・ミュージック(死語かよ)系の人の曲やアレンジは、
ギターキッズが生ギターで実際に譜面通りに音を出してみると、
ほぼレコードと同じように聴こえるシンプルなものが多く、
今のように複雑なアレンジや電気サウンドの曲と違って、
ギター初心者の僕たちにはそれがとてもとても嬉しいことだった。

そして当時は、
これら陽水の代表曲が初めて世に出てから
まだ4、5年ちょっとしか経っていない頃だ。 

それでも、陽水の存在自体、
その当時はもう既に伝説的な雰囲気だった。
不思議なことに。 若年寄みたく。


僕はそれまでも陽水に限らず、
いわゆるTVに出ないミュージシャンの曲はよく聴いていた方だと思う。
ド田舎にいながらも。


僕は、
小学5年(1975)で小椋佳やバンバンを、
小学6年(1976)から吉田拓郎をちびちび、
中学1年(1977)からブレッド&バターや加山雄三のエレキ・サウンドを、
かなりの曲数聴きはしたが、

陽水の場合、歌詞もメロディもアレンジも群を抜いていたように思う。
子供心に、本当にちょっと違う、と感じた。

もちろん、小椋佳や拓郎やブレバタや加山雄三が、
陽水より劣っているとか悪いとか言っているのでは決してない。

彼らの曲は、
今も大好きでよく聴くけれど、
中でも陽水は、なぜかずっとユニークな存在で特別だ。


陽水の曲は、
爽やかというのとは違う。

単なるハードロックだったり下品だったりする、というのでもない。

生ギター弾き語りで今、これらの曲を聴いても、
ホントにカッコイイ。

今回の新CDに収められている曲のほとんどは、
(最近のライブ録音ではあるけれど)30年以上前に作られたものばかり。
へたすりゃ35年以上前とかね。

それでも、今聴いてもカッコイイ。
完成度が最初から高かったんだろうけど、これはスゴイ事だと思うのだなぁ。


自分はよくカラオケで陽水の曲を歌う。

そうだよね、 XXさん?

(こないだは陽水の 「青い闇の警告」 が
   あの午前3時のカラオケボックスの選曲リストになくて
      僕は本当に困ったよ。 XXさん、ごめん。 酔っ払いオヤジでした。)


梅雨はまだ明けていないみたいだけど、

傘は、まだ要るだろうか?

♪ テーマ曲 「傘がない」 by 井上陽水 ♪

(追記)
ちなみに深夜のテレビCMでも流れてたけど、このCDのPVではオダギリジョーが「傘がない」を演奏するストリートミュージシャン役、つまり若き日の陽水自身を演じている。 カッちょイイ。
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# by y_natsume1 | 2008-07-17 21:18 | Music Bang Bang

東男と京女

2008年7月某日(金) 
深夜零時すぎ、ようやく会社を出る。

近くの馴染みのワインバーでなぜかワインではなくビール1杯。
15時間連続労働はそれなりに酒を美味く感じさせる。

その後、立て続けにあっちこっちの店に行くが
どこもかしこも満員で入れず。
どこに行っても、すいません、満員なもので、ときたもんだ。

そういうときなんだな。
たぶん。

どんな週末でもこれほどの混み様はないのに、
この夜に限ってこういうことになる。



仕方なく、というわけでもないが
自宅近くまで帰ってきて、
いつものソウルバーへ。

ペルノーのソーダ割り。

何杯飲んでんだか。

英語も法律も覚悟も気概も、
この夜は全て、なるようになれという感じで。

相変わらずそばに女性はいない。

飲む時はたいてい1人だ。
女性嫌いというわけではないが、
単にモテないってことだろうな。

ま、それはそれでよい。


ゴロワーズ。
ペルノー。

もうすぐ別の仕事(プロジェクト)が待っている。

時差のある海外との仕事は、
やりがいもあるが、
遠慮のない、おかしげな雰囲気をかもし出していて、
時差があるのが良いのか悪いのか。

まぁ、いいか。



自分の部屋に戻っても、

43歳の夜はなかなか終わらない。

ヘンな感じだ。

音楽はロリンズのビレッジバンガードの夜と、peleのCDを交互にかける。 

黒タバコ(ゴロワーズ)と葉っぱのリキュール(ペルノー)は、僕を狂気の世界に引きずり込もうと画策している。


ヴェンダースの「アメリカ、家族のいる風景」(DVD)を消音で流す。

まだ飲む。

ラガヴーリンのストレートはうまい。

いつ、僕は眠るのだろう。

そばに女性がいれば、
それはそれでセックスをして気持ちよくなるのだろうな。

そんなこと、今は現実にはあり得ないだろうけど。



月は・・・・・・どこだ? 
新月? 上弦の月?

いずれにしても僕は新月の夜にさえ、
赤い満月を求めてしまう気狂いなんだろうか?

だいたい狂ってるかどうかなんて自分で決めるもんじゃない。
自分で言うもんじゃない。

他人様が、周囲が、決めてくれるもんだ。


それにしても、英語はもうたくさんだ。

156時間英語でカッコつけたヤツがしゃべってても、
僕は不感症でいることにしよう。

7月、 ペニスは硬く勃起し、
鎌倉の小料理屋にはもう9ヶ月も行っていない。

どうしてくれよう。

ねぇ、XXXXさん、 これ、読んでる???

僕はこの日も眠れない夜を
酒と共に過ごしているよ。



京都。
そう、京都だ。

また行きたい。

数百年前の神社仏閣は、
今の退廃的な僕を、キチンと包むだろうから。

お香の匂いと、積み重なった時間の中で
酒(日本酒)を飲み、そして京の女を抱きたい。


*************

妄想する。

僕は(本当はその時間帯には入れるはずもないのになぜか)
深夜、京都の永観堂禅林寺の釈迦堂にいる。

月明かりのもと、
僕は釈迦堂で京女を裸にし、
バックでペニスを出し入れしながら
その白桃のような形のいい尻を叩く。
何度も。

その京女は尻を叩かれるのが何より好きなのを
僕は既に気づいているからだ。

尻の先を見やれば
縁側の向こうに唐門があり、
その上には上弦の月が妖しく輝いている。

尻を叩くたびに 京女は嗚咽をもらす。
いや、ペニスの動きに応じて嗚咽をもらしているのだろうか。

どちらでもいいが。

京女は僕を下にして
ペニスを深く口に含む。 根本までしっかりと。

京女はいやらしい目で僕を見つめながら
口を動かす。

視姦も同時にしているのだ。

やがて僕を頂点まで昇らせたのを確認し、
僕自身を飲み干す。

なんていやらしい女なんだろう。
僕はこういう、いやらしい女が好きだ。


月明かりは精液まみれの月子さん(仮名)の口元を
照らしている。

もう、 方違え(かたたがえ)など、必要ないのだ。

京女(月子さん)を抱くことによって
既に僕は良い「気」をもらい、東に帰ることができるのだ。
生き返ることができるのだ。

禅林寺の唐門は
僕と京女を静かに見守っている。

静寂の響き。

妖しい上弦の月。


**************

妄想男はまだ、 眠れそうにない。

けれどハルシオンはもう、 要らないはずだ。

♪ テーマ曲 「アヴェマリア」 by カッチーニ ♪



(注1) 禅林寺の唐門:

天皇の使いが出入りする時に使われた勅使門。
釈迦堂との間に盛り砂が作られている。
勅使はこの盛り砂を踏んで身を清めてから中に進んだ。
この門は唐様式で別名「唐門」という。 江戸時代に再建。
現在では寺住職の逝去の時のみ使われる。
昔は夜の月明かりを盛り砂にうけて「あかり取り」として利用されたという。


(注2) 方違え(かたたがえ):

陰陽道に基づいて平安時代から行われていた風習の一つ。
どうしても悪い方角に行かざるを得ない時、いったん良い方角をとって(できれば一泊するなり一休みするなりして)そこから本来向かうべき方角に進むこと。 小説「陰陽師」シリーズにもこの方違えのことがしばしば出てくる。
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# by y_natsume1 | 2008-07-12 20:20 | Moon

そいでもってアメリカ (6) ~ロング・フライト~

2008年6月5日(木)  アメリカ出張 Day #6。

早朝、ホテルをチェックアウトし、空港へ向かう。
ようやく帰国の日。

あたりには朝もやが出ている。

空港でレンタカーを返す。

国内便と国際便を乗り継ぐ予定。
日本への直行便がないのは不便ではあるけど、
その分、アメリカの地方都市を地方都市のまま味わえる素地にもなっている。

良い意味での距離感は大事だ。

さすがにもうスーツケースのロストはないだろうな、と期待しつつ、
でもたとえロストしても今度は日本で待ってりゃいいから、気楽といえば気楽。


・・・・・・・・・・・・・アメリカ国内便は大したトラブルもなく
トランジット予定の某拠点空港に無事到着。

日本への帰国便の時間まで数時間あるのでラウンジに入る。

まだ午前中、昼前だというのに僕は
地ビール(らしい、知らない銘柄)を飲みながら、仕事のメモをまとめる。


そして思う。
意外に、アメリカの田舎町って、行ってみるとあれはあれで良いもんだよな、と。
そこに住んでる人たちの人柄も親切で暖かかったし。


さて、成田行きの便に、搭乗するとしますかね。

♪ テーマ曲 「We're An American Band 」 by Grand Funk Railroad ♪

(アメリカ出張編 終わり)

関連記事:

「そいでもってアメリカ (1) ~左ハンドル 右レーン~」
「そいでもってアメリカ (2) ~朝食には卵を~」
「そいでもってアメリカ (3) ~ショッピングモールで大人買い~」
「そいでもってアメリカ (4) ~ニューヨーク・ストリップ~」
「そいでもってアメリカ (5) ~緑の日々~」
「そいでもってアメリカ (6) ~ロング・フライト~」

「行くぜメッヒコ! (1) ~ハポネスは右36度へ回れ~」
「行くぜメッヒコ! (2) ~テキーラで乾杯~」
「行くぜメッヒコ! (3) ~ふらふらとアベマリア~」
「行くぜメッヒコ! (4) ~太陽から月を見る~」
「行くぜメッヒコ! (5) ~ストリートを歩けば~」
「行くぜメッヒコ! (6) ~青い家 カーサ・アズール~」
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# by y_natsume1 | 2008-06-30 19:44 | アメリカ

そいでもってアメリカ (5) ~緑の日々~

2008年6月3日(火)~6月4日(水)  アメリカ出張 Day #4 ~ Day #5。

体調はようやくなんとか回復してくる。
喉の痛みもおさまり、咳も出なくなってきた。

毎日飲んでた赤ワインやビールなどのお酒の効用だろうか。
まさか、ね。

日中は濃密な仕事をたんたんとこなす。

その間、楽しみといえば食事だけ。

ランチは湖の傍や周りに緑があふれるカフェテラスで。
初夏の陽射しと木々の緑は素晴らしい。

ディナーは派手でもなく高級すぎもしない、けれどこぎれいなレストランで。

地方都市A市は本当に健全で良識あるアメリカの田舎町だから、
東京にいるときのような歓楽街や夜の娯楽があるわけではない。

食事といっても特に珍しいメニューがあるわけでもないが、
楽しみといえば食事だけ、は当たってると思う。

美味しいしね。

ハンバーガー、
ラム肉、
フィリー・スタイルのサンドイッチ(チーズ&ステーキのサンド)、

などなど。

(注:フィリーとはフィラデルフィアのこと。ちなみにここはフィラデルフィアではない。)

特に美味しいと思うのが、
付け合せのフライドポテト(フレンチフライ)。

日本でも食べてるはずなのに。

ここの町のは、どこで食べてもどうしてこんなにうまいんだろ。

塩加減も、
揚げたてのカラッとした食感も、
最高だ。

うまい。 

スパゲティだけは麺がよれよれで、あんまり美味しくなかったかな。


しかし・・・・・ どの料理も
分量やサイズは日本の2倍ほどもあろうかというほど。

全部は食べきれない。
でも美味しいから割と食べてしまう。

当然に、太る(だろう)。

自覚できるほどに。

でも、いい。

今は。 

美味しいもん。

食事を、楽しもうっと。

♪ テーマ曲 「Thunder Road」 by Bruce Springsteen ♪

(続く)

関連記事:

「そいでもってアメリカ (1) ~左ハンドル 右レーン~」
「そいでもってアメリカ (2) ~朝食には卵を~」
「そいでもってアメリカ (3) ~ショッピングモールで大人買い~」
「そいでもってアメリカ (4) ~ニューヨーク・ストリップ~」
「そいでもってアメリカ (5) ~緑の日々~」
「そいでもってアメリカ (6) ~ロング・フライト~」
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# by y_natsume1 | 2008-06-29 09:20 | アメリカ

そいでもってアメリカ (4) ~ニューヨーク・ストリップ~

2008年6月2日 (月)  アメリカ出張 Day #3。

仕事のことは具体的に書けないし、書くつもりもないから省略。

夜、仕事先の相手や同僚と何人かでディナー。

ステーキ。
アメリカに来たからには牛肉を楽しみたい。

僕はニューヨーク・ストリップを選ぶ。

サーロインの一種らしいけど、
端っこを持って肉をつまみ上げると
形がニューヨークのマンハッタン島に似ているからだそうだ。

日本の霜降りのような脂身のある肉ではなく、
脂肪が少なく、
赤身を熟成させ、旨みを引き出した肉本来の味。

こういう肉をあまり好きではない日本人も結構いるらしいけど、
僕は好きだ。

分厚くて豪快な大きさ。

美味しい。

シンプルに塩と胡椒での味付けのみ。
赤ワインが進む、進む。

食後は地下のバーでコイーバ(キューバ産)の葉巻をやる。
口腔喫煙だから、ま、いいか。
アメリカ人たちとの社交でもあるしな。

咳や喉の痛みはまだ少し残っているけれど、
だいぶ良くなってきている。


コイーバをやりながら、ふと思う。

オパールはどこだろう?
緑色の蝶のバレッタは今も夜に飛んでいるのだろうか?
月子さん(仮名)はテオティワカンのピラミッドで僕に何を伝えたかったのだろう?
今夜は日本では赤い月が、出ているだろうか?

ここ数日、会話がずっと英語で少々疲れている。


コイーバの煙が向かう先は・・・・・・・。


♪ テーマ曲 「Knockin' on Heaven's Door 」 by Boy Dylan ♪

(続く)

関連記事:

「行くぜメッヒコ! (4) ~太陽から月を見る~」

「そいでもってアメリカ (1) ~左ハンドル 右レーン~」
「そいでもってアメリカ (2) ~朝食には卵を~」
「そいでもってアメリカ (3) ~ショッピングモールで大人買い~」
「そいでもってアメリカ (4) ~ニューヨーク・ストリップ~」
「そいでもってアメリカ (5) ~緑の日々~」
「そいでもってアメリカ (6) ~ロング・フライト~」
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# by y_natsume1 | 2008-06-28 18:53 | アメリカ

そいでもってアメリカ (3) ~ショッピングモールで大人買い~

2008年6月1日 (日)  アメリカ出張 Day #2 (その2)。

今回のメキシコシティとアメリカの出張で、おおよそ合計2週間近くの予定。
ちょっと長い。

この日は終日オフ。 出張期間中の、やっとこさの実質的な休日。

ホテルでワイシャツなどの衣類をクリーニングに出すことは出したのだけど、
ちょっとした日用品ぐらいは買おうと自分で車を運転してショッピングモールへ。

ドラッグストアとか日本でいうコンビニ程度にしときゃよかったんだろうけど、
モールに行ったのが運のつき。

買っちまったよ、大量に、大人買い。

だって、安いんだもん。

「父の日」が近いせいで男性モノはセールでけっこう値引きされてる。

チノパンが1本約3千円程度。
安い。
どうせ中国か中南米あたりで製造されてるんだろうけど、
それでもいい。

サイズの合うやつを見つけて2本買う。 

ジーンズも1本。

ボタンダウンシャツも2枚。

本来の目的だった靴下も何足か。

本来の目的だったコルゲートの歯磨き粉と歯ブラシも。

本来の目的だったミネラルウォーターも。

チョコレートも。

まだ喉が少し痛むのでホールズも。

咳はまだ続いているけれど、
だいぶ良くなってきている。


・・・・・・ ホテルに戻る車を運転しながら、僕は緑の景色を楽しむ。

そして音楽も。

音楽はその土地、その土地の気候に
とても関係があるのだと改めて思う。

こういうところ(乾燥した北米大陸)で車を飛ばしながら
ボブ・ディランなんぞを聴くと、
すごく似合うのである。

明日月曜からまた濃密で本格的なお仕事が待っている。

それに備えて夕方までホテルのベッドで午睡だな。

休もう。

♪ テーマ曲 「Ballad of a Thin Man」 by Bob Dylan ♪
♪ テーマ曲 「Like a Rolling Stone 」 by Bob Dylan ♪
♪ テーマ曲 「All Along the Watchtower」 by Bob Dylan ♪


(続く)

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# by y_natsume1 | 2008-06-25 20:45 | アメリカ

そいでもってアメリカ (2) ~朝食には卵を~

2008年6月1日 (日)  アメリカ出張 Day #2 (その1)。

朝、ホテルを出てダウンタウンを歩く。
緑が美しい。

小さな地方都市A。

A市の街並みはまるで、
ヴィム・ヴェンダース監督の映画 「アメリカ、家族のいる風景」 に出てくるような、古き良き地方都市のそれって感じ。

特にホテルの外観なんかクラッシックなデザインでそっくり。

違うのは、映画に出てくる街はさびれて悲しげなのに対し、
このA市は小さな地方都市の割には活気があって生き生きしている。
人口が少ないだけだ。

朝食をとろうと、美味そうな雰囲気のサンダンスカフェという店に入ってみる。

というより、この店以外にやってそうなところが見当たらなかったというのが実際の話。
そりゃ田舎町だからな。

けれど、これが大当たりだった。

何の変哲もない、シンプルで典型的なアメリカン・ブレックファスト。
なのに(だからこそ?)、すっごくおいしい。


薄めの、アメリカン・コーヒー (コーヒーは濃い方が好きだけどこれも悪くない)。

大きなグラスに注がれたグレープフルーツ・ジュース (主にミネラルウォーターを飲むしかない旅人には、喉が渇いた朝にコーヒー以外にこういうのがあるのは助かる)。

トースト2枚 (レーズンはパスしてホワイトブレッドを選ぶ。 厚くなくて薄めなのがいい。 僕好み。 そしてこのトーストの焼き加減がまた絶妙で素晴らしかった)。

ベーコンエッグ (卵の焼き方は両面焼き、けれど中はトロリという、オーバーイージーで)。

ソーセージ (スパイスが効いていて、どうしてこんなにおいしいんだろ?と思うほど)。

そしてフルーツの盛り合わせ (朝はこれこそが意外にも必要な一品だと気づく)。

おいしい。
とても。

海外出張にくると、ランチやディナーの時には、日本と違ってオムレツや玉子焼きなど、いかにも卵料理らしい卵料理には接することがほとんどない。

朝ご飯で卵料理を食べているという前提があるからか、
はたまた卵料理は朝のものという決まりがあるのか、
昼や夜のメニューには見当たらないことが多いのだ。

だから、余計、今回のようなベーコンエッグには感謝してしまう。

トロリとした卵、いいね。 
それをつぶしてトーストにつけて食べる。
至福の時。

コーヒー、お代わり。


ここの朝めしはかなりいける。

シンプルだけど、とても大切な何かを見つけたような、 気分。



・・・・・・・ サンダンスカフェを出て、少しダウンタウンを歩く。
この時期は一年のうちでも最も緑が美しい季節だそうだ。

緑が、まぶしいほど美しい。


♪ テーマ曲 「One More Cup Of Coffee」 by Bob Dylan ♪

(続く)

関連映画:

「アメリカ、家族のいる風景」

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「行くぜメッヒコ! (6) ~青い家 カーサ・アズール~」

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# by y_natsume1 | 2008-06-22 10:09 | アメリカ

そいでもってアメリカ (1) ~左ハンドル 右レーン~

2008年5月31日 (土) 深夜 アメリカ出張 Day #1。

最初の出張地メキシコシティからそのまま国際線&国内線を乗り継いで、
アメリカ某州の地方都市Aに。
(仕事上明らかにできないので地方都市Aとしておく。)

空港に到着したのが23時をまわった頃。

予約してあったレンタカーを借りる。
カーナビが付いていない。
田舎では付いていないのが普通なのだろうか。

今回は地図を見ながら、だなぁ。

ロサンゼルスだと複数言語から日本語が選べるカーナビが付いてるレンタカーをいつも利用するって、以前の職場のボスに聞いたことあるけど。



運転はまずは僕のボスが。

左ハンドル、右レーン。
深夜の、アメリカ大陸の地方都市。

右折はいいんだけど、
左折は日本のクセで左レーンに入りそうになるのを気をつけないとね。

仕事でもなければ、こんなところに来ることなんかないだろうな。

アメリカには今まで仕事で何度も来たことがあるけれど、
いつも日本から直行便のある大都市、拠点都市ばっかりだったから、今回はある意味で新鮮だ。


それに、観光目的でアメリカっていうのも、僕の好みにはないことだ。

ジャズが好きだからニューオーリンズには訪れたことがあるけど、
それ以外で観光目的でわざわざアメリカに来たいなんて考えたことがない。

アメリカは僕にとっては仕事をする場所で、観光のイメージはほとんどない。 

もちろん、観光すればそれなりに楽しいんだろうけど、
僕にとっては東南アジアや中南米の方が興味の対象だから。


・・・・・ 大きな川のほとりにあるホテルにチェックイン。

深夜1時、ホテルのバーで飲む。
カウンター席。
僕の咳は少しおさまってきている。

ビールを。 

銘柄はミケロブ。

10年以上前にシカゴに出張した時も
このミケロブをよく飲んだものだ。

冷えていて、喉にしみわたる。


少し離れた同じカウンターの席には、
訳ありのようなカップルが。

スーツを着た白人の中年紳士と、
酔って、いい気分に見える、ちょっと派手めなブロンド女性。

昼メロTVドラマのようなシーンが展開されている。

聞きたくなくとも彼らの会話が聞こえてくる。
声が少々大きいようで・・・。
一応、聞こえないフリをする。

じれったいな、もう。
早く2人だけになれるとこに行けよ。

どうも決めの言葉が、タイミングよく出てこないのだろうか・・・。
大きなお世話だろうけど、そんなことを考えながら、
ビールをグイッと空ける。

僕は2杯目のミケロブと、ナッツを頼む。

まだ、 眠れそうにない。

♪ テーマ曲 「The River」 by Bruce Springsteen ♪
♪ テーマ曲 「Cadillac Ranch」 by Bruce Springsteen ♪
♪ テーマ曲 「Drive All Night」 by Bruce Springsteen ♪

(続く)

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# by y_natsume1 | 2008-06-21 20:23 | アメリカ

行くぜメッヒコ! (6) ~青い家 カーサ・アズール~

2008年5月31日(土) メキシコシティ出張 Day #5。

フライト時間の関係上、午前11時にホテルを出る予定だ。

それまでの早朝の数時間、何をするか。
僕の心は決まっている。

メキシコシティと言えば自分にとってはフリーダ・カーロだ。

友人の、東京の某ワイン・バーの女性店主から、
フリーダ・カーロの青い家と、ドローレス・オルメド・パティーニョ美術館は
ぜひとも行くといいわよ、と言われてた。

彼女はもともと美術や映画、文学なんかに詳しい上に、
メキシコを1ヶ月ほど放浪してたことがあるから、
アイツの言うことなら信頼できて説得力もある。

・・・・・ 青い家は午前10時から開館で、
早朝に行ったとしても入館できず、
外から眺めるだけだろうが、それでもいい。

もともと仕事で来てるんだし、
スケジュールが合わなくても今回は仕方がない。


(注:ブログでは仕事のことは書けないし、書くつもりもないから、いきおいこの連載記事を読んで頂いているブログ読者の方々には、一見、メキシコには遊びで観光に来ている印象を持たれるかもしれない。 けれど、出張だから一応の仕事はしている(笑)。 会議で発言したり、アメリカ本社のお偉いさんに顔つなぎしたり。 発熱でフラフラだったけど、それなりにね。)


とにかく、タクシーを2時間チャーターして行ってもらう。

コヨーテの街、コヨアカン地区へ。



正解。 

早朝、誰もいないストリート。

青い色が鮮やかに朝日に映えている。
外観だけでも、ステキだ。

いつかきっと、入館できる時間帯に来たいものだ。

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b0058966_1781431.jpg



















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ちなみにフリーダ・カーロの不倫相手だった共産主義者トロツキーの博物館も近くにある。 ここも、外から見ただけだけど。


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タクシーの運転手は言う。
もし時間があって、青い家以外に訪ねるとしたら、
もう絶対ドローレス・オルメド・パティーニョ美術館だね、オススメするよ、と。

やっぱり、な。
ワイン・バーの女性店主と全く同じことを言ってる(笑)。


青い家のあるコヨアカン地区とその近辺には、
とてつもなく美しい花と緑に囲まれた小さなコミュニティがある。

渋滞と排気ガスのひどいメキシコシティにあって、
穴場中の穴場である。

そこにタクシー運転手は案内してくれる。
いくつか見えるレストランやカフェの外観もとても感じがいい。

もし僕が女性連れなら、
絶対利用したいなぁ、と思うほどの雰囲気。

この辺りは、
例えばサンディエゴの高級リゾート地ラホヤ地区とか、
どこかヨーロッパのこぎれいな田舎町に似ているような気がする。




・・・・・・ ホテルをチェックアウト。

アメリカ人の同僚たちと一緒に
国際線&国内便の飛行機を乗り継ぎ、
アメリカ某州の地方都市へ移動する。

北米大陸は広い。

咳はまだ止まらない。

そして出張は  まだまだ続く――。

♪ テーマ曲 「Stairway to Heaven」 by Rodrigo y Gabriela ♪ 

(メキシコ出張編 終わり、  アメリカ出張編に続く)

関連映画:
「フリーダ」

関連記事:

「メキシコの乾いた大地」
「ワイン・バーの夜」

「行くぜメッヒコ! (1) ~ハポネスは右36度へ回れ~」
「行くぜメッヒコ! (2) ~テキーラで乾杯~」
「行くぜメッヒコ! (3) ~ふらふらとアベマリア~」
「行くぜメッヒコ! (4) ~太陽から月を見る~」
「行くぜメッヒコ! (5) ~ストリートを歩けば~」
「行くぜメッヒコ! (6) ~青い家 カーサ・アズール~」

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# by y_natsume1 | 2008-06-19 17:09 | メキシコ

行くぜメッヒコ! (5) ~ストリートを歩けば~

2008年5月30日(金) メキシコシティ出張 Day #4 (その2)。

夕方、市内のホテルに戻る。

相変わらず咳はひどい。
熱は下がったようだ。

ほんの少しの時間でもメキシコシティを味わいたくて、
体調は万全じゃないけれど動こうとする。

1人で外に出て、ストリートを自分の好きなように歩く。
僕は、海外でも日本でも、ストリートを歩くのが好きだ。

ホセマルティ中央文化会館でサルサの催し物。
週末金曜の夜だからか、無料でサルサのイベントをやっている。
皆陽気に踊っている。
生バンドがもんのすごく上手。

ヒッポリト寺院のミサ。
この建築物も相当古く、クラッシックでステキな建物だ。

60代ぐらいのカップルが寺院の前で待ち合わせ、
会ったとたん熱烈なキスをしている。

金曜の夕刻に、教会の前でキスだなんて、いいなぁって素直に思う。

晩ご飯は同僚と、Focolareという観光客相手のお店で
メキシコ料理と生バンドライブ。

ビールを飲み、何かを食べている間だけ、
ひどい咳も何とかおさまる。

牛肉の炭火焼、タコス、トルティヤ、チーズ、麺入りのスープ、
などなど。

ビールはコロナ。

料理も酒もなかなかいけるけど、
とにかく今は喉を、取り替えたいぐらいの気分だ。

そういえばひいきにしている恵比寿の某バーのスタッフさんたちから、
メキシコに出張行くんなら、
メキシコの超絶テクのギタリスト2人組、Rodrigo y Gabrielaが
現地でどれぐらい流行ってるか、聞いてきてくれ、
って言われてたな。

恵比寿のそのバーで、
メキシコのいけてるギターデュオのCDだってことで紹介してもらって、
僕自身自宅でもよく聴いてたんだけど、
それがその Rodrigo y Gabriela。

ホテルの人に聞いたら1人は知ってたけど、
知らないヤツも多かった。

実際、どうなんだろ。 

咳は止まらず、生ギターの音色はメッヒコの夜のストリートにこだまする。

♪ テーマ曲 「Diablo Rojo」 by Rodrigo y Gabriela♪

(続く)

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# by y_natsume1 | 2008-06-17 19:32 | メキシコ

行くぜメッヒコ! (4) ~太陽から月を見る~

2008年5月30日(金) メキシコシティ出張 Day#4 (その1)。

会議をなんとかこなす。
マスクをして咳をしながらも。

悪寒はなくなったが喉は痛い。
焼けるようだ。
誰か、喉を取り替えてくれ。

昼頃、会議ラップアップ。

午後は観光。
同僚たちとバスでテオティワカンのピラミッド遺跡に向かう。
ぜひとも行きたかった所なので体調はかんばしくなくとも無理にでも行く。

都心から北へ約1時間ちょっと。

テオティワカンとは、「神々の都市」 という意味なんだそうだ。

とにかくビール。
皆飲む、飲む。
バスの中は宴会場。

日本人は僕ともう1人の計2名だけ。 
あとはアメリカ人や南米の同僚。


世界遺産のピラミッド。 
生まれて初めて見る、ピラミッドだ。
ピラミッドは2つある。

Luna(月)のピラミッドからまっすぐ「死者の大通り」が伸びている。
その斜め先には太陽のピラミッドがある。

僕は太陽のピラミッドの途中の踊り場まで登って、
あたり一帯の緑と空気を吸い込む。
踊り場からでもちゃんとあたり一面が眺められるほどに高い。

空は雲っているけれど、
ところどころ日の光が雲の間からさしていて
厳かな気持がする。

太陽のピラミッドの踊り場からLuna(月)のピラミッドを眺める。

僕は、太陽の位置から月子さん(仮名)を見つめているような気持になる。

このとき、だいぶ咳は収まり、
喉の痛みも少しは和らいでいた。
不思議なことに。

テキーラが飲みたい。
いや、やっぱりボヘミアンビールがいい。
第一、名前がいい。

月子さんは今頃どうしてるだろう。


♪ テーマ曲 「Si No Te Hubieras Ido」  by Marco Antonio Solis♪

(続く)

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# by y_natsume1 | 2008-06-15 11:22 | メキシコ

行くぜメッヒコ! (3) ~ふらふらとアベマリア~

2008年5月29日(木) メキシコシティ出張 Day #3。

朝、起きて、思った。

やられた。

とうとう。

悪寒。

長時間のフライト中、機内がすごく乾燥していたからか、
メキシコ最初の夜に着替えがなくて裸で寝たからか、
ホテルの会議用会場の冷房がきつかったせいか、
その全部が理由か・・・。

とにかく咳がひどくて止まらない上に、
そもそも気分が悪い。

喉が焼けるように痛い。

一応朝から会議に出たけれど、
11時ごろ あぶら汗まで出てきて、どうにも気持悪くなって、
ボスに断りを入れて部屋で休むことにする。

4時間ほど、横になる。

いろんなことが頭をよぎる。

  ・・・・・・ 京都、ジャスミンの匂い、月子さん(仮名)、 そして・・・・。


メキシコなんてどこがいいの?って言う人がいる。
人それぞれだけど、僕はここはアートと色彩の宝庫、だと思っている。

フリーダ・カーロ、ディエゴ・リベラ、インディオ、アステカ文化、ピラミッド・・・。

これほどアートや歴史的な遺産に囲まれている国だなんて、
日本にいると想像しづらいけど、
実際に接したら驚くほどアーティスティックな国だと分かる。

ここは僕にとって
いずれは一人旅でぜったい訪れたいと思っていた場所なのだ。

僕の永遠のバイブル、
ジャック・ケルアックの小説 「On The Road」 で
メキシコシティが描写されているから、でもある。

(注: 「On The Road」は最近、青山南の新訳版が出ている。 昔の福田稔版も悪くないけれど、新訳も現代的な文章で読みやすいと思う。)

僕は熱でフラフラになりながら、
「On The Road」のメキシコ描写シーンを思い出していた。 

この作品の主人公はメキシコシティで赤痢になり、発熱する。

「On The Road」の大ファンとはいえ、
自分もこの小説の主人公と同じように、メキシコシティで熱にうなされるとは。

それこそ、シャレにならん。

僕の場合はひどい咳と喉痛と悪寒。
赤痢でないだけ、まだましか。

そして僕はまだ、
オン・ザ・ロード=放浪の旅の途中にいる、とでもいうのだろうか。

はやく、冷えたビールが飲みたい。

結局この日は食欲がなくて朝も昼も食べず、
午後4時ごろ起き出して、皆に合流。

夕方、簡単な市内観光に参加。
ホントに簡単なヤツ。
中央広場あたりを見るだけ。

けれど広場や教会等の建築物の
何とステキなことだろう。

かつては湖の上に浮かんでいた都市、メキシコシティ。
スペイン人の来訪で、その湖は埋め立てられる・・・・・。

・・・・・・ 教会の中に入る。

ちょうどミサが行われている。

天井近くの上部のガラス窓から、日が差し込んでくる。
教会の中で存在する日の光が、とても印象的に感じる。

メキシコシティはこの時期
夜7時ごろでも日が沈まないらしい。

教会は湖の上に建っているせいで毎年少しずつ沈んでいるらしいが。

まだまだ明るい。

・・・・・ アべマリアが歌われる。

なんて美しいメロディなんだろう。

僕は、もうろうとしながらも、
アべマリアと教会の厳粛さとメキシコの乾いた空気を味わっている。


祈ろう。

アべマリアはまさに祈りの曲なのだから。

祈ろう。

何に対してかはヒミツだが、
とにかく、

祈ろう。


♪ テーマ曲 「To Love Somebody」 by Eagle Eye Cherry ♪
♪ テーマ曲 「アヴェマリア」 by 藤原道山 ♪

(続く)

関連書籍:

「オン・ザ・ロード」 (ジャック・ケルアック 青山南 訳 / 河出書房新社)

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路上
ジャック・ケルアック 福田 稔 / 河出書房新社





関連記事:

「路上 On The Road」

「ジャスミンと巫女」

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# by y_natsume1 | 2008-06-12 20:16 | メキシコ

行くぜメッヒコ! (2) ~テキーラで乾杯~

2008年5月28日(水) メキシコシティ出張 Day #2。

朝からホテルで会議。
意外なことに、荷物を失くした同僚が複数いた。
珍しくもないらしい。

オレは昨日の午後着いて、荷物が届いたのは夜の11時ぐらいだったっけな、
とか、
僕も昨日ロストしたよ、届いたけど、
とか。

よくあること、なんだな、たぶん。

午後遅く、ようやくスーツケースがホテルに届く。

一安心で着替える。

喉は相変わらず痛く、咳も止まらない。
昨夜、傍に女性もいないくせに裸で寝たのがいけなかったか。

ディナーはホテルから離れたちょっとしたオシャレな場所で。
同僚たちとテキーラで乾杯。

生バンドの演奏。
2曲目に「キサス・キサス・キサス」をやってくれる。

僕の母が、生前一番好きな曲だと言っていたやつ。

赤ワイン、肉、あれやこれや。

海抜2,000メートル以上という高地なので
酒の回りがはやいのか。

少し頭が、痛い。
なんだか、ちょっとやばい、かも?

ホテルに戻ってそそくさと寝る。

♪ テーマ曲 「キサス・キサス・キサス」 by ナット・キング・コール ♪

(続く)

関連記事:

「ソウル・バーの夜 (4) ~キサス・キサス・キサス~」

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# by y_natsume1 | 2008-06-10 21:29 | メキシコ

行くぜメッヒコ! (1) ~ハポネスは右36度へ回れ~

メキシコシティ出張 Day #1。

日本時間 2008年5月27日(火) 午後、
成田からLA経由でメキシコシティに出張。

メキシコ滞在予定は5日間。
そのあとそのままアメリカ某州の地方都市に移動して
またお仕事数日間。

LAでトランジットのとき、なんだか嫌な予感がしたのだ。

いつものことだけど、
アメリカはたとえ素通りのトランジットでも
いったん入国したからには最初の入国都市で
入国審査とバゲージクレームをしなけりゃいけない。

要するに荷物のピックアップを一度やって、乗り換え先の航空会社のカウンターで再チェックインする。

別にアメリカに滞在する予定がなくてもやらなきゃいけないなんて、
素通りトランジットの身からすれば、はなはだ面倒。

だけど今回は、ちょっと雰囲気が違う。

LAの空港は今すんげえ工事中だし、
おまけにこの時間帯、メキシコ航空でアメリカから出国するチェックイン客が
やたらと多くてごった返している。

別のプロジェクトでアメリカの某都市に出張して日本に帰る途中の同僚に
たまたま偶然チェックインカウンターの近くで出くわす。

彼も帰国便の時刻が迫っているのに
なかなかチェックインが進まないって言ってイライラしている。

長い列・・・・・。

そういう、ときだったのだ。


*****************

2008年5月27日(火)現地時間の夜7時すぎ、メキシコシティに無事到着。
身体はね。

しかし、荷物は見事にロスト。

嫌な予感は的中。

バゲージクレームでずーっと待っていたが、
最後に出てくる荷物もやはり自分のではないのだと、むなしく確認。
約1時間眺めてたが。

カウンターで連絡先を書いて、早く届けろよと強くプッシュ。

渋滞の中、タクシーはホテルまでのろのろと走る。

(これが夜ではなくもし昼間だったら、映画「天国の口、終りの楽園。」の冒頭シーンに似たような感じだろう。)

車の中で咳が出る。
飛行機の中がものすごく乾燥していたせいだろうか。
喉が痛い。

ホテルに着いて、同僚たちと近くのサンボーンというファミリーレストランで軽食&酒。

これがまた意外にうまい。
ファミレスのくせに(失礼)。

荷物が出てこない=いつ届くのか、出てくるのかさえ保証がない=いつ着替えができるのか分からない=イライラする、

という図式を
凌駕させるほど、美味い料理とビール。

ビールは地元のボヘミアン。
冷やした白い陶器のジョッキにはレモン汁が既に入っていて、
陶器の淵にはたっぷり塩が塗られている。

そこにキンキンに冷えたボヘミアンを注ぐ。

飲む。

うまい。

レモンと塩とビールの三位一体。

牛肉のBBQをタコスで巻いたもの。
肉には程よい塩がふられている。

白身魚のバター焼き(?)と白米(この米の塩加減がまた最高にいい)。

結論: 塩だ。  要するに塩が、うまいのだ。


食事を終えホテルに戻る。
着替えもないまま、シャワーを浴びて裸で寝る。

ビジネス用のドレスシャツを着たまま寝てもよかったんだろうけど、
翌朝の会議でしわだらけのシャツじゃ、あまりにみっともないと思って。

僕は普段からビジネスで着るドレスシャツの下にはTシャツは着ない。
だからTシャツは今、手元にない。

バスローブはこのホテルのアメニティにはない。 
こういうときに限ってバスローブのないホテルになってしまうのも、巡りあわせか。 
いちいちコンシェルジェに頼むのも嫌だ。 
長時間のフライトで疲れてるし、へんてこりんな時間帯。

ビールと食事でわりと心はハッピーだけど。

荷物は、いつ届くんだろ。
いや、そもそも出てくるんだろうか。

♪ テーマ曲 「Watermelon in Easter Hay」 by Frank Zappa♪

(続く)

メキシコ関連映画:
「天国の口、終りの楽園。」
「アモーレス・ペロス」

メキシコ関連記事:
「メキシコの乾いた大地」
「天国の口、終わりの楽園。」
「アモーレス・ペロス」
「キューバへの一人旅 (10) 最終回 ~日付変更線~」

「行くぜメッヒコ! (1) ~ハポネスは右36度へ回れ~」
「行くぜメッヒコ! (2) ~テキーラで乾杯~」
「行くぜメッヒコ! (3) ~ふらふらとアベマリア~」
「行くぜメッヒコ! (4) ~太陽から月を見る~」
「行くぜメッヒコ! (5) ~ストリートを歩けば~」
「行くぜメッヒコ! (6) ~青い家 カーサ・アズール~」
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# by y_natsume1 | 2008-06-08 06:40 | メキシコ

くだもの と ひまわり

夏みかん 

はっさく

びわ

いちじく

ざくろ  

果ては しぶ柿まで ・・・・・・・・・・・・・・


これらは全て
僕が幼稚園から小学生にかけての頃
瀬戸内の海辺の近くにある僕の実家の庭や敷地になっていたものばかりだ

役所から なんとか貸付やら なんとか保護やらを受けまくる母子家庭だったから
決して裕福ではなかったけれど
(その反動が今の僕の物欲に出ているのかもしれないほどに)

そういう くだものには なぜか 恵まれてた

食べたくなったら もいで 食べる
そんな シンプルな感性で 生きていたような気もする


特に 熟れに熟れたいちじくは 甘くてうまかった
白い液体を表面にたらし
農薬を使っていないからか ハエがわんさかたかる 
それほどに 甘い

はっさくは
瀬戸内ではよく見かけられるミカンだ

はっさくは旧暦の8月1日を意味している
夏の ミカン



いろんなくだものに囲まれてるありがたさを 
当時はそれほど意識もせずにいた

それが 当たり前だと 思ってた
当たり前じゃ なかったんだけどさ

今なら  わかる

当たり前じゃ なかった

祖父は
戦争で故郷・四国瀬戸内の 
自分の生まれ育った本家の近くに
疎開してきて

肩身の狭いながらも そのまま分家として居ついた祖父には

身内(本家)からひどい扱いを受け
卑屈にさせられるほどの ひもじい経験が  
そして飢えの体験が
身にしみていたのだ

だから 土地さえあれば
今度また戦争が起こっても
くだものや何かしらの食料をつくり
なんとか飢えをしのぐことができる とでも
考えたんだろう

いや もうそれは 
意地と恨みを晴らすがごとくの心境に 近いのかもしれない

だから ようやく手に入れた2軒目の家と土地で
農家でもないのに
あんなに たくさん 意識的にくだものの木を植え
実際に実が生るまでに 育てたんだろう

たぶん そうだ
そうに違いない

祖父の生前の言動から思うに
たぶん 間違いない

祖父や母たちは  それほど 食べ物で 嫌な思いを したのだ

43歳になった今年 ようやく僕は なんとなく そう思えるようになった



小学校低学年のころ 暑い季節には
同じ家の裏庭の端っこでは たくさんのひまわりが 咲きに咲いて

それこそ 黄色い「生」が 狂喜乱舞していた

花が終わったあと
幼い僕は
枯れた花から種をほじくり出したり
地面にぼろぼろと落ちたひまわりの種を 
手にいっぱい すくい上げたりする

思えばそれは
「あの命」 を 擬似的に すくい上げていた行為 だったのかもしれない



あの家 今は どうなってるんだろう
あの家には もう誰も いない はずだ

たぶん くだものの木はみんな 枯れてるんだろうな
誰も  いないんだから


当時のくだもの と ひまわり たちに
感謝しなければ ならない

そして 感謝しつつも
それらを またこの手に この胸に いだきたくなる


四十をゆうに超えるこの歳になっても (いや、この歳だからなのか) 
いまだに 自分は 
「足るを知る」 ことからは はるか 遠くにいて


とにかく 今  

甘酸っぱい くだもの と 黄色い「生」の花が   

なぜか無性に  この手に 欲しいのである

  
♪ テーマ曲 「花」 by 沖縄の人なら どなたでも(笑) ♪

関連記事:
「色事は 四十からが面白し」
「月子さんのお話 (4) ~遊郭の夕べ~」
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# by y_natsume1 | 2008-05-25 18:18 | 日々の雑文

好きな食べ物 (4)

白いご飯とみそ汁に合うもの、 一緒に食べたくなるもの・・・・・・・。

たくさん、たくさんあるけど、まずは
白菜の漬物。 

これ、ホントにうまい。 大好きだ。
キムチも好きだけど、普通の白菜のお漬物の方が白いご飯がすすむ。

そして、ご飯の上に
キュウリの古漬け(ぬか漬けが古くなったヤツ)と
生姜を刻んだのと鰹節をそれぞれたっぷりのせ、
しょう油をちょっと垂らす。

これも白いご飯にとても合う。
二日酔いの朝にもいい (朝ごはんは土日の休日だけは食べる)。

普段は雑穀米や玄米を炊いて食べることが多いけれど、
白米はやはり日本人の食の王道、基本、でしょ。

ここ数ヶ月は特に、食事が美味しく感じられている。

当然、 太る。

ジムに行く。 ダイエットする。

食べる。 飲む。

太る。

ジムに行く。 ダイエットする。

また、食べる。 飲む。

♪ テーマ曲 「島唄」 by THE BOOM ♪
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# by y_natsume1 | 2008-05-21 20:37 | ごはん

アルゼンチン料理は肉だろ やっぱり

ちゃんとした肉を大量に食べたくなって、
わざわざ遠く、川崎の隣、鶴見にあるアルゼンチン料理の店 La Estancia  まで行く。

アサード(牛の骨付き肉)、チョリソ、モルシーシャ(血入りソーセージ)の炭火焼盛り合わせ
ボリビア風リゾット。
フリホール(黒豆の煮込み)。
牛肉のステーキ。

アルゼンチンの赤ワイン 「インカ」。
マテ茶。

アルゼンチン風エンパナーダ(具はビーフとチキンがあるがチキンを選択)。

どれもこれも、 うまい。 ホントにうまい。

ニンニクや胡椒などのスパイスの使い方がおみごと。
日本人の味覚に合わせたり、おもねろうとしたりせず、
たぶんアルゼンチンの味のまんまなんだろうな。
そこがいい。

次回はハチノスの煮込みや、鳥のもも肉も食べてみたい。

太った。 完璧に。

幸せだ。

♪ テーマ曲 「Tres Notas Para Decir Te Quiero 愛を奏でる3つの音符」 
            by Vincente Amigo ♪
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# by y_natsume1 | 2008-05-18 14:27 | ごはん

ジャスミンと巫女

2008年5月初旬の深夜、某酒場に入っていく。

隅の席で見知らぬ恋人たちが濃厚なキスを交わしている。

その傍ら、
カウンター席で飲んでいたミュージシャンとTVマンとI氏たちと、
やって来たばかりの僕は、
数ヶ月ぶりに再会する。

既にカウンター席はいっぱいだ。

僕は中央の台のところに「特別席」を作ってもらい、
1人、立ち飲み。


僕が1人で飲んでた中央の台のところに
ミュージシャンやTVマンがなぜか自然と集まり始め、
僕と一緒に立ち飲み。

マスターも時々参加する。

ミュージシャンはもうすぐ新しいCDアルバムを出す予定だ。
嬉しい。

隅のカップルの熱いキスを ちらちらと楽しみながら 見て見ぬフリをしながら、

音楽と京都と恋人達の熱いキスの方法と詩と九条と巫女の存在とが
僕たちによって代わる代わる語られる。

なんて楽しい夜なんだろう。

ボクハ コノヨル 10スウハイ イジョウ ノ ペルノー ノ ソーダワリ ヲ タイラゲタ

****************

気がついたら 僕はいつのまにか別の空間にいる

夜のカレーライスが
首都高の擬似ムーランルージュに激突し
28種類の色彩を必死で犯している

いや 犯している幻想を抱いている

あの「巫女」が
映画でアンディ・ウォーホールを演じた俳優 
(それはデビッド・ボウイでもガイ・ピアースでもいい  それは問題ではない) 
に乗り移り

僕たちに告げる

5番目の砂漠へ向かえと

音楽の舌と僕の舌がねっとりと絡み合い  
吸い合っているうちに

間抜けなことに

ボブ・ディランの豊満な胸は とうとうはちきれて
5番目の砂漠にミルク色の涙を落としまくる

砂漠を目指して僕たちは動く

巫女のお告げによって青山経由で(逆方向だろうに)
三宿の黄色い酒場に場面が変わる

巫女の姿はここにないが 
ここでも僕を守っていることに変わりはない
ジャスミンの匂いでそれが わかる

黄色い酒場で僕の大好きなイエローセンターラインが流れ
そのすぐ後に人間の証明のテーマ曲がかかる
その曲は黄色い酒場で必ず最後にかかる 閉店の合図だ

ありがとう  マスター

楽しくて幸せな酒だった 

僕はディランの涙という名の雨が落ちまくる午前10時の街に出て
この世とあの世のはざまの 微妙なグレイゾーンを漂いながら
オパールを探し始める

僕は どこで射精すればいいのだろう


ヘンリー・ミラーが書いているように
僕たち人間には時間よりも空間が必要なのだろうか

だとすれば それは どこだ?

そもそもオパールにもディランの涙にも首都高の擬似ムーランルージュにも
何の意味もないのだ

いや すべての名称には

何の意味もない
何の意図もない
何の根拠も ありはしない

意味を求めてはいけない
答を追いかけてはいけない
応えを期待すべきではない

人は皆 求めすぎなのだ
意味などないのに

ただの 記号だ
何かと何かを相対的に区別するためだけの

相対的な区別の点では多少の意味はあるが
それだけだ

そして ただ 存在するだけだ

切ないほどに


僕が問うているのは 意味や意図ではなく
存在そのものなのだ

ここでは存在そのものが 問題なのだ
本当に この世に 存在しているのかどうかが 今 重要なのだ


二つの睾丸の間でペニスを硬く勃起させながら
僕はこれでもかというほど何度も
月子さん(仮名)とワルツを踊っている幻覚を観る

(今夜の「月子さん」はいったい誰のことを指すのだろう? それが誰であろうと本質的な問題ではないのに そんなふうに人は僕に尋ねようとするのだ  愚かなことだ )

このとき 幻覚(あの世)の中でも
僕の勃起したペニスはしっかりと存在していた ハズだ


けれど現実(この世)においては 僕の目の前で
ディランの涙に濡れた街が
美しい墨絵そのものとなり
とっくに僕を狂気に導いているところだ

午前10時の雨に濡れた新緑は 
鮮やかなモノトーンの墨絵に同一化する

香を焚こう
清めよう この 空間を

京の街で買い求めた  「墨香」という香を焚こう

そしてその香りの中で西東三鬼や金子光晴のような
色っぽくて味のある無頼な文章を高らかに朗読しよう
言葉そのものの意味ではなく 彼らの存在を感じるために

夜が明けたというのにあの月は まだ見えない
僕が見たいのは 夜の月じゃなくて
昼間の赤い満月だ

いったい いつになったら あの月を見ることができるのだろう

ねぇ、オパール、
そこに、 いるんだろ?

    いつか いつの日かきっと 僕と ワルツを 踊ろう  

♪ テーマ曲 「waltz #2 (XO)」 by Elliott Smith ♪
♪ テーマ曲 「bottle up and explode !」 by Elliott Smith ♪
♪ テーマ曲 「miss misery (early version)」 by Elliott Smith ♪

関連記事:
「月子さんのお話 (4) ~遊郭の夕べ~」
「京方人(みやこかたびと)」
「三線の調べに酔っておるのだ」
「亜空間の果て」
「亜空間の果て (3) ~九つの満月~」
「無頼の短編小説 「神戸」 by 西東三鬼」
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# by y_natsume1 | 2008-05-11 17:42 | Moon

映画 マイ・ブルーベリー・ナイツ (2007)

ジュード・ロウが電話で怒鳴る。

客の名前?
覚えてないな。
何を注文した客なのか言ってくれ。
いちいち客の名前なんか覚えてられない。
けど、注文内容が分かれば、だいたいどの客か分かるから。

・・・・・・・・・正確じゃないけど、
たぶん、こんな感じのセリフだったと思う。

常連客ならいざ知らず、1度来ただけのお客の名前や住所までいちいち聞いて覚えておくようなバーテンダーは、普通はいない。

根掘り葉掘り聞かずに、
客をそっとしておく寡黙なバーテンダーが大抵の場合は望ましいわけだし。

バーテンダーたちだって、記憶すべきことがあればキチンと記憶するだろうし。

だから、そのシーンには素直に共感できた。


それと似たようなことが自分にもときどき起こる。
客の立場として。

僕のいないときに
お店で他の誰かが僕のことを尋ねてくれることがあるらしい。

ゴロワーズ吸ってペルノーのソーダ割りばっかり何杯も飲んでたあの人、今度いつ来るの、また一緒に飲みたいんだけど、みたいな感じで。

(尋ねてくれるのはなぜか男性陣ばかり(苦笑)。 こないだも警察の特殊部隊SATのタフガイたちに気に入られてたらしい・・・・・。 あっちの意味じゃなくてね。 泥酔しててほとんど覚えてないんだけど。  泥酔してるのに面白いヤツだと同性に気にかけてもらえるのはとても嬉しいことなんだけど、女性にご縁がないのは、相変わらずなんだよなぁ。)


それとこの映画で他にも印象的だったのは、
メンフィスの夜の酒場の場面。

デイヴィッド・ストラザーンが飲んだくれるシーンが、
とても人間くさくて、いいんだな。

ストラザーンが絡んでるエピソードそのものは、
悲惨でどうしようもないのだけど。


夜のハイウェイは
ロードムービーとしての神秘的な色を僕たちに見せつけているかのようだ。

♪ テーマ曲 「どしゃぶりの雨の中で」 by 和田アキ子♪
♪ テーマ曲 「夜のハイウェイ」 by ザ・モッズ ♪
♪ テーマ曲 「崩れ落ちる前に」 by ザ・モッズ ♪
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# by y_natsume1 | 2008-05-10 13:25 | 過去の映画評「ま」

男の料理 (8)

連休だと怠惰になって、生活のリズムが狂いやすくていかんねぇ。
自嘲。

2008年5月初旬のある休日。 午前3時。

ずっと酒ばかり飲んでて ほとんど丸一日食べていなかったせいか、
目覚めたら猛烈な空腹感に襲われる。

それも、深夜のおかしな時間帯に。
家には誰もいない。

ボブ・ディランのCDをかけながら、しばし思考する。

外へ出たくないし
出たってこんな時間帯に食べたいものにすぐにありつけるかどうか。

仕方なくスパゲティを作る。

作るってほどのものでもないが。
騙されたと思って、テレビのCMどおり、やってみる。

永谷園の 「松茸の味お吸いもの」 の素を
茹でたスパゲティに和える。
バターとしょう油を少し使って風味を出す。

ただ、それだけ。

簡単。 まずまずイケル。
ものすごく美味いわけじゃないけど、決して悪くはない。

それでもまだ満腹にならなくて、
トーストサンドを作る。

ボブ・ディランは相変わらず意味深な曲を歌っている。

8枚切りの普通の食パンを2枚、軽くトーストして
マーガリンと粗びき粒マスタードを塗る。

ハムがなかったから魚肉ソーセージをスライスして
レタスと一緒にトーストに乗せ、
マヨネーズをかけてさらにもう1枚のトーストではさむ。

ゆで卵をスライスしたのも本当ははさみたかったけど、
茹でてる時間がもどかしくて、
あきらめる。

スパゲティ茹でるのまでは我慢できたけど、
今からゆで卵まではもう待てないって感じで。

包丁で半分に切って、ほおばる。

ドリンクはガス入りの水にライムを搾ってもよかったのだが
あいにくライムも切らしているときたもんだ。

めんどうなので缶ビール。 迎え酒。

正解。

うまい。

♪ テーマ曲 「Love Minus Zero / No Limit」 by Bob Dylan ♪
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# by y_natsume1 | 2008-05-05 19:41 | ごはん

京方人(みやこかたびと)

2008年4月26日(土)。

大阪出張のあと会社の皆と別れ、1人で京都に立ち寄る。

この日訪れた神社仏閣は、
西本願寺、東本願寺、三十三間堂、上賀茂神社。

どこも新緑が美しく、
その建築様式に心を奪われる。

例えば西も東も本願寺の建築物は雄大で、
唐門は妖しいほどに色っぽく素敵だ。

(同じ雄大さという意味で、昨年訪れた知恩院も大好きなお寺である。)

西本願寺のお隣にある龍谷大学の歴史的な西洋建築もみごと。
素晴らしい。


今回、御影堂が修復中の西本願寺を訪れた時のこと――。

西本願寺と龍谷大学の間にある小道(北小路通)を
堀川通りから幼稚園方面に向かって進む。


唐門あたりに来た時、なぜか突然、
僕は一種のトリップ状態に陥る――。

**********

――以前勤めていた会社の同僚(でも僕より10歳位年上だった)、
シンさん(仮名)のことが急に頭に浮かぶ。

シンさんは10年ほど前に病気でこの世を去った。
ずっと体調が思わしくなく、彼がロンドン勤務を切り上げて日本に帰っていたときのことだ。

僕は当時マレーシアに駐在していて、その急な訃報を聞いて驚いた。

訃報の2~3ヵ月後ぐらいだったと思うけど、一時帰国した際に、
シンさんのマンションに未亡人を訪ねて、お焼香させて頂いた。
子供はいない。

僕とシンさんは年齢だけでなく育った環境も経歴もまるで違ってた。
それほど親しく深く付き合いがあったわけでもない。
それが当時のあの会社では普通のカルチャーだったし。

けれど僕とはなぜか妙にウマが合い、互いに親しみがわき、
自宅が割と近いということもあって(互いの家には行かなかったけれど)、
ときどき同じ電車で一緒に帰宅したものだ。

・・・・・・・・ この数ヶ月、よくシンさんが僕の心に現れる。 

今から半年ほど前、
僕は以前の会社の総務部に本当に電話して、
シンさんのお墓がどこか、知っている人でもいないだろうかと尋ねたほどだ。
(お墓ぐらい知っとけよ、自分。 ご遺族の連絡先ぐらい書いとけよ、自分。)

結局は分からなかったけど、お墓参りに行きたい気持ちは今も、ある。


「夏さん(僕の愛称)、大丈夫だよ。 安心して。 大丈夫。 安心して夏さんの人生を楽しめばいいんだよ。 オレの分まで、楽しんでおくれよ」

彼は僕のところに現れるたびに、そう言う。 

いや、そんな風に聞こえるような「気がする」、
と言った方がもう少し正確かもしれない。

僕には霊感なんかまるでないから。

けれど唐門の手前でシンさんのことを
何のきっかけもないのに突然思い出したのは本当なのだ。

うまく言えないけど、ふとした拍子にシンさんのことを思い出し、
シンさんが話そうとすることが、ただ僕の心になんとなく浮かぶ、
そんな感じなのだ。

特にこの数ヶ月から半年は、何度かそういうことが起きている。

僕はいつもシンさんに、守られているのだろうか。


**********

―― ほんの数秒の間だったけど、
春の京(みやこ)は、僕を異なる時空へいざなう力が、あったのかもしれない。

あぁ、なんだか新緑が、
美しすぎて、まばゆい。

「生」そのものが、まばゆいように。

この日の本願寺の唐門や三十三間堂をすすめてくれた「その人」に、
僕は心から感謝している。

♪ テーマ曲 「アメイジング・グレイス」 by 藤原道山 ♪
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# by y_natsume1 | 2008-05-03 19:32 | アジア的独白

月子さんのお話 (4) ~遊郭の夕べ~

2008年4月22日(火) 夕刻。

一週間ほど大阪出張。
空き時間を利用して大阪市西区の九条へ。

僕の実母である月子さん(仮名)は
九条で昭和10年(1935年)に生まれ、
空襲が激しくなって四国に疎開する昭和20年まで、
九条で育った。

月子さんの生地を一度は訪ねてみようとやって来た。

月子さんの除籍謄本で生地の所在地を読み取るも、それは旧住居表示。
現在の住所だとどの辺りになるのか、わからない。

しかも自宅近くの病院で生まれた可能性だって高い。
生地は単なる病院の所在地かもしれない。
けれど九条にずっと住んでいたのは何度も聞かされていたから、
それ自体は確実だろう。


西区と港区(九条は一時期港区管轄だったこともある)の両区役所に電話で尋ねる。


教えられた、おおよその、たぶんこの辺りだろうという場所に、
初めて足を踏み入れる。

商店街のアーケード。
少し奥に折れると、住宅地。
いわゆる、下町。

薄暗くなった路地裏のアスファルトの上で
子供達が無邪気に遊んでいる。

平和だ。

なんて平和なんだろう。

この辺りで焼夷弾の空襲の中を逃げ回った月子さんは、
生きていたらどう思うだろう。

ここには月子さんの全ての原点がある。


・・・・・・ 駅の反対側は、いわゆる昔の赤線地帯、
有名な遊郭があったところだ。

いや、料理組合と名前を変えてはいるが、
今もこの辺り一帯が実質的な遊郭であることに変わりはない。

高架をくぐり、駅の反対側の、そこに行ってみる。


通称、 松島新地。


レトロでステキな瓦葺の2階建ての日本家屋が
いくつも、いくつも並んでいる。
桃色と白のツートーンカラーの灯籠があちこちに。

これら建築物は本当に素晴らしい。

大阪大空襲で全焼したから、今の建物は戦後のものか。
それでも、味のあるとってもいい雰囲気。

それぞれの店の玄関そばの窓際には
若くて美人のオネエサンが1人か2人、
(ホントにレベル高い美人です。)
店を仕切る年かさのオバハンとコンビで座っている。


暮れ六つ時、
ほの暗い妖艶な灯りの中、
僕が前を通るたびにどの店からも、

「お兄さん、遊んでって」
「どうぞ」

などと声がかかる。

その声は、大き過ぎず、小さ過ぎず、
嫌味もなく、なぜか心地良い。

(新宿歌舞伎町の下品な客引きとは大違いなぐらい、粋でステキな声。)

月子さんが僕によく言っていた。

「あなたのおじいちゃんは全然女遊びもせず、
きちんとしたマジメで堅い人だったんだよ」って。

今になって分かる。

たとえ歩いていける近い距離にあっても、
駅の反対側の、松島新地なんぞにあなたの祖父が行くようなことはなかったんだよ、
とでも月子さんは言いたかったのだろう。

子供の僕に、表現を変えて伝えただけだ。

けれど、僕は今、思う。

行ってたって、今の僕なら、別に否定はしない。
嫌な気もしない。
そんな野暮じゃない。

こういった遊郭の世界に対して
世間で賛否両論あるのは承知しているけど、

じいちゃん、それぐらい行ってもいいじゃないか、と思う。

堅すぎるぐらいお堅い祖父のことを考えれば、
遊郭に行ったことがあるぐらいの方が、
かえってヒューマンで人間臭くて、
もっと親しみを感じるだろうから。


1930年代、祖父は旧逓信省勤めで、
(セピアカラーの写真からはいつも)ツィードの三つ揃いスーツを粋に着こなし、
電報(モールス信号)の英語担当をしていた。
電報の英語の文法の間違いを正す役だ。

確か旧制中学の途中で社会に出た祖父は、
英語もフランス語も独学だったそうだ。


逓信省を辞めた後も、祖父の耳にはモールス信号のような音が耳に残っていて、
実際に何かの拍子でモールス信号に近い音が聞こえると、
まるっきり言葉と同じように聞こえるのだ、
と言っていたのを思い出す。

祖父はどんな信号を言葉に変換し、どんな言葉を信号に変換していたのだろう。



・・・・・この一帯は、なんだか不思議な場所だ。

こういった日本家屋を観ているだけでも、むちゃくちゃカッコイイ。
それに、この妖艶で、いかにもアヤシイ雰囲気。

まさか僕自身が、祖父や月子さんの代わりに、
昭和10年ごろにタイムスリップしている、とでもいうのだろうか。

それほど僕の時空感覚は、 狂いに狂っている。

ねぇ、月子さん、
あなたは今頃どこでどうしているんだろ・・・・?

その「今頃」って、いつのことを指してるんだろ?
その「どこで」って、どこのことを指してるんだろ?

僕は僕自身でなくなっていく。
混乱する。

今、祖父が僕自身に乗り移り、
いや、僕が祖父自身になって、この街を歩いている。

この世とあの世の境目に、もう一つのグレイな世界ができあがり、
僕は僕自身でなくなっていくのだ。


・・・・・・ しっかりと、夜の帳が、降りる。

新地の辺り一帯をぐるぐると小一時間も歩き続けたろうか。

酒を飲もう。 この地で。

カウンターだけの居酒屋に入り、日本酒を。


翌日、4月23日は、生きていれば月子さんの誕生日だ。
偶然とはいえ、ちょいと不思議。

出張スケジュールは自分じゃ選べないから、本当に偶然なんだけどね。

熱燗でこの大切なひと時を、祝おう。

僕は僕の祖父となって、
月子さんの父親となって、
月子さんとなって、
そしてふたたび僕自身となって、

祝おう。





黄色い時間は月を青い色に染めた上で、
モールス信号の英語の電文を 切ないラブレターに変換している。



♪ テーマ曲 「between the bars」 by Elliott Smith♪
♪ テーマ曲 「la dilettante」 by hauschka ♪
♪ テーマ曲 「月の鏡」 by 藤原道山 ♪


関連記事:
「月子さんのお話 (3) ~春の残酷~」
「Blue Train」
「ソウル・バーの夜 (4) ~キサス・キサス・キサス~」
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# by y_natsume1 | 2008-04-29 16:34 | Moon

雨のシンガポール (7) ~片手だけじゃ音は鳴らない~

2008年3月某日。

シンガポール Day #2 (その3)。

♪ テーマ曲 「Miss Misery」 by Elliott Smith ♪ 

(この曲を何度もかけながら、今回の文章を書いている。 本当に相手は僕を必要としてくれているのだろうか・・・・・、そんな歌詞は、アジアに片思いのような恋をしているくせに素直になれずに斜に構えている今の僕に、ピッタリだ。)

****************

夜9時過ぎ、ゲイランから龍の車でチャンギ空港へ移動する。

食事も買い物も人に会うことも、
全てが濃密な2日間だった。

車の中で龍に聞く。

濃密って英語でどう言うんだ?
squeeze two days (ぎゅっと絞った2日間)か?


あぁ、それなら compact two days かな。


ふーん。 そうか。
お前のおかげでホントに濃密だったよ、今回の2日間は。


そりゃどうも(笑)。
俺はヨシがシンガポールに来たときは、いつもCEOやってやるよ。
お前の世話係、Chief Entertainment Officerだ(苦笑)。



なぁ、龍、
また皆で一緒に旅行したいもんだな。
そう何回も行きたいって訳じゃないんだけどさ。


いいな。 前は箱根の温泉だったろ。
今度は日本のスキー場なんかどうだ(笑)。



いやぁ、龍、オレ、スキーは、ちょっと・・・。

*********


それにつけても、今回のシンガポール2日間は、
濃密ではあるけれど
微妙に何かが違っていたような気もする。

ほんの少しの違いなのだけど、何か、決定的な違い。

歳をとったせいなのか、
興味や好奇心が薄くなったせいなのか、

それが何かは分からないけど、
少し東南アジアが遠くなったような気がする。

今回はほとんど雨で、
涼しくて、熱帯の気候じゃなかったことが、
微妙だけど決定的な違いを感じさせているのだろうか。

ほとんど雨っていっても、たった2日間のことだから
それぐらいはいつもあり得ることなのに。

・・・・・・ 太陽はこの2日間、
         ずっと泣いていた、ということか。

僕にとって、今も東南アジアの匂いや雰囲気が好きなことに、
変わりはないのだけど。


龍から間接的に聞いたのだが、
龍のシンガポール人の同僚(男)のエピソードがある。

その人が以前、ある娼婦と会話した時のことだ。

「キミをすごく気に入った。 気持ちよかった。 スタイルも顔もタイプだし」

「ありがとう。 でもね、あなたが私を気に入ってくれたのなら、そういうときは相手(私)も同じような気分・・・じゃないかな。 私も気持ちよかったわよ(笑)。 よく言うでしょ、手を叩いて音を出すには両方の手が必要だって。 片方だけじゃ、決して音は、出ない。 それと、おんなじかな・・・・・・・」



・・・・・・ 僕はこの話を聞いて、

もしかしたら娼婦というものは、
世界で最も文学的でユーモアに富んだ存在の一つなのかもしれない、

とさえ思った。


僕がこの東南アジアを、南洋を、好きでいる限り、
東南アジアの側も、僕をいつも温かく受け入れてくれるといいのだが。

************

・・・・・・ 龍の車はチャンギ空港のT2に到着する。

車を停めたせつな、
僕も龍も同時に同じことを口にする。
家族によろしく伝えてくれ、と。

龍は苦笑する。 同じこと言ってるな、俺たち。

じゃ、またな。

握手して別れる。

僕は右手でスーツケースを引く。

左手には、
ホテルでチェックアウトする時にもらってきた小さめの青リンゴが1個ある。

青リンゴ。

今のうちに食べとかなきゃな。
果物は、原則持ち込み禁止だからな。
と思いつつ、搭乗手続き。

パスポートよし、ボーディングパスよし、
携帯電話の電源は切って、村上春樹の文庫本を持ち・・・・。

ほろ酔いの赤ワインが今この瞬間もボサノバと甘美なデートを続けているといいなぁ、
と思いながら、

出発ゲートをくぐる。


・・・・ おっと、 青リンゴ、 どこだ? どこいったっけ??

♪ テーマ曲 「Miss Misery」 by Elliott Smith ♪

(終わり)

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「雨のシンガポール (2) ~屋台街で朝ごはん~」
「雨のシンガポール (3) ~赤ワインとボサノバがデートする~」
「雨のシンガポール (4) ~赤線地帯~」
「雨のシンガポール (5) ~肉骨茶と誕生会と~」
「雨のシンガポール (6) ~赤線地帯 再び~」 
「雨のシンガポール (7) ~片手だけじゃ音は鳴らない~」
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# by y_natsume1 | 2008-04-26 21:29 | シンガポール

雨のシンガポール (6) ~赤線地帯 再び~

2008年3月某日。

シンガポール Day #2 (その2)。

夜、龍の車で土産物を買いに出る。

ボー・ティー(BOH:Best of Highland Tea)のマンゴー・フレーバーのやつ。
肉骨茶(バクテー)のスープの素。

月餅(ムーンケーキ)は大体8月~9月の季節モノだから見つけにくい。
空港のDFSで買うことにする。

2005年にシンガポールに来た時に気に入ったRotiboyを思い出す。

あのパン屋は?
と龍に聞いたら、もうビジネスを撤退して、なくなっていた。
残念。

薄利多売の事業らしく、シンガポールで急激に拡大しすぎたせいかもねってさ。

車はゲイラン地区へ。

娼婦たちが大勢たむろする、
アヤシイ夜のストリート。

小雨の降る中、車を降り、
少し路上を歩いて露店のある辺りへ。

ここで最大の目的、ドリアンを喰らう。
やっと実現。 嬉しい。 うまうま。

僕がマレーシアに駐在していた頃からの、大好物。

味がどうのこうのっていうよりむしろ、
クセになってるっていう方が表現としては的確かも(ニンマリ)。


そろそろ雨も上がるだろうか・・・・。

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♪ テーマ曲 「Waltz #2 (XO)」 by Elliott Smith ♪
♪ テーマ曲 「Needle in the Hay」 by Elliott Smith ♪
♪ テーマ曲 「Angeles」 by Elliott Smith ♪


(つづく)

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「雨のシンガポール (7) ~片手だけじゃ音は鳴らない~」
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# by y_natsume1 | 2008-04-20 10:16 | シンガポール

雨のシンガポール (5) ~肉骨茶と誕生会と~

2008年3月某日。

シンガポール Day #2 (その1)。

夜が明ける。
またも雨。
それも、スコールって感じの雨。

ホテルをチェックアウト。

約束の時間通り、龍(仮名)が車で迎えに来てくれる。



今度こそは、と朝飯に肉骨茶(バクテー)を食べに行く。

肉骨茶のスープには俗に白系と黒系というのがある。

白系は胡椒風味のシンガポール・スタイル、
黒系は漢方薬やしょう油風の調味料などで煮込んだマレーシア・スタイル。

僕はどちらも大好きだけど、
どちらかというと、黒系マレーシア・スタイルの方が好き。

シンガポールにいるから今回のは白系。  

うまい! 大正解。
ありがと、龍。

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・・・・・・お店を出ていったん龍の自宅コンドミニアムに。

雨は激しさを増している。

荷物を龍の家に置かせてもらい、
龍の3番目の娘さんの7歳の誕生パーティーで
ユニオンの娯楽施設へ行く。

そこはキッズセンター兼ショッピングモールって感じか。

プレイルーム一室を借り切って、
親戚の子供達を招いて誕生会。

日本人のオジサン(僕のこと)が、なぜか違和感なく溶け込んでいる。
ここで生活してるみたいだ。

龍の娘たち、3姉妹と再会。
相変わらず、上の2人は歌をハモると天使のようにうまい。

長女は12歳で、もう大人びてきている。

「ね、アンクル・ヨシはビール好き? ビール持って来ましょうか?」
とか、
「日本食だと寿司が好き」
とか言ってる。

今回の誕生会で、前にシンガポールに来たときにお会いした、
龍の奥さんのお姉さんやお母さん(龍の義母)、子供たち
 にも再会できた。

ご縁が、あるんだろうかね。
何かの節目に、偶然にせよ、必然にせよ、
なぜかスムーズに会えてしまうということは。


雨はスコールどころではない。
台風かと思うほど強風と激しい雨で、雷も鳴っている。



・・・・・・・夕方、龍の家で食事。
龍のお母さんが作ってくれる、いつもの手料理。

鶏肉の照り焼き、エビのから揚げ、野菜の炒め物、
煮魚、豆腐のスープなどなど。

龍のお母さんは広東系、お父さんは福建系で、
両者とも英語が話せない。
龍の奥さんは広東系。
だからご両親との間では大抵はマンダリン(共通語)で話すのだそうだ。

龍の奥さんが僕に通訳してくれる。

いつもの、シンプルな料理だけどね、ってお母さんが言ってるよと。

そんなそんな。 シンプルな家庭料理こそがありがたいんだから。

お父さんはご飯におかずを少しずつ盛って、
自分の部屋に引っ込んで1人で食べる。

前回僕が訪問した時は皆で一緒に食べたけど、
いつもはこうやって1人で
部屋でTVを観ながら食べる習慣らしい。



・・・・・ 食事が終わり、ご家族にお礼とお別れのご挨拶をする。

お父さんは昭南島(シンガポール)占領時の旧日本軍から習ったカタコトの日本語で、
アリガト、サヨナラ、だ。

いつのまにか雨も小降りになっている。


深夜便のフライトまで時間がある。
チェックインのタイムリミットまでだと、あと2時間ぐらいはあるはず。


土産物を買おうと僕は龍の車に乗せてもらって
コンドミニアムを出発する――。


それにしても・・・・・、
ここでもオパールは見つからない。

太陽が西から昇りでもしない限り、
40年「前」の「未来」にタイムスリップでもしない限り、
満月が同時に9つにでも増えない限り、

見つからないのだろうか。

信じたくない。

ねぇ、オパール、
絶望的な希望は、ホンの少しでも、まだあるはずだろ?


・・・・・ 龍の車は夜のハイウェイでスピードを上げる――。


♪ テーマ曲 「雨の御堂筋」 by 欧陽菲菲  ♪
♪ テーマ曲 「ダンスダンスダンス」 by 宇都宮隆 ♪
♪ テーマ曲 「Squall」 by 氷室京介 ♪

(つづく)

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# by y_natsume1 | 2008-04-18 20:37 | シンガポール

雨のシンガポール (4) ~赤線地帯~

2008年3月某日。

シンガポール Day #1 (その3)。

夕方、ホテルで華人系マレーシア人の旧友フェイ(仮名、マラッカ出身)と待ち合わせ、イーストコーストの、シーフードレストランがいくつもある海沿いエリアへ。

フェイは僕の以前のブログ記事 「ゆるゆると シンガプラ (8)」 では旧友Eとして、 「シンガポール出張(7)」 では旧友Dとして書かれている。  めんどうなので、今回から仮名フェイとしておく。



龍(仮名)たち夫婦はまだ来ていない。

この時だけ、雨はほとんど上がっていて、
海岸沿いをフェイと散歩しながら話す。

僕は彼女には気を遣わずに、割と何でも素直に話せる。

以前勤務していた会社の同期で
最初に出会った14年前からずっとそうだ。

たま~に会えばその時は、僕の仕事上の悩みにも、
けっこう親身になって適切なアドバイスをくれる。

龍もそうだけど、フェイは僕のメンターといってもいい。

彼女は真面目で嫌味がなく、聡明で、
礼儀正しく、そして思いやりがある。

いまだに彼女が独身なのが不思議なくらいだ。
ま、こればっかりはご縁なんだろうけど。

フェイも僕に対しては同じような感覚で、
話しやすいんだそうだ。

彼女は自分の母親に、

僕という日本人の友達がいて、そいつはなぜか肉骨茶(バクテー)みたいなローカルフードが好きで、コロニアルスタイルの建築物が好きで、英語の苦手な日本人駐在員と違って英語話すし、なんか不思議な日本人なのよ、

と説明しているらしい。


フェイの母親は言ったそうだ。
普通の地元の友達でも10年以上連絡してない人だっているだろ、
それが14年も続いてるのかい、結構長いね、
気を遣わないでいられる仲間なんだろうね、友達の中でも・・・・と。

そうね。
そうかもしれない。
お互い、妙に気を遣うなんてこと、考えたこともない。


・・・・・・・・ やがて龍と奥さんがやってきて4人で晩ご飯を食べ始める。

選んだメニューは・・・なぜかいつもと同じになる。

クラブ(蟹)のブラックペッパー風味。
エビのから揚げ。
ベビーカイランのガーリック炒め。
頼んだ魚は売り切れ。
ビール。 ご飯。


食事を終えたあと、
龍の運転する車で皆でGeylangゲイラン地区へ行き、
亀苓膏(グイリンガオ)やマンゴープディングを食べる。

亀苓膏は漢方薬と亀のエキスをゼリーにしたデザートだ。
苦味を楽しむ。
マレーシア駐在時代にはよく食べた。

横浜の中華街で缶詰形式のものなら売っている。


・・・・・・ 再び雨が少し降ってくる。

ゲイランでは
インドネシア系娼婦の吸う甘いガラムの匂いが漂い、
メインランドチャイナからであろう細くて手足の長い娘たちで
あふれかえっている。

ここは政府公認の売春地域で、昔の日本で言う、赤線地帯だ。

商売を仕切っている男たちはシンガポール人ではないそうだ。
大抵はインド系か、大陸(中国)の人間だという。


ここには日本人観光客はまずいない。

日本人駐在員や西洋人も、時々いるにはいるが、
目立つほどの人数が視界に入ることは稀だ。

要するに、日本人はほとんどいない。
だが、僕はなぜかこの街に溶け込んでしまうのだ。


僕はゲイランの猥雑さが、生き生きとした様が、小汚い野性味が、
大好きだ。

もし、ゲイランがなくなったら、
ある意味で僕にとってのシンガポールという街の魅力は
半分以下になるだろう。


ゲイランには娼婦のいる売春宿だけでなく、
安くてうまい屋台レストランがいくつもある。

さすがに病気が怖くて娼婦たちには近づかないけれど、
屋台街のローカルフードを楽しみたくて、僕はよくゲイランを訪れる。


潮洲粥(テオチュウポリッジ)、亀苓膏(グイリンガオ)、
肉骨茶(バクテー)、クレイポットライス、海南鶏飯(ハイナニーズチキンライス)・・・・。

いくつも並んでいる。 それも力強く。

コロニアル・スタイルの、ノスタルジックな建物が
ずっと先まで続いている。

ゲイランの妖しい猥雑さは、
清潔で美しいビル群に代表される
シンガポールの一般的外面(そとづら)のイメージとは違うけれど、

この地区があるからこそ、
皆、生き生きとしているのではないかとさえ、思う。


猥雑さは、
いつの世においてもある程度必要で、
いつの世においても何らかの真実を突いている。

・・・・・・ この夜、
小雨は降ったり、止んだり、だ。

♪ テーマ曲 「悲しき雨音」 by ザ・カスケーズ ♪
♪ テーマ曲 「雨の歌 チェロ・ソナタ ニ長調 作品78」 by マイスキー(作曲 ブラームス) ♪
♪ テーマ曲 「Rain」 by ザ・ビートルズ ♪

(つづく)

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# by y_natsume1 | 2008-04-13 18:31 | シンガポール

雨のシンガポール (3) ~赤ワインとボサノバがデートする~

2008年3月某日。

シンガポール Day #1 (その2)。

龍と別れ、ホテルに戻る。
シャワーを浴び、着替える。

・・・・・ 雨の午後、コロニアルスタイルの、
とても感じのいい2階建ての白い建物にタクシーで乗りつけ、
1人で、入っていく。

周りには緑があり、音楽はボサノバが流れている。

オーストラリア産の赤ワインは極上で、
こんなにおいしいワインは久しぶりだ。
すぐに   ほろ酔い。  いい気分。

タバコを吸いに、灰皿を借りて中庭の席へ出ると、
魅力的な女性が、
タバコご一緒してもいいかしら、と近寄ってくる。

どうぞ。

パープルの、センスのいいドレス。
紫の靴とおそろいだ。

なかなかいい組み合わせだと思う。


その頃、 雨はスコールのような激しいものではなく、
しとしと降る、静かな雨になっていた。

小雨だ。

ワイングラスを持ったまま少し上の方を見上げると、

椰子の木の緑と、空のミルク色と、 
グラスに入った赤ワインのバーガンディが、

互いに鮮やかな色彩を競い合い、
厳かに祈り、歌っている。

もう一度地上に目を向ければ、

パープル・ドレスの女性の向こうで、
ほろ酔いの赤ワインがボサノバと甘美なデートをしている。

至福の時を迎える。

この至福の時を、 心から 祝おう。

♪ テーマ曲 「赤いセーター」 by 加山雄三 ♪
♪ テーマ曲 「フェリシダーヂ」 by 小野リサ ♪
♪ テーマ曲 「三月の雨」 by 小野リサ ♪

(つづく)

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# by y_natsume1 | 2008-04-11 20:13 | シンガポール

雨のシンガポール (2) ~屋台街で朝ごはん~

2008年3月某日。

シンガポール Day #1 (その1)。

午前10時過ぎ、
龍が車でホテルまで僕を迎えに来てくれる。

シンガポールの町には、雨が降っている。

ゲイラン地区に近い所へ行き、2人で朝めし。

本当は肉骨茶(バクテー)を食べたかったのだが、
適当な店がなかなか見つからず、
結局普通の屋台風食堂に。

けれどここもかなりうまいローカルフードを食わせる。

鶏肉の甘辛煮(白いご飯にかけて食べると炊き込みご飯というか、クレイポットライスの味に似た感じになる)。 もんのすごく美味しい。

魚肉団子や豆腐やモツを煮込んだスープ。 
これも抜群にうまい。

スープを注文するとき、龍が
「ヨシはスープが好きだったろ。 ここのはうまいんだ」

そりゃ、僕もスープ好きだけどさ、
元々好きなのはお前さんだろ(笑)。

スープのうまい店は何でもうまいんだって、
僕がクアラルンプールに駐在してた時に
一緒に晩飯食いながら、そう言ってたのは龍の方だ。


なぁ、龍、 オレ、色々あってさ・・・・。 あのことは知ってるよな?

あぁ、オレも今の会社、正社員辞めて、1年ごとの契約社員に変えた。 
XXXXのビジネス・マネジメントをやるんだ。
ヨシもやる(笑)?

まさか。

♪ テーマ曲 「雨にぬれても」 by BJトーマス ♪
♪ テーマ曲 「降っても晴れても」 by フランク・シナトラ ♪
♪ テーマ曲 「雨に唄えば」 by ジーン・ケリー ♪

(つづく)

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# by y_natsume1 | 2008-04-06 22:08 | シンガポール