押井守(「攻殻機動隊」)が原作・脚本。第二次大戦終了から10数年後の架空の東京が舞台のアニメ。反政府都市ゲリラと公安の特殊部隊との攻防を背景に、主人公の特殊部隊兵士とテロリストの少女とのはかない愛を描く。「赤ずきんちゃん」のお話を上手く使用している。ある意味でこのお話はシュールで怖いよね。昭和30年代を思わせる都市風景は特筆すべきものがある。描くのにどれだけの予算と労力を使ったのだろうと思われるほど、素晴らしい。映画は昭和30年代の架空の東京を舞台にしているのに、何だか自分も子供の頃にそこにいたかのような、懐かしい気分にさせてくれる。特に路面電車が動いてきて停車し、乗客が降りるシーンは、アニメでは非常に描くのが難しかっただろうと想像されます。アニメーターたちを賞賛したい。市街戦や地下水道の場面に出てくる建物は、大阪の中ノ島図書館や阪神百貨店などを絵のモチーフにしてるんだってさ。無口な主人公がつまらないとか、ナレーションで設定やストーリーを説明しすぎとか、一般映画ファンの否定的意見はあるらしいけど、好き嫌いは別にして非常に完成度の高い映画だと思う。子供よりも、大人向けのアニメーション。