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カテゴリ:Moon( 32 )

ジャスミンと巫女

2008年5月初旬の深夜、某酒場に入っていく。

隅の席で見知らぬ恋人たちが濃厚なキスを交わしている。

その傍ら、
カウンター席で飲んでいたミュージシャンとTVマンとI氏たちと、
やって来たばかりの僕は、
数ヶ月ぶりに再会する。

既にカウンター席はいっぱいだ。

僕は中央の台のところに「特別席」を作ってもらい、
1人、立ち飲み。


僕が1人で飲んでた中央の台のところに
ミュージシャンやTVマンがなぜか自然と集まり始め、
僕と一緒に立ち飲み。

マスターも時々参加する。

ミュージシャンはもうすぐ新しいCDアルバムを出す予定だ。
嬉しい。

隅のカップルの熱いキスを ちらちらと楽しみながら 見て見ぬフリをしながら、

音楽と京都と恋人達の熱いキスの方法と詩と九条と巫女の存在とが
僕たちによって代わる代わる語られる。

なんて楽しい夜なんだろう。

ボクハ コノヨル 10スウハイ イジョウ ノ ペルノー ノ ソーダワリ ヲ タイラゲタ

****************

気がついたら 僕はいつのまにか別の空間にいる

夜のカレーライスが
首都高の擬似ムーランルージュに激突し
28種類の色彩を必死で犯している

いや 犯している幻想を抱いている

あの「巫女」が
映画でアンディ・ウォーホールを演じた俳優 
(それはデビッド・ボウイでもガイ・ピアースでもいい  それは問題ではない) 
に乗り移り

僕たちに告げる

5番目の砂漠へ向かえと

音楽の舌と僕の舌がねっとりと絡み合い  
吸い合っているうちに

間抜けなことに

ボブ・ディランの豊満な胸は とうとうはちきれて
5番目の砂漠にミルク色の涙を落としまくる

砂漠を目指して僕たちは動く

巫女のお告げによって青山経由で(逆方向だろうに)
三宿の黄色い酒場に場面が変わる

巫女の姿はここにないが 
ここでも僕を守っていることに変わりはない
ジャスミンの匂いでそれが わかる

黄色い酒場で僕の大好きなイエローセンターラインが流れ
そのすぐ後に人間の証明のテーマ曲がかかる
その曲は黄色い酒場で必ず最後にかかる 閉店の合図だ

ありがとう  マスター

楽しくて幸せな酒だった 

僕はディランの涙という名の雨が落ちまくる午前10時の街に出て
この世とあの世のはざまの 微妙なグレイゾーンを漂いながら
オパールを探し始める

僕は どこで射精すればいいのだろう


ヘンリー・ミラーが書いているように
僕たち人間には時間よりも空間が必要なのだろうか

だとすれば それは どこだ?

そもそもオパールにもディランの涙にも首都高の擬似ムーランルージュにも
何の意味もないのだ

いや すべての名称には

何の意味もない
何の意図もない
何の根拠も ありはしない

意味を求めてはいけない
答を追いかけてはいけない
応えを期待すべきではない

人は皆 求めすぎなのだ
意味などないのに

ただの 記号だ
何かと何かを相対的に区別するためだけの

相対的な区別の点では多少の意味はあるが
それだけだ

そして ただ 存在するだけだ

切ないほどに


僕が問うているのは 意味や意図ではなく
存在そのものなのだ

ここでは存在そのものが 問題なのだ
本当に この世に 存在しているのかどうかが 今 重要なのだ


二つの睾丸の間でペニスを硬く勃起させながら
僕はこれでもかというほど何度も
月子さん(仮名)とワルツを踊っている幻覚を観る

(今夜の「月子さん」はいったい誰のことを指すのだろう? それが誰であろうと本質的な問題ではないのに そんなふうに人は僕に尋ねようとするのだ  愚かなことだ )

このとき 幻覚(あの世)の中でも
僕の勃起したペニスはしっかりと存在していた ハズだ


けれど現実(この世)においては 僕の目の前で
ディランの涙に濡れた街が
美しい墨絵そのものとなり
とっくに僕を狂気に導いているところだ

午前10時の雨に濡れた新緑は 
鮮やかなモノトーンの墨絵に同一化する

香を焚こう
清めよう この 空間を

京の街で買い求めた  「墨香」という香を焚こう

そしてその香りの中で西東三鬼や金子光晴のような
色っぽくて味のある無頼な文章を高らかに朗読しよう
言葉そのものの意味ではなく 彼らの存在を感じるために

夜が明けたというのにあの月は まだ見えない
僕が見たいのは 夜の月じゃなくて
昼間の赤い満月だ

いったい いつになったら あの月を見ることができるのだろう

ねぇ、オパール、
そこに、 いるんだろ?

    いつか いつの日かきっと 僕と ワルツを 踊ろう  

♪ テーマ曲 「waltz #2 (XO)」 by Elliott Smith ♪
♪ テーマ曲 「bottle up and explode !」 by Elliott Smith ♪
♪ テーマ曲 「miss misery (early version)」 by Elliott Smith ♪

関連記事:
「月子さんのお話 (4) ~遊郭の夕べ~」
「京方人(みやこかたびと)」
「三線の調べに酔っておるのだ」
「亜空間の果て」
「亜空間の果て (3) ~九つの満月~」
「無頼の短編小説 「神戸」 by 西東三鬼」
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by y_natsume1 | 2014-01-19 18:04 | Moon

亜空間の果て (3) ~九つの満月~

2007年8月某日 三宿。 暮れ六つ~夜遅くにかけて。 

某ビルのX階、”亜空間”の青い扉を開けて入っていく。

客は僕1人だ。

夜の帳が下りる直前の夕暮れは、茜色が一番鮮やかになる。

僕はアブサンの代用品、ペルノーのソーダ割りをやりながら、
こんな不らちな飲み物は、
確かヘンリー・ミラーの「北回帰線」にも描写されていたと思うが、
とんでもなく危うい、けれど同時に最も好ましい酒だと信じている。

( 「北回帰線」の主人公、つまりヘンリー・ミラー自身は大抵ぺルノーで飲んだくれている。)


僕は何本もゴロワーズを吸いながら、
窓に映る九つの擬似満月を眺める。


ヘリコプターの音が(だって本当にヘリが飛んでいたんだ)
マイルズ・デイビスのミュート・トランペットにかぶさり、
救いようのない地獄への入口を開けて、待っている。


第2幕が始まるかのように、しっかりと夜の帳が下りる。


13小節目の赤い月はいったいどこだろう。
ここには九つもの満月が、バーチャルではあるにせよ、
存在しているというのに。

存在なんて、 そもそも幻想なのだろうか。

色即是空、空即是色。
人の世、 浮世、 あの世のリアル。
この世のバーチャル、 あっちのXXX。


突然、
階下のR246では救急車のサイレンが高らかに鳴り響き、
窓から吹き込む真夏の生ぬるい風と一緒に、
亜空間のクールなBGMを台無しにする。

これじゃ3度・5度の和音じゃなく、
なんだか2度同士のサウンドだ。
モンクのピアノは2度の音でもカッコいいが、
サイレンはそうはいかない。


墨のような、良い匂いをさせているあのオンナは、
いつも、気づかないだけだ。
自分の、性的魅力に。

違う。

ちゃんと分かっているくせに、
自分では気づかない フリをしているのだ。
悪魔のように。
僕に対してだけは。



ボサノバも、  ジャズもワインも、  ロックもカネも、
全ての物事はないまぜとなって、
青いカフェの扉と、妖しいロウソクの灯がともるテーブルに、
黄金の血をあびせている。


何杯目かのペルノーのソーダ割りを頼んだ頃、
ムーアの写真集「インサイド・ハバナ」と
エゴン・シーレの画集が、
真空管を割って僕自身の内部に入ってくる。

―― まるであのオンナが柔らかなその舌を、
僕の口の中に官能的に入れたり出したりするようなリズムで ――。

―― まるで僕の股間のこわばりが、
発射できずに行き場を失っているかのように ――。

     もちろんその時僕の両手は縛られ、自由を奪われたままだ。


ハバナ、エゴン・シーレ、タバコ、酒、止まった時間。


もともと、僕はルナティックなのだろうか。
特に赤い月に対しては。

ケルアックもシド・バレットもランボーも、
みんな、 何かに狂っていたのだろうか。
そうに違いない。
そう思いたい。


月に向かって僕自身を発射したいとほざいた夜は、
確かハバナへの一人旅の頃だったかもしれない。
いや、もう少し前だったかも。
どっちにせよ、そう昔じゃなかったはずだ。

僕は
僕自身を
発射しよう。

僕自身の命を。

オイディプス王に向かって。

39年前の未来に向かって。
九つの擬似満月に向かって。
西から昇る太陽に向かって。


スタイルカウンシルの
「The Whole Point of No Return」は
階級制度に唾を吐きながら、
クールにこのカフェで鳴り響き、
僕を、戻ることなど決してない非日常の、至福のポイントへと導く。

いつのまにか
僕はこの亜空間から、
至福のポイント、1984年5月の富浦海岸に、
鈴木康博のLPレコード「Sincerely」を抱えてトリップしている。

1984年5月の僕にとって、
富浦の海と鈴木康博の曲は特別な存在だ。

朱と緑で彩られたステキな京の都も、
カフェ・ブリュにかぶれたこの亜空間も、
原色のハバナも、

1984年5月の富浦とは絶対的に違っている。

もう、二度と、どこにも戻れないのだろうか、
気が狂った酔いどれボヘミアンは。


とにかく
見えない月を、 称えよう。 ボブ・ディランの意味深な歌と共に。

絡み合い、互いの唾液を吸い合う2つの舌。一方が僕の舌だとしたら、もう一方のそれは、いったい誰のだろう。

窓に映る九つの擬似満月を、 慈しもう。 それらは既に僕にとってはリアルそのものだから。

オパールとサファイア(40年近く前のTVドラマ)が頭の中に来訪する。 オパールはどこだ。

Cメジャー7thとFメジャー7thのコードが12弦ギターで交互に弾かれる。
そのコード進行は知らせている・・・・ 暦の上ではもうすぐ新月だと。

バレッタに15種類の色彩とこの世で最高の性的興奮を。

新月なら、 いずれにせよ、 月は、 見えないのだけれど。

どうしてオパールを捜し続けるの?

そんなこと、 知るか。 
わからない。
わかりたくない。

ただ、狂ったように、 酔っている。

そうだ、
チャーリー・パーカーの、セルマーのアルトを探そう。
セルマーのアルトはどこだ?
あれこそ、赤い月なのに!

・・・・・ 風が急に止んだとき、
       真夏の夜の鼓動も同時にピタリと止まり、
          オンナの声色で不気味なマンダリンのささやきが聞こえてくるのだ。

         「ねぇ、 忘了?」

****************************

♪ テーマ曲 「Round About Midnight」 by Miles Davis ♪
♪ テーマ曲 「The Whole Point of No Return」 by The Style Council ♪
♪ テーマ曲 「瑠璃色の夜明け」 by 鈴木康博 ♪
♪ テーマ曲 「見張塔からずっと」 by Bob Dylan ♪

関連記事:
「亜空間の果て」
「亜空間の果て (2) ~赤い月の夜~」
「キューバへの一人旅(9) ~時空を越える大砲の音~」
「おぼろ月さん 連れてって 神の国に 銀河の彼方に」
「葉山のカフェ・レストラン (1) ~「北回帰線」の空間へ~」
「ゆるゆると シンガプラ (8)最終回 ~南回帰線はまだか?~」
「ジキル博士とハイド氏」
「忘了?」

追記: 
また酔っ払って書いてしまったようである。 自分でも知らないうちに。
酔っ払っていると(というか酩酊状態なのだが)、筆がすべる、すべる。
しかも異様に長い、散文詩まがいのような文章。  
朝PCを見てみたら、何だか不思議な文章が「下書き」として残ってた。
数日たってから、ほとんどの内容はそのままに、明らかな誤字や意味不明すぎる部分だけはちょっと手直しして、この記事としてUPしてみた。
以上。

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by y_natsume1 | 2013-12-07 16:49 | Moon

亜空間の果て (4) ~いにしえのかたりべ~

2009年3月19日(木) 夜。

袋小路にはまったような、もどかしい精神状態。
気が狂いそうになる毎日。

たまたま数年ぶりに某友人とコンタクトが取れる。

この人とはかれこれ7~8年の付き合いだ。
僕が心から信頼している人の一人。

その友人が今、ある飲み屋で働いているという――。


**************

お寺の境内に建っている日本家屋の一軒家で、
その飲み屋は営まれている。

「お寺」、「お寺の敷地内にある」
という部分に敏感に反応し、魅かれて、
とうとうやって来てしまった。

ホントにここは東京都内か?

不思議な時空。

ここでは男も女も、まるで桃源郷にいるかのように、
何かを楽しんでいる。

会話、酒、日本家屋の空間、花、そして・・・・。

僕はこの不可思議な空間を、
この世とあの世のはざまに存在する、いわば亜空間として、
トリップしているような感覚で味わっていた。

癒されている、というのではないし、
馬鹿騒ぎして楽しんでいるというのでもない。

味わっているとしか言いようのない空間、
けれどとても「良い感じ」なのだ。

ここに導いてくれた某友人に、とても感謝している。

アリガトウ。

僕は、友人といろんな話をした。

ヘンリー・ミラーの「北回帰線」の話から僕たちはペルノーを頼み、
京都知恩院と鎌倉光明寺のご縁
ザ・フーのライブ、ベンシャーマンのシャツ、
出張先で明け方に酔っ払って「Love Reign O'er Me」を大声で歌ったこと、
セックス、万葉集や和歌の話(31文字のラブレター)、
奈良薬師寺の月光菩薩、東塔の水墨画のような佇まい
福岡のぼたやま、五木寛之の「青春の門」、
その日僕が着ていた古着のツィードジャケット
シンガポールの大親友、 墨の香りのフレグランス、写経、
坂口安吾の「桜の森の満開の下」、狂気、
マラッカ出身の友人とシンガポールのチャイナタウンを歩いたときの話
花様年華、白洲次郎、レトロな大衆食堂、1920年代の上海、
「馬鹿な(=良い意味で馬鹿を演じられる)オンナ」・・・・・

いろんな話をした。


不思議とお月様の話は出なかった。

こういう夜は、それで、   いいのかもしれない。

充実した時間だった。

この空間が、それを作ってくれたのだろうと思う。

やはり、ヘンリー・ミラーが「北回帰線」のラストで書いているように、
人間には時間よりも空間が必要なのだ。


夜が更ける。


・・・・・・ 月が見えない夜、
さあ、再び月を求めて、 さ迷い始めようか。

亜空間の果てまで、行ってみようよ、 ね、 月子さん(仮名)。

♪ テーマ曲 「Greensleeves」 by John Coltrane ♪

関連記事:

「亜空間の果て」
「亜空間の果て (2) ~赤い月の夜~」
「亜空間の果て (3) ~九つの満月~」
「The Who を追いかける夜」
「光明寺の調べが 材木座の海に 届くころ」
「チャイナタウンを駆け抜けろ ~横浜もブライトンも~」
「31文字のラブレター (1)」
「東の塔は 墨絵の如く」
「桜の森の満開の下 ~酔いどれのシュールな夜~」
「シンガポール出張 (7) ~チャイナ・タウンの休日~」
「映画 「花様年華」(2000) ~チャイナドレスにため息を~」
「箱根の山は まだ肌寒く」
「素晴らしきレトロな大衆食堂」
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by y_natsume1 | 2009-03-20 19:20 | Moon

使者と巫女と月と

2009年2月10日(火) 夜。

この数ヶ月、仕事でどうしようもない僕。
落ち込んでいる。
あの職場は本当に、嫌だ。

満月の翌日の月は十六夜の月というんだっけ。

とても、美しい月が、天高く、見える。

月子さん(仮名)はどうしているだろう。
月子さんのところに今すぐ飛んで行きたい。

空間を、突き抜けられれば良いのにと、思う。


この日の夜、会社の行事に仕方なく参加したあと、
夜10時ごろ、1人で久しぶりにワインバーに。

湘南出身の店主に、
こないだ王子と2人で由比ヶ浜までドライブしたこと、
渚橋で美しい富士山とキラキラ光る海を見たこと、
由比ヶ浜で王子の足が波に濡れたこと、

なんかを話す。

店主はそれだけで、
映画みたいだね、鎌倉の海岸の光景が浮かんできて、
トリップしてしまいそうだ、と言う。


僕はそれに応えて、

映画っていえばさ、
昔のフランス映画の「男と女」だと、
ジャン・ルイ・トランティニヤンが小さな息子と
冬のドーヴィルの海岸で車を走らせるのに、
僕たち2人は全然映画みたいにカッコよくなかったよって。




深夜零時、自宅近くのソウルバーへ。

ほとんど満員。

カウンター席に座れず、首都高側の席へ。

この時間帯はまだ車が多い。

視界に入る車の台数の多さで、
見ていると気持ち悪くなる。

カウンター席に座って店主と話せるわけでもないから、
(マスターは気をつかって時々話しかけに来てくれるが)
ペルノー1杯で今夜は帰ろうと本気で思っていた。


でも突然、僕の頭の中にシンさん(仮名)が出てきて、

こういう夜を、楽しめば良いんだよ、
大丈夫、
もっと楽しくなるから、もう少し、いてみなよ、

なーんてことを言ってるような気がしてくる。

ホントかよ。

シンさん、あの世から何言ってんだい?



・・・・・ そしたら数分も経たないうちに、

巫女さんが某女優と入ってくる。

え? って感じ。

巫女さんはこのバーの常連ではあるけれど、
タイミングよく会えるのは珍しい。


かなり人が入っているせいで選択の余地もなく、
僕のすぐ右に巫女さん、その右に女優が座る。

ソウル・バーでこの女優を見るのは2度目だ。

巫女さんは、
夏目クン、久しぶりねぇとか言いながら、
キチンと女優さんを紹介してくれる。

女優さんはテレビなんかで時々見るけど、
話してみるととても気さくで感じの良い方。

僕は、巫女さんに、

ヘンリー・ミラーの北回帰線、シンさんの予言(ホントにそう感じたんだ)、
なんかを話す。

巫女さんは僕に、
夏目クンは、詩人だね、
と言う。

そんなことないです。
アホなことばっかり酔って言ってるだけ。

そして、女優さんに、臆せずに、

「あなたは、使者だと感じました」

と言ってしまう。

だって、会いたくてもなかなか会えない巫女さんを、
結果的にこのソウルバーに今夜連れて来たのは、

この女優さんだから。


あら、そう?

わたしね、「使者」とか、「使いのもの」って、時々言われるの。

夏目さんて、面白い感性持ってるのね(笑)。


巫女さんは最近自分の息子(成人)と
赤いバーのマスターとその彼女と
あるライブに行った話を楽しそうにする。

レトロなXXX食堂と草野球の話から、
明日の3時に、駒沢公園でAクンのチームの野球の試合があるのね、
応援に行くんだ、みんなで、とか、
そういう話になる。

(Aクンは皆の共通の友人だ。)

で、夏目クンのタバコ、良い匂いだけど何?

ゴロワーズです。 
黒タバコ、
葉っぱを寝かしてあんの。

ふーん、葉巻みたいね。


女優は、
僕のペルノーを見て、
珍しいわね、ペルノー飲んでる人がいるなんてさ、
一口飲ませて、
と言う。

飲ませてあげる。

クセの強い酒だね、と。

はい。

月は、天高く、あくまでキレイだ。


首都高3号線はいまだにいくつもの車をはべらせて、
妖艶に横たわっている。


女優が、先に帰る。
巫女さんを置いて。
朝5時起きで眠いんだと。

余計、この女優は今夜、
巫女さんを僕のところまで連れて来たお役目の、
使者だという気がしてくる。


午前3時過ぎ、
巫女さんは、
ワタシはこれから赤いバーに行くんだけど、
夏目クンも、一緒に来るよね(笑)?
と。

はい、ぜひ。


僕も、赤いバーは久しぶりだし、
あそこのマスターは礼儀正しくて大好きだから。

バーのもう1人の常連Bさん(このBさんも礼儀正しい人)と
3人でタクシーで赤いバーに。

友人が多い巫女さんは、
赤いバーでもモテモテだ。

着いたとたん、

いろんな人と社交が始まる。


Bさんは静かにカウンターの奥にひとりで座る。

どうしてよいか分からない僕だけが
カウンターのどこに座るかちょっと悩んで、
逆側の、2人の若い女性客の間にお断りを入れて座ろうとする。

そしたら、

いきなり、

それまで友人達と談笑していたはずの巫女さんが
(かなり強引に)僕の手を引っ張って、

自分の隣に座らせる。

あれ(笑)?

(僕というより、他の女性客に迷惑かけるなってことかも??)

でもね、席についてお酒を飲んで落ち着いた頃、
僕が最初に隣に座ろうとした逆サイドの女性客の1人が僕に言う。

「わたし、夏目さんのこと、すっごく覚えてますよ、ここで話したことあるもん」


へ?

僕は全然覚えてない。

キミ ハ ダレ ナンダ?

かなりかわいいけど。

でも、嬉しかった。 
そう言われて。

そういう夜なのだ。

たぶん、午前4時を過ぎた頃だろうけど、
やがてお店を終えたソウルバーのマスターも
やって来て、
皆で楽しい酒が続く。

その後は、もうあまり覚えていない。

(気がついたら、翌日午後3時に自分の家の部屋で寝ていた、というだけのこと。)

クソFXXXな仕事に比べて、
なんて楽しい酒なんだろうという夜だった。

十六夜の月は、どこにある?

午前8時ごろ、ようやく赤いバーを出た僕は、
柿本人麻呂の恋歌を口ずさみながら、
空にあるはずの、月を見上げる。

月はどこだい?

夜は明けたけど、あるはずだろ?

とにかく、

シンさんの予言は、的中したわけだ。

楽しい時間と空間を、僕は獲得したのだ。

吾妹子(わぎもこ)に
恋ひてすべなみ
夢(いめ)見むと
われは思へど
寝(い)ねらえなくに


(柿本人麻呂)

♪ テーマ曲 「Fly Me To The Moon」 by Frank Sinatra ♪

関連記事:

「ジャスミンと巫女」
「京方人(みやこかたびと)」
「ワイン・バーの夜」
「別れのドライブ 由比ヶ浜 そして真冬の風が吹く」
「マスタード色を夜空に塗りたくれ」
「31文字のラブレター(1)」
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by y_natsume1 | 2009-02-11 21:05 | Moon

桂離宮とお酒と月と

2009年1月9日(金) 夜。

東京の大雨は夜9時過ぎにはほぼ止んでいたらしい。

10時近くに会社を出て空を見上げたら、
月が出ている。

それも結構高い位置に。

ほとんどてっぺん。

風が強いせいか雲はすぐに流され、
月が出たのだろう。

暦ではあと2~3日で満月のはずだけど、
既にきれいな形。

今夜の月は光が力強い。

月が射す夜、 だ。

「月子さん」(仮名)はどうしているだろう。
無事を祈ろう。


・・・・・ 久しぶりに自宅近くのソウルバーへ。

いつものカウンター席右端。

マスターやスタッフと、雨はもう止んだよって話から、
それに月も出てたよって月の話になる。

雨月物語、♪Fly Me To The Moon♪、桂離宮・・・・。

先日NHKの特番で観た桂離宮。 
月を見るための館。

なんて素晴らしい空間なんだろうと思った。

宮内庁に事前申請しないと見学できないそうだし、
僕らのような一般庶民が桂離宮でお月見をできるわけもないのだけれど、

憧れる。


カウンターで僕の左隣のアダルトな女性客(一人客)が
楽しそうに長居して飲んでいる(今夜は8時半から居るそうだ)。

時々話しかけられるがそれに応えるだけで僕からは話しかけない。

その人の顔つきは
キレイで魅力的なんだけど、

この店のマスターによると
三宿の黄色いバーの店主Aさんにそっくりだとかで
そのお客さんが帰った後で1人ウケまくるマスター。


マスターはおもむろにインディーズだけどさ、と
オススメCDを紹介してくれる。

客が僕だけになった頃を見計らって、
店内で全曲かけてくれる。

The Bawdies の
「Awaking of Rhythm And Blues」

これ、すっごくいい。
イキのいいロックというかリズム&ブルースというか。

ジャケットもむちゃくちゃカッコいい。
若い日本人バンドなのに全編英語の歌詞、
特にボーカルはソウルフルでシブイ。

気に入った(笑)。

ありがと、マスター。

そして、ストーンズのドキュメンタリー映画もすごくいいし、
DVDじゃなく映画館で観るといいよとマスター。

あぁ、あのスコセッシのヤツね。

マスターはUKロックは普段からあまり聴かないのに、
今回はオススメだねと。

画面が相当良かったらしい。



ペルノーのソーダ割り3杯。
ビール1杯。
マルボロライト。


帰ろう。


京の「みやこ」と 桂離宮 に思いを馳せ、

行けるわけもないのに
「月子さん」のところに今すぐ飛んで行きたい衝動をおさえつつ、

(それじゃまるで雨月物語の菊花の約(ちぎり)みたいか?)

ひんやりした夜の中、 歩いて帰る。

月が、射す夜。 

もう一度、 天を、 仰ぐ。

♪ テーマ曲 「月の重さ」 by Tsuki No Wa (vo. FUMINOSUKE) ♪
アルバム「Ninth Energy」より
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by y_natsume1 | 2009-01-10 15:42 | Moon

十六夜の月を  探し出せ!

2008年10月16日(木)。

この日は月子さん(仮名、注)の命日。

もうちょっと正確に言えば、
10月15日の深夜、 
16日の午前零時半ごろ。

**************

今月、神様は江戸にはいない。

全国の神々は出雲に集まって何やら話をしているらしい。

だから、(出雲以外の場所では、) 今月は神無月と呼ばれる、らしい。

月子さんが生前、一番好きだった曲、
ナット・キング・コールの 「キサス・キサス・キサス」 をかける。

香を焚く。

冥福を祈る。

夜空を見て、月を、 探す。

**************


NHKのテレビ時代劇、「陽炎の辻 2」を観ていると、
江戸時代の、吉原のしきたりが出てくる。

旧暦8月(新暦の9月)の中秋の名月(十五夜)のときだけは、
男性客がそれなりのお金を払えば、
吉原の売れっ子を一夜中独り占めすることができたそうだ。

もちろん、女性の側の同意が必要。
お金を積まれても、いくらひいきのお客でも、
相手の男を気に入らなければ断ってもいい。

その代わり、いったん中秋の名月(十五夜)で独り占めしたら、
翌月9月(新暦では10月)の十六夜でもう一度、
男はまたも大金をはたいて登楼するか、
お月見に女性を外に連れ出さないといけないんだそうだ。

普段、吉原の遊女は吉原の外になんか出られやしないけど、
このときだけは特別だったらしい。

今で言う、店外デート?

吉原への登楼だけでいいのか、外にお月見に連れ出さなきゃいけないのか、
どっちでもいいのか、
そこらへんはよくわからないけど。

いずれにしても、
十五夜の片方だけではだめという考えを、吉原がうまく利用したのだろう。

十五夜の月だけ見て翌月の十六夜の月を祝わないのは、
片月見といって嫌われたからなんだそうな。

後(のち)の月、という風習らしい。


現代だって、十五夜の月を愛でたカップルが、
いろんな事情はあろうとも、とにかく、
翌月の十六夜の月も、同じ相手と一緒に祝うことができれば、
それはステキなことだろう。

そうなるよう、応援したくなる。

もちろん、お月見は、天気にもよるんだろうけどさ。


*************


そいでもって、月は、 どこだ ?
今夜は月暦からすると、十六夜の月 のはずだけど?

月子さんと十六夜の月。


11年前の、
クアラルンプール チャイナタウンの深夜を、
僕は  忘れていない。


あのときは、 月を見上げる余裕すら、 

なかった。

あるかよ、 そんなもん。

バカヤロウ。

ムスリムの国にいても、
毎夜その象徴を探そうとする気持ちなんて、

なかったさ。


♪ テーマ曲 「キサス・キサス・キサス」 by ナット・キング・コール ♪


関連記事:
「月子さんのお話(4) ~遊郭の夕べ~」
「神無月は見えているか?」
「緊急事態」

(注)

今回のブログ記事では、「月子さん(仮名)」 は自分の実母のことだ。

けれど、記事内容によっては、「月子さん」が常に実母を表わすとは限らない。 想像上の人のこともあれば、既にこの世にいない人のこともあるし、まったく別の、実在している人の場合もある。 書いている記事内容によって月子さんという人は変化自在なのだ。

僕には実母、継母、義母と3人の母親がいる。 
だから僕のブログでは区別するために単に母ではなく実母と書くことも時々ある。 

継母と義母はありがたいことに、今も息災だ。
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by y_natsume1 | 2008-10-16 19:54 | Moon

由比ヶ浜の月を 追いかけろ

2008年9月12日(金) 夜。 鎌倉・由比ヶ浜。

ビールとジントニックでほろ酔いの僕は
由比ヶ浜の砂浜に座って月を眺める。

波の音。 

月明かり。

美しい。

妖しい。

官能的。

ここ数年、毎年9月の半ばごろは由比ヶ浜で
月(中秋の名月)を眺めることにしている。

十五夜のお月様をちょうど見られればいいのだけど、天気予報(雨ならNG)や自分の都合なんかでドンピシャというわけにもいかず、その前後の日の夜に訪れることもある。

そのつもりはなくても結果としてキレイな月を、あるいは赤い妖しい月を、
見ることができた時もある。

例えば、過去のブログ記事だと、2005年9月の
「由比ヶ浜でモヒートを ~お酒の神様と 月が射す夜~」

お月様なんてどこで見ようと同じだろ、と言うなかれ。

都内でも月を見ることはできるけれど、
周りに建物があり過ぎる。
視界の角度が限られている。

海岸で海の方角に向かって
何の物体にも邪魔されずに眺めるのとは違うのだ。

それに、由比ヶ浜で見る月は、とてもとても近くに感じられる。




・・・・・・・ 歩いて、  いつもの某小料理屋へ。

いるいる、知り合いの人たちが。
4歳の双子の女の子たちとそのお母さん。

僕と同じように、よく金曜の夜に仕事を終えて都心からやって来るAさん。

小料理屋のマスターとママさんにご挨拶し、
座敷に上がる。

Aさんとは約1年近くぶりかも。


7月に、この小料理屋に久しぶりに来るまで
僕は約10ヶ月ぐらいは来ていなかった。

たぶん、僕が鎌倉に来ないときは、色々言いながらも大丈夫な時期なんだろうな。
本当にストレスがたまったり、どうしようもなく悶々としていたりするときほど、
鎌倉という別の空間にやって来たくなるのかもしれない。


やがて夜も更け、双子の女の子たちとお母さんは帰る。

ママさんから、
やり方が全然わからないということで
デジカメで撮った、お店での写真をCD-Rに焼いて欲しいと頼まれる。

へい、がってんだ、とばかり安請け合いしたが、
Aさんと僕はビールを飲みながら2人して、
初めて扱うマッキントッシュでえっちら、おっちら。

ふーん、 
超有名な(誰でも知ってる)ミュージシャンや俳優たちが
マスターやママさんと何枚も写っていて、
この店、実はゲーノー人たちには隠れ家的存在っていうか、
すげぇ店なんだなぁ、そんなそぶりは全然見せてないけどなぁ、と思った次第。

ここはBGMがなくて、静かなのがいい。

この小料理屋の静寂は、
僕を都心から異空間にトリップさせる感覚を抱かせるのに十分な要素だ。


ママさんが僕に言う。

「ブレッド&バターの、ほら、弟さんの方、何ていったっけ?」

「フユミさん?」

「そうそう、そのフユミさんがさ、こないだうちに来てね、明日(9月13日)江ノ島の虎丸座って知ってるかしら、そこでライブやるんだって言ってたわよ。 夏目さん、ブレバタの大ファンだからさ、行ったらどうかなって思って」

「へぇ、行きたいなぁ。 でもその日の夜は予定あるんだよなぁ。 残念だなぁ・・・・」


Aさんと映画「ブラザーサン・シスタームーン」の話になる。

僕は小学生か中学生の頃、TV放映で観ただけだけど、
とても印象深い映画で、
監督がフランコ・ゼフィレッリだということも覚えてたし、主題歌もちょっと覚えてて、
ほんのさわりを口ずさむ。

♪ ブラ~ザ~サン アン シスタ~~ム~ン ♪
 
(後でネットで調べたらドノバンの曲らしい。 
権利関係でもめてて、サントラは廃盤のままだそうだ。)


よく覚えてるねぇ、とAさん。




・・・・・ この夜、僕は確信した。

ヘンリー・ミラーが「北回帰線」のラストで書いているように、
やっぱり、人間には、時間よりも空間が必要なのだ。

都心で見る月よりも、鎌倉の海岸という空間で見る月の方が好きだし。

都内のおかしな酒場で3時間飲むよりも、
この小料理屋や長谷のカフェで1時間飲んで過ごす方が、
僕の精神状態は明らかに、良い。

時間よりも、 空間だ。 

「空間を移動することによって得られるタイムスリップにも似たような感覚・・・・」
(拙著 「アジアの匂い ~バリ島ウブドの休暇~」 あとがき より)


他にも以前いくつかのブログ記事で、書いたような気がする。

時間よりも、 空間が必要なのだ。


・・・・・・・ 終電が近い。

帰らなきゃ。
 
小料理屋の人たちや鎌倉という空間に感謝を。
ありがとう。 

(僕の鎌倉関係のブログ記事を読んで下さる方の中には、僕が鎌倉近辺に住んでいると思い込んでおられる方がいらっしゃるらしい。 僕は鎌倉から電車やバスを乗り継いで1時間半以上かかる、都内某所に住んでいる。)


お会計をして、小料理屋の玄関を出たら、
空には見事なおぼろ月が出ている。

由比ヶ浜の海岸で見たときは全然ぼやけてなかったけど、
今はおぼろ月に。


おみごと。

美しい。

中秋の名月は、 もう、 すぐだ。

ね、月子さん(仮名)。


♪ テーマ曲 「Pastness」 by tsunenori ♪ (←試聴可能、イチオシ!すげぇ)
♪ テーマ曲 「海へゆく」 by Soul Flower Union ♪ (←試聴可能)
♪ テーマ曲 「蘇州夜曲」 by 小田和正 ♪ (Youtube)

♪ テーマ曲 「Continue The Voyage」 by tsunenori ♪ (←試聴可能)

関連記事:
「だってお月様が出ていたから」
「葉山のカフェ・レストラン (1) ~「北回帰線」の空間へ~」
「由比ヶ浜でモヒートを ~お酒の神様と 月が射す夜~」
「十六夜の月 於鎌倉」
「ジャスミンと巫女」
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by y_natsume1 | 2008-09-13 15:01 | Moon

ただただお月様が好きな人へ

こんなのもあるよってことで。

Cowboy Junkies の 「Crescent Moon」 という曲。


Reach a hand to the crescent moon
grab hold of the hollow
If she sits in the palm of the left
that moon will be fuller tomorrow
If she sits in the palm of the right
that moon is on the wane
and the love of the one who shares your bed
will be doing just the same

Won't you come with me, she said,
there's plenty of room in my iron bed
You're looking cold and tired
and more than a little human
I know I'm not part of the life you had planned,
but I think once your body feels my hand
your mind will change
and your heart will lose its pain


Out among the fields gently hipped
beneath the corn,
Assiniboine bones beneath the highway
he stood there and he thought of home
A finger traces the path of a satellite
You're drawn to a distant copse of trees
A voice as sweet as Mare's Tail
clings to the prairie breeze

Won't you come with me, she said,
there's plenty of room in my iron bed
You're looking cold and tired
and more than a little human
I know I'm not part of the life you had planned,
but I think once your body feels my hand
your mind will change
and your heart will lose its pain


Do I reach for you
when I know you're on the wane?
Do I sense you when I know you're not around?
Do I search for you
when I know you can't be found?
Do I dare to speak your name?

Raise your eyes to a moonless sky
and try to wish upon a rising star
Search all you want for her blessing
but you won't find her sparkling there
Now cast your eyes to a part of the sky
where nothing but darkness unfolds
and watch as all around you
she reveals the brilliance of secrets untold

Won't you come with me, she said,
there's plenty of room in my iron bed
You're looking cold and tired
and more than a little human
I know I'm not part of the life you had planned,
but I think once your body feels my hand
your mind will change
and your heart will lose its pain



**************

Cowboy Junkies というカナダのバンド。
ちょっとジャンル分け不能という僕のお気に入りの音楽。
女性ボーカル。

このバンドは今でもそれほどメジャーではない。
「トリニティ・セッション」という1980年代の、教会での一発録りアルバムや、
ルー・リードの曲「Sweet Jane」のカバーなんかが取りざたされるぐらいだろうけど、
このバンド、そしてこの曲、僕はとても好きだ。

女性ボーカルが曲にマッチしてて、
神秘的でシンプルなサウンドで、
単なるロックでもフォークでも、ましてやヒップホップでも、ない。
深夜に1人で酒を飲みながら聴きたい曲だ。

曲調はさながら「青い月」のようだ。
要するに、妖しい、めったにない官能的な曲だと思う。

(青い月は、英語でBlue Moonというけど、色が青いっていうよりも(そういう場合もあるみたいだが)、ひと月のうちに満月が2回あるときに、1回目の満月を「ファーストムーン」、2回目の満月を「ブルームーン」と呼ぶ。 「めったにないこと、まれな現象」という意味を含むんだそうだ。)
 
たまたま 
(実はそれほどたまたまじゃなくて、ある程度狙ってたのが見つかったんだけど)、
中古CD屋さんで700円かそこらで買った「Pale Sun Crescent Moon」というアルバムの1曲目。

大当たりだった。
めったにあることじゃない。



彼女が僕の左に座れば月は満ち、
右に座れば月は欠けてゆく・・・・。



つー感じの歌詞かなぁ・・・。
(解釈、もし間違ってたらごめんなさい。)

その手は誰かを癒してあげられるんだろうか。
それはとりもなおさず、その手を持つ人自身が癒されていることと
ほとんど同義なのかもしれないんだけど。


歌詞の内容とは少し違うかもしれないけど、
僕は月子さん(仮名)が僕の左に座ることを、
月が満ちていくことを、 望んでいる。
だって、月はやっぱり満ちていたほうが、 美しいからだ。


古い都の、赤い満月を、追いかけよう。


僕のペニスは  硬く勃起している。


関連記事:

「だってお月様が出ていたから」
「東男と京女」
「十六夜の月 於鎌倉」
「神無月は見えているか?」
「ジャスミンと巫女」
「亜空間の果て (3) ~九つの満月~」
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by y_natsume1 | 2008-08-31 04:01 | Moon

だってお月様が出ていたから

2008年8月某日 夜。

美しい月が出ている。

貝の冷製オードブル。
鎌倉でとれた夏野菜をふんだんに使った温野菜の盛り合わせ。
魚の香草焼き。
鴨肉のコンフィ。

口に含むたびに
キリリと冷えた白ワインが夏の一瞬一瞬を切り取っていく。

極上の料理と酒。

ときおり、舌が口の中で食物と酒の出会いを取り持っている。


気のせいだろうか、
どこかから(心の奥底から?) チェロの音が聴こえてくる錯覚を抱く。

JSバッハの「無伴奏チェロ組曲第1番」、
黛敏郎の「文楽」、
カッチーニの「アヴェマリア」 ・・・・・

まるで料理とワインのように、
誰かが、 ソロ演奏のチェロの音色とデートでもしているのだろうか。


暑い夏の夜、月はあくまで妖しく美しく輝き、

詩人と酔いどれと水泳選手と海辺のカフカとを一堂に集めて
食後のこの場で「特別な夜会」でも催そうかというほどの勢いだ。


僕は偶然にもこの日、 ちょうど「雨月物語」の
「白峯(しらみね)」の章を読み終えたところだった。

僕の故郷、讃岐を舞台にした、「怪奇物語」と言えなくもない。

村上春樹の「海辺のカフカ」は ギリシャ悲劇エディプス王だけでなく、
雨月物語のこの部分をもモチーフにしているのかもしれない。

アートハウスがある直島(香川県)は
僕の故郷の港町からはちょっと離れた場所にある。

香川県というより、むしろ岡山の宇野に近い位置だ。

行ってみたい。

「特別な夜会」はいつかきっと開かれるだろうから、そのときにでも。

僕は、けれど、夜会や直島での滞在があろうとなかろうと、
何年か前に、ジャスミン・ティーを使ったあの甘いデザートを食べていた人を、
決して忘れることはないだろう。



・・・・・月がみごとだ。

こういう夜には詩が必要だ。

柿本人麻呂や大伴家持の和歌のような、官能的なラブレターが必要だ。
金子光晴の「鮫」や「愛情69」のような、女や物事の本質を冷徹に射抜く詩が必要だ。
西東三鬼の「神戸」のような、 無頼で不良で詩的な文章が必要だ。


時間ではなく、夜という空間が詩歌を必要としているのだ。
月を称え、僕たちが今存在しているこの空間が。

時間なんかではない。


「東南アジアと酔っ払いと放浪癖と女好きと詩人・・・・・」

これらの特徴は金子光晴を表現するフレーズだ。

僕は金子光晴の文章と旅人としての生き方に憧れている。
特に東南アジアと女好きと放浪癖の部分。

マレーシア駐在時代、バトゥパハ(注)に何度か出張した頃から、ずっと。

(注:バトゥパハは金子光晴が昭和初期に一時期滞在していたマラヤの田舎町。)

そして上のフレーズの中の「東南アジア」だけを
ギリシャだのパリだのニューヨークだのに代えれば、
ヘンリー・ミラーになる。

どちらの作家も大好きだ。


******************

・・・・・・ 僕はやがて幻想の世界に入る――。


月明かりの下で
XXのXXに 
いやらしく、ねっとりと、けれどとても好意的に何度も触れながら、
詩的な空間を体全体で感じている。

料理や酒は既に終わり、
いつの間にかお互いの舌がそれぞれ相手の口の中で真夏の月をもてあそび、
戯れているところだ。


僕の両方の掌は、
自分でも理由はさっぱりわからないけれど
目に見えない暖かい熱オーラのようなものを突如として発し、
(それをハンドパワーとでも言うのだろうか)

夢の中にいるかのように、

昭和初期の南洋にいる詩人を横目で見ながら、
現代の月子さん(仮名)をしっかりと大切に抱きしめて、
ウォン・カーウァイ監督の映画が現実になる2046年までタイムスリップする。

けれどたとえ幻想といえども、
タイムスリップそのものや時間軸はこの際問題ではない。

どの時代に僕らが存在しているかは問題ではないのだ。

どこにいるのかが、
空間こそが、大切なのだ。

それは、ホウ・シャオシェン監督の映画 「百年恋歌」 の
基本的なコンセプトと似ているかもしれない。

オムニバス・エピソードの、どの時代設定であっても、
まるで輪廻転生のように、登場人物のカップルは同じ魂を持っていることがわかる。

どの時代に存在しているかは問題ではなく、
どこで誰と一緒にいるか、だけのことなのだ。


暖かな「何か」を発する僕の手が月子さんを癒すだけでなく、
逆にその行為によって自分自身までもが癒されていることを
改めて認識する空間に、僕はいる。

何かに包まれ、
癒されているのはむしろ、僕自身の方だと言ってもよかった。

何かというのはもちろん、月子さんのことだ。 
わかっている。

そう、ヘンリー・ミラーが「北回帰線」のラストで書いているように、結局、

時間よりも、空間、 なのだ。


そして、月子さんの魅惑的で大きな胸元・・・・・・。
それは僕にとって とても大切な、もう一つの空間でもある。

月子さんに、月子さんの美しく柔らかな乳房に、
心からの感謝を捧げよう。


やがて僕は、 幸福感の極限に達したその時、
生暖かな僕自身をあの空間に向けて発射する――。


♪ テーマ曲 「ダッタン人の踊り」 (作曲ボロディン) by 古川展生(チェロ) ♪

関連記事:

「31文字のラブレター (1)」
「31文字のラブレター (2)」
「葉山のカフェ・レストラン (1) ~ 「北回帰線」の空間へ ~」
「無頼の短編小説 「神戸」 by 西東三鬼」
「映画 百年恋歌」
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by y_natsume1 | 2008-08-17 15:39 | Moon

ワルツを踊れ

この文章は、以前自分が書いた「ジャスミンと巫女」というエントリ記事の続編みたいになってしまったかもしれない――

************

エリオット・スミスの 「waltz #2 (XO)」 がかかっている
何度も何度もリピートで

さながら終わりを告げることのないワルツを
月子さん(仮名)と永遠に踊る約束でも したみたいに


この曲は 別れ歌のはずなのに
そして僕は ほんとはワルツなんか踊れるわけがないのに

別れるための曲(ワルツ)がリピート設定で終わらないなら 
しかも僕自身がワルツを踊れないのなら

永遠の別れも来ないで済むのだろうか とさえ
思えてくる



ゴロワーズ
ペルノー
墨香
ジャスミンの匂い
月 ・・・・・・・

僕自身の存在に 決して欠かせないものたち



月は   どこだろう


「そのとき」 深夜バスは
「海辺のカフカ」 の主人公カフカがそうであったように
僕を あの四国の霊場へ いざなうだろう


「そのとき」 深夜バスは
僕を故郷という名の この世とあの世のはざまへ 導くのだろう


僕は 「そのとき」 が来るまで  静かに待っていればいい
ただ 待っていれば


赤い満月も そしてオパールさえも
そのときに 見つかるかもしれない


ねぇ 巫女さん
そう  だろ?


♪ テーマ曲 「waltz #2 (XO)」 by Elliott Smith ♪
    
- End -

関連記事:

「ジャスミンと巫女」
「月子さんのお話 (4) ~遊郭の夕べ~」
「Blue Train」

(注1) 
テーマ曲のタイトルについている 「XO」 は英語の手紙の最後によく書かれるキスとハグを表す略語だ。 Xはキスを、Oはハグを意味する。 だからこの曲はたぶん、大切な人にキスとハグで永遠の別れを告げる前に、せめてワルツを踊って・・・・・・という、別れ歌なのかもしれない。 歌詞だけからはストレートに読み取れないけれど、そういう気がする。 

(注2)
「月子さん(仮名)」 という名は僕のいくつかのブログ記事でしばしば登場する。 けれどいつも同じ人物とは限らない。 そのときそのときで、表現する人物は異なる。 現実の人のこともあれば、想像上の人のこともあるし、この世にはいない人のこともある。

<追記>
以前書いた 「ジャスミンと巫女」
という自分の文章に、何かちょっと引っかかるものがある。 自分の文章のくせにね。
何だろう?
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by y_natsume1 | 2008-07-30 19:06 | Moon