あまりにも魅力的だった川島誠の原作の良さを生かしきっていない。これではセックスと同性愛と近親相姦をスパイスにしただけの単なる青春メロドラマにしか見えない。製作スタッフはかなり頑張ったんだろうけど・・・。野村祐人はミスキャストかもしれない。図々しいほどの野性的男子生徒役としては悪くはないが、どうも原作のイメージに引きづられると、今ひとつかなあ、という気もする。本人がよくやっていたのは感じられたけど。野村祐人がやった龍二の役は例えば、20歳位の頃の高島政宏あたりなんかの方が良いんじゃないかと思った。女性ハードル競技者役も、ひいき目に見ても走るフォームがシロウトすぎる。さすがに走るフォームのきれいな陸上部出身の鈴木京香をキャスティングせよとまでは思わんが(「サトラレ」参照、明らかに演じる役とキャラが違うからねぇ・・・)、もっともっと陸上競技の経験ある役者をキャスティングして欲しかったなぁ。いや、実はあれでも陸上経験者を選んだんだと言われたら、もう返す言葉もないですが。 野村祐人が友人の妹とラブホテルでカラオケするシーンは、省けとは言わないけど、歌っているシーンをフルコーラスで流す必然性が分からなかった。あんなの途中で切れよ。主人公二人がトラックを走るシーンは、さすがにあれでは遅すぎるでしょう。周りの他の競技者役の方がホントはもっと速く走れそうという気がしてくるぐらいだ。でも良いところもあるよ。松岡俊介という俳優そのものを発掘できたことと、野村祐人が川崎近辺の夜明けの街中をひたすら走るシーンが秀逸だったこと。こういうのはいいね。