こんなヤクザ映画をオススメするのはちと勇気がいるのですが。
主演の高橋克典はとても頑張っているけど、ヤクザ向きではない。ミスキャスト。かっこよすぎ。
それより渡辺謙や夏木マリなんかの演技を見ていると、もう脱帽って感じ。
特に渡辺謙はヤクザ役がはまってる。ただ者ではない。
小林念持は、昔の金子信雄が演じた組長キャラを引き継いだようだけど、その意味では大根役者ぶりが生かされている。
僕はこのシリーズは全部観てきたけど、何といっても2作目の「仁義なき戦い 広島死闘編」(1973年ごろ?)が最高傑作だと思う。深作のハンディカメラを多用した演出(それまではハンディカメラ自体が珍しかったはず)、ラストの粒子の粗いフィルムシーン、そして北大路欣也と千葉真一の大熱演のお陰で、広島死闘編がやっぱりサイコウ。
ということで、この「新・仁義なき戦い 謀殺」は、シリーズ最高作とは言えないかもしれないけど、しかし、他の東映Vシネマシリーズ程度のヤクザものより、よっぽど気合入れて丁寧に作ってるのがわかる。
しかもこの監督はこの「新・仁義なき戦い 謀殺」が初監督作だとか。初にしては良いデキ。
信じるべき人間をだんだん信じられなくなっていくヤクザたち・・・これはある意味シェークスピア悲劇のプロットにも通じるのでは?