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カテゴリ:過去の映画評「か」( 34 )

映画 「コントロール」 (2007)

映画の公式サイトはここ

1970年代後半頃にたった2枚のアルバムを出しただけで、ボーカリストの自殺により解散したイギリスの伝説的ロックバンド、ジョイ・ディビジョン。

(注: 残ったメンバーたちはニュー・オーダーというバンドとして再出発。)

そのジョイ・ディビジョンのボーカリスト、イアン・カーティスの短い生涯を描く。

これほど衝撃的で、スタイリッシュで、完成度も高く、
デキのいいミュージシャン映画は久しぶりだ。

しかもこれは映画館で観るべきだ。
一定レベルの音響設備がある映画館で。

DVDレンタルを待たずに。

特にバンドのベースの音が重要だから。
そして、
良質のモノクロ写真のようなカッコいい画面を楽しむ点でも
やはり映画館のスクリーンが適している。 

上映してる映画館が近くにない人には残念だけど、
できれば映画館がいい。


この作品、
マンチェスター・ムーブメント、パンク&ポスト・パンク、
いや、それどころか
ロック音楽そのものに興味があまりない人たちにも、
僕のようにジョイ・ディビジョンを聴いたことのない人間にも、

訴えかけてくる何かを感じられる映画ではないか。


ニュー・オーダーの前身、ジョイ・ディビジョンなんてバンド知らないっていう若い人も多いかも。 ニュー・オーダー自体も知らなかったり。

僕も 数年前の映画 「24アワー・パーティー・ピープル」 で初めて知った。


主演のサム・ライリーはホントに新人かと思うほど存在感がある。
詩の朗読は様になっているし、違和感がない。

妻役のサマンサ・モートンの演技はキャストの中で最も賞賛されるべきだろう。
この女優、映画に奥行きを与え、なおかつ引き締めている。

他の俳優、演出、脚本もいい。

そして、いわずもがな、映画でかかる音楽は最高にカッコイイ。

ジョイ・ディビジョンの曲だけでなく、
デビッド・ボウイ、イギーポップ、ロキシーミュージック、ベルベットアンダーグラウンド、(そして当然ながら)ニュー・オーダーなどの曲も
それぞれのシーンで意味のある適切な使われ方をしていて好感だ。

しかし、
この映画で最も素晴らしいのは、

撮影だ。

全編モノクローム。 

けれど、映画館で観ていた僕には、
最初から最後までなぜかとてもカラフルに感じた。

モノクロなのにカラフルに感じるって不思議だけど、
ホントにそう感じる。


シーンや場面が変わるごとに、
実はモノクロの色合いも微妙に微妙に変わっているのがよく理解できる。

緑が少し入っていたり、赤や青がほんの少し混じったモノクロ画面だったりする。

さすがもともとはフォトグラファーが監督しているだけあって、
カット割りや構図、ピントの合わせ方ぼかし方、
光と影の使い方などはものすごくカッコイイ。

プロのカメラマンが観ても、スタイリッシュで楽しめる画面じゃないかと思う。


マンチェスター、パンクあるいはポスト・パンク、ミュージシャンの物語
などの観点から、

「シド&ナンシー」 や、 「24アワー・パーティー・ピープル」

などの映画も参考になる。 お楽しみあれ。

♪ テーマ曲 「Love Will Tear Us Apart」 by Joy Division ♪
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by y_natsume1 | 2008-03-29 19:09 | 過去の映画評「か」

映画 「花様年華」(2000) ~チャイナドレスにため息を~

2007年6月10日(日)。

近々僕が上海に出張するという話を
僕の相方から伝え聞いたうちの姫(8歳)が、

いいなぁ、チャイナドレスの本場で・・・・・、と言ったらしい。

チャイナドレス、買ってきてくれないかなぁ・・・・ (→そりゃたぶん無理だ、体中のいろんな細かいサイズとかわかんないし、仕立てには日数がかかるだろうし。 あとで横浜中華街で買おうかしらね)。

中国、いいなぁ (→僕だってこう見えて中国なんか初めてだ、香港さえ、まだ行ったことない)。

なんだか、小学3年生なのに実に大人びた嗜好だことで。

そんなこんなの会話から、

じゃあ、チャイナドレスに興味のある姫に、
ピッタリの映画があるよ、

とDVDで見せたのが、
ウォン・カーウァイ監督の 「花様年華」 (2000年 香港)。

1960年代初め頃の香港が舞台。
(シンガポールや上海などもこの映画の展開上、関係がある設定だ。)

以前から繰り返しDVDで観ている、僕のお気に入り作品の1つ。

映画の中でマギー・チャンは20種類以上もの、
しかも首まであるピッタリとした昔風のチャイナドレスを、
みごとに着こなしている。

ベトナムのアオザイでもそうだろうけど、
ジャストサイズのチャイナドレスでは少しも太れないはず。
撮影中、体型をスリムのまま保つのは大変だったろうと思われ・・・。

色柄やデザインも、とてもステキ。

ため息が出るほど美しい衣装だ。

映画で流れるナット・キング・コールの 「キサス・キサス・キサス」 は、
実はキミ (=姫のこと) のおばあちゃん (=僕の、継母ではなく実母の方) がいっちばん好きな歌だったんだよ、
と言ったら、
姫はちょっと驚いた表情をした。

姫にとって、
この映画と チャイナドレスと 父(僕)の出張と 祖母(僕の実母)の好きな曲と、
そういうのが全て、
シンクロニシティのように、この瞬間に1本の線でつながったから、かもな。


映画自体は字幕スーパーだし(吹替えにしなかった)、
ストーリーは子供向けではないし、
数分間で姫はつまんなさそうにしてたので、
あとはいろんなドレスを見せるがための早送り攻撃。


今回、メイキング・フィルムを初めて観てみたら、
使われなかったカット(エピソード、セリフ、シーン等)がけっこうあって、
まるで別の映画がもう一本できそうなぐらい、
印象が違ってみえた。

そりゃ、この「花様年華」は、
「欲望の翼」の続編(姉妹編?)、「2046」へと続くプロローグ、
という位置づけではあるのだが。


ともあれ、
こういうムードのある、大人の映画があるというのは、
僕にとっては幸せなことだ。

それで、姫、
キミはどのチャイナドレスが気に入った??

♪ テーマ曲 「キサス・キサス・キサス」 
              by ナット・キング・コール ♪

関連記事:

「ソウル・バーの夜(4) ~キサス・キサス・キサス~」
「Blue Train」
「シンガポール出張(7) ~チャイナ・タウンの休日~」
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by y_natsume1 | 2007-06-11 19:41 | 過去の映画評「か」

交渉人 真下正義 (2005)

駄作とまでは言わないが、かなり疑問符のつく作品。

いくつかの点を除き、全体的、表面的にはとにかく面白く見せてはくれる。
そういう意味ではけっこう楽しめるエンターテインメント作。
スピーディーな編集も好感が持てる。

昔の映画のタイトルが、犯人とのやり取りで材料に使われているのも、映画ファンには嬉しい。
「ジャガーノート」なんて若い人は知らないかも。

全体的な展開は米国映画「サブウェイ・パニック」(1974)のストーリーにかなり近いと思う。
というより、基本的な設定はほとんど「サブウェイ・パニック」のパクリと言ってもいいかも知れない。

地下鉄司令室の國村隼の役も、おそらく「サブウェイ・パニック」のウォルター・マッソーがやった役柄を参考にしていると思われる。

けれど、軽い。 悪い意味で、全体が、軽い。
なぜか。

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by y_natsume1 | 2006-04-08 19:01 | 過去の映画評「か」

コーヒー&シガレッツ (ジム・ジャームッシュ監督)

モノクロのオムニバス作品。

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どのエピソードも登場人物がタバコを吸い、コーヒーを飲みながら、ヒトクセある会話を進めていく、モノクロのオムニバス映画。

キャスティングと組み合わせの勝利。
バラエティに富んだ個性丸出しの俳優たち。
特にケイト・ブランシェットの一人二役演技は秀逸だ。
トム・ウェイツも以前からファン。

時々カットインされる、真上から撮ったショット、あれ、いいね。

何日か前に、眠れなくて、
ジャームッシュの新作ってだけで発売直後に衝動買いしてあったこのDVDを
やっと観たんだけど、
深夜に観るにはけっこう良い雰囲気の映画で満足。
鑑賞のお供はやはり、コーヒーとタバコか。

僕なら、カップにたっぷり注いだカフェオレと ゴロワーズ、といきたいところだ。
いや、深夜なら、やはり、酒 か(苦笑)。
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by y_natsume1 | 2005-12-13 19:42 | 過去の映画評「か」

恐怖の時間 (1964) 東宝

詳しくはgoo映画をご参照のこと。

エド・マクベイン原作。 モノクロ。 未ビデオ化。
たまたまケーブルテレビで放映してたやつを、数日前に観た。
良質のサスペンス。
とっても面白かった。 これ、いいね。

この映画の制作から40年以上たった今観ても、サスペンス度や面白さはまったく色あせていないと思った。

やはり、サスペンスものには、ある程度年数が経っても鑑賞に耐えうる何かがあるのだろう。

犯人役の主演・山崎努はなかなかの好演。 
彼だけでなく、刑事役の志村喬、娼婦役の小林哲子なども存在感があって、とても良い演技をみせる。 

緊迫感を盛り上げるような編集や、独特のカメラ・アングルもすばらしく、好感。
ジャズを主体とした音楽も秀逸。 音楽がフィルムにとても合っている。
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by y_natsume1 | 2005-08-17 19:18 | 過去の映画評「か」

拳銃(コルト)は俺のパスポート


1967年日活映画。モノクロ。主演・宍戸錠。

これはなかなかのハードボイルド作です。主人公の狙撃者はあくまで無口でニヒルでストイック。女よりも弟分の命を優先するような美学がある。これはモノクロ作だからよかったんだろうなあ。

1960年代のフランスのヌーベル・バーグとフィルム・ノワールを足して2で割ったような路線を狙ってたような雰囲気(足して2で割るって何だそりゃって言われそうだけど・・・)。
細かい点ですが、例えば宿屋の女主人のオバちゃんは、台詞といい存在感といい、昔のフランス映画の趣きさえあると感じました。

埋立地での銃撃戦は秀逸。銃撃戦の前に入念に準備をし、対策を練る主人公は、まるで精密機械のようなゴルゴ13だ。これまでエースのジョーのように、どこかコミカルでギャグを飛ばすキャラを演じることが多かったけど、そこから離れて、ストイックな男を演じた宍戸錠の、代表作の一つだろう。

鈴木清順監督の「殺しの烙印」とはまた違ったテイストの宍戸錠・主演作だ。
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by y_natsume1 | 2004-12-15 21:46 | 過去の映画評「か」

CASSHERN (改訂版)


2004年11月22日の記事に追加したい部分が出ましたので、今回、改めて再エントリです。

<今回のフォローアップ部分>

この映画のテーマは、もしかしたら終末思想もさることながら、「新しい種族の誕生」、「人間の進化の果てにあるもの」、なのかもしれません。

実はものすごく深いテーマがありそう。

某飲み屋で知り合った映画通の人が、上の話をしてくれました。唐沢演じる新造人間のボスは、現代の、生き残りをかけた某少数民族の首領にも重なって見えます。そしてキャシャ―ンとルナは描かれ方からしても、それほど重要な主人公には思えない。

やはり、新しい種族の誕生とその可能性を描いているのではないか。その意味でも、唐沢寿明、一世一代の名演技となった作品でしょう。

そして、宮迫さん演じる新造人間も、「ノートルダムのせむし男」を思わせるほど、シュールで高い存在感。美女を愛する醜い新造人間。切ないせむし男を思わせます。

更には寺尾聡演じる博士の狂気、エキセントリックさ。もう、薄気味悪い笑顔がイッちゃってます。

唐沢と宮迫と寺尾、この3人の俳優は、ただ者ではない、おみごと、と改めて思った次第。

<前回の映画感想内容>

シロウトの映画ファンがコメントするのはとても難しい映画だと思った。プロの批評家が書いた映画評でも賛否両論分かれていた。僕は個人的には嫌いな部分もあるけど、好きなところもいくつかある作品です。

少なくとも、CGを多用したキャラクター設定や背景の映像は(マンガと変わらないじゃないかという批判もあろうけど)マニアを唸らせるほどのすごい出来栄えだし、終末戦争にも似た設定で反戦思想を描いたテーマ性も高く評価されるべきだと思う。

演技が下手な(ように見える)テツヤとルナの役の主演二人は、まぁ、しょうがないか。誰が誰のために戦っているのかよく分からない点は、実はそれこそイラク戦争の意義・大義がどこにあるのかというテーマと同調するのだ、と作者は言いたかったのではないだろうか。もしそうであれば、この映画自体は混沌とした展開でよいのだ、とも言える。はたしてどうだろうか。

「21グラム」でも似たようなシーンが数回出てきましたが、大木にとまっているように見えたカラスが不気味な空に何羽も飛ぶところが時々出てきます。それでふと思い出した。ゴッホの遺作と言われている「カラスのいる麦畑」という絵。この絵の写真を最初に見て衝撃を受けたのは小学生の時。その後、アムステルダムのゴッホ美術館で実際に見たことがあるのだけど、その不気味な感覚は、この映画の狂気のシーンにも共通するのかも知れない(・・・だってこの絵を描いた当時のゴッホは、もう死ぬ間際で少々精神に異常をきたしていたそうだから)。

宮迫さんが良い演技というか、高い存在感を出しています。いいですよ。

子供の頃にフジTV系で「新造人間キャシャーン」のアニメを毎回観てましたが、今回の実写版映画はそれとはだいぶ違うテイストだったなぁ。アニメだと、アンドロ軍団のボスは唐沢寿明とは程遠い不細工な設定だったし、テツヤもルナももうちょっと少年少女って感じだった。

「ヤルッツェ・ブラッキン!」
なんてセリフ知ってる人は、相当マニアかオジサンです。
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by y_natsume1 | 2004-12-15 14:57 | 過去の映画評「か」

コンフィデンス



スタイリッシュな犯罪詐欺映画を作ろうとして大コケしてしまった作品、かなぁ。制作スタッフや俳優たちはけっこう頑張ったとは思うし、一見すっごく面白い映画と言えなくもないが、冷静に考えると粗が目立つ。狙いは良かった。若き日のリチャード・ギアを彷彿とさせる主演のエドワード・バーンズのモノローグはお見事。レイチェル・ワイズも魅力的だし、ダスティン・ホフマンもベテランの名演技だ。場面が変わるところのカットもセンス良いし(←そこはホントに個人的に気に入っている)、ラストの主題歌もカッコイイ。しかし、それらを帳消しにしてしまうほど決定的にダメなのは、過去の経緯を回想形式でたどるストーリー構成そのものだ。編集と構成がまるでダメ。過去と現在の時間のつなぎ方が下手。あれじゃあ、観客はストーリー自体が分かりづらいでしょうに。もしこの作品を観てストーリー展開が分かりやすかったという観客がいるなら、最初から筋を追って僕に教えて欲しいものだが。

↓以下ネタバレ含みます↓

映画のラストで、観客に前触れなく映画のキーポイントを何でもぶちまけるやり方も、推理を含んだ犯罪映画においてはあまり感心できない。段階を追って適所でネタばらしをしていくべきと思いますが、いかがでしょう。
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by y_natsume1 | 2004-11-12 22:26 | 過去の映画評「か」

グッバイ、レーニン!



オススメするかしないかギリギリの惜しい映画だけど、あまりオススメしたくない。舞台は東ドイツの東ベルリン。ベルリンの壁が崩壊する前夜、心臓発作で倒れた母。その後昏睡状態が数ヶ月続く間に、東西ドイツは統一に向かって進んでいく。西側から流入するコカ・コーラやバーガー・キング、音楽、ファッションなどの生活文化。昏睡から覚めた病床の母を驚かせないようにと、元の旧東ベルリンの社会主義ライフスタイルを演出しようと躍起になる主人公の男の子。彼の演出する旧東ベルリンは、映画的にはある意味でポップ・アートのようにカッコよく映る。ヘリコプターがレーニン像を吊るして街なかを運ぶシーンは象徴的だ。映画とは直接関係ないけど、ピンクフロイドの、豚が工場の上を飛んでいるジャケットのアルバムを思い出したほど。
この映画の作者の、旧東ドイツという、かつては存在した一つの国に対する愛着やオマージュでいっぱいの映画であるのは確かだろう。ハリウッドのおバカ大作映画ではできないタイプの、良質な作品。それはそれで良い。ただし、この映画の作者はいわゆる「お人好し」なのかもしれない。人間とは本来はもっと性悪で意地悪でドロドロしたものではなかろうか。この映画には悪人が少な過ぎ。もう少し登場人物に多様性があって、意地悪なヤツがいたっていいでしょうに。だから本質的な部分で何となくオススメしづらいのだ。
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by y_natsume1 | 2004-11-12 22:25 | 過去の映画評「か」

顔役暁に死す

1961年東宝。カラー作品。原作・大藪春彦、監督・岡本喜八、主演・加山雄三。
ストーリー: アラスカから5年ぶりに倉岡市(架空の地方都市、出てくる車が「静」ナンバーだからおそらく静岡を想定?)に戻ってきた次郎(加山)。前市長だった次郎の父親が狙撃によって死亡したため、その真相を突き止めようとする。地元ヤクザの抗争を下敷きに、軽快かつスピーディーな岡本監督の演出が冴える。

実はこの作品、オススメ映画シリーズ第2弾で既にご紹介済みですが、僕自身、TV放映で一度観ただけでものすごく気に入ったもの。今までビデオ化もDVD化もされていないから、皆さんにご覧になって頂きたいと言ってもTV放映でもない限り実はほとんど不可能なのでした。すんませんね。それをまた性懲りもなくここでオススメしてしまうのは、最近、都内の某名画座まで足を運んでこの作品を観ることができたから。やはり、たいていの邦画なら今後も映画館で観るチャンスが意外にあるかもしれないと思ったわけです。この映画の出演者の1人、中谷一郎の追悼特集がその名画座で組まれてて、そのうちの一本でした。映画館で改めてフィルムを集中して観たら良い所がいっぱいありました。もちろん、ダサくて良くないところも。超オススメのアクション映画。昭和30年代の日本のアクション映画を今の時代に映画館で観ること自体、ちょっとオシャレだと思いませんか?


↓以下ネタバレ含みます↓

良い所:

・演出と編集がスピーディーで小気味いい。日本映画にしては珍しいくらいだらけた感じがしない、テキパキした映画。

・小道具の使い方やそれを撮るカメラのアングルがいい。ライター、写真(ネタバレになるので詳しくは書きません)、ライフルの薬きょうなど。

・根本刑事(堺左千夫)が手を震わせるシーンで手をアップで映し、過去に遡って「その手」がしでかした過ちをたどるシーン。

・次郎(加山雄三)が取調室によくあるような卓上ライトをがんがん叩いて本職の警部をやりこめるシーン。取り調べてるのは実質的に主人公の次郎だと暗示してる。

・次郎の父の後妻にあたる久子(島崎雪子)がすごく色っぽくていい女。昔にもいたんですね、こんなにフェロモンいっぱいの女優さん。この女優さんを映画館のスクリーンで観るだけでもこの映画を観る価値がある、と僕は独断と偏見で主張します(笑)。単にお前の好みなだけだろ、と言うなかれ。観ればその存在の良さが分かるはず。ちなみに島崎雪子は「七人の侍」にも出ているし、実生活ではあの神代辰巳監督と結婚していた時期もあります。

・中丸忠雄は今で言うと、ジョン・トラボルタ系の顔つき。笑ってしまうほど。トラボルタのファンには悪いけど、爆笑モンです。

・元ボクサーの用心棒役の俳優が、怖いぐらい「いってる」感じを出してて、その怪優ぶりというか気持ち悪い存在感がいい。

・田中邦衛の着ているスーツから少しだけ見えるベストの赤い色がステキ。鮮やかでいい「赤」です。

・トラックを修理しているヤクザの組員二人のシーン。上から撮っているのですが、二人で修理しているけど、1人は頭だけ、もう1人は足だけ出しているから、胴体の長い1人だけが修理しているように見えてしまう、冗談っぽいアングルの演出が素晴らしい。


良くない所:

・狙撃犯スナイパー役の中谷一郎はミスキャスト。顔つきが優しすぎて、暗黒街の人間に見えない。さらに脚本上の設定とはいえ、主人公と仲良くなりすぎ。気持ち悪い。

・セリフがわざとらしいのはこの手の映画によくあることとして我慢もするが、普通に話してるセリフの途中でいきなり大声で怒鳴るのはいかにも不自然。

・加山雄三のお坊ちゃま度はとてもいいのだけど、彼が主演じゃ、ハードボイルドな感じが出ずに、かえって青春してしまう危うさがある。しょせん、アクションは日活が最高なのだと思わせてしまっては元も子もないのだが、そう感じざるを得ない。(ただし、この作品自体は僕はすごく好きです。)
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by y_natsume1 | 2004-11-09 17:52 | 過去の映画評「か」