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雨のシンガポール (7) ~片手だけじゃ音は鳴らない~

2008年3月某日。

シンガポール Day #2 (その3)。

♪ テーマ曲 「Miss Misery」 by Elliott Smith ♪ 

(この曲を何度もかけながら、今回の文章を書いている。 本当に相手は僕を必要としてくれているのだろうか・・・・・、そんな歌詞は、アジアに片思いのような恋をしているくせに素直になれずに斜に構えている今の僕に、ピッタリだ。)

****************

夜9時過ぎ、ゲイランから龍の車でチャンギ空港へ移動する。

食事も買い物も人に会うことも、
全てが濃密な2日間だった。

車の中で龍に聞く。

濃密って英語でどう言うんだ?
squeeze two days (ぎゅっと絞った2日間)か?


あぁ、それなら compact two days かな。


ふーん。 そうか。
お前のおかげでホントに濃密だったよ、今回の2日間は。


そりゃどうも(笑)。
俺はヨシがシンガポールに来たときは、いつもCEOやってやるよ。
お前の世話係、Chief Entertainment Officerだ(苦笑)。



なぁ、龍、
また皆で一緒に旅行したいもんだな。
そう何回も行きたいって訳じゃないんだけどさ。


いいな。 前は箱根の温泉だったろ。
今度は日本のスキー場なんかどうだ(笑)。



いやぁ、龍、オレ、スキーは、ちょっと・・・。

*********


それにつけても、今回のシンガポール2日間は、
濃密ではあるけれど
微妙に何かが違っていたような気もする。

ほんの少しの違いなのだけど、何か、決定的な違い。

歳をとったせいなのか、
興味や好奇心が薄くなったせいなのか、

それが何かは分からないけど、
少し東南アジアが遠くなったような気がする。

今回はほとんど雨で、
涼しくて、熱帯の気候じゃなかったことが、
微妙だけど決定的な違いを感じさせているのだろうか。

ほとんど雨っていっても、たった2日間のことだから
それぐらいはいつもあり得ることなのに。

・・・・・・ 太陽はこの2日間、
         ずっと泣いていた、ということか。

僕にとって、今も東南アジアの匂いや雰囲気が好きなことに、
変わりはないのだけど。


龍から間接的に聞いたのだが、
龍のシンガポール人の同僚(男)のエピソードがある。

その人が以前、ある娼婦と会話した時のことだ。

「キミをすごく気に入った。 気持ちよかった。 スタイルも顔もタイプだし」

「ありがとう。 でもね、あなたが私を気に入ってくれたのなら、そういうときは相手(私)も同じような気分・・・じゃないかな。 私も気持ちよかったわよ(笑)。 よく言うでしょ、手を叩いて音を出すには両方の手が必要だって。 片方だけじゃ、決して音は、出ない。 それと、おんなじかな・・・・・・・」



・・・・・・ 僕はこの話を聞いて、

もしかしたら娼婦というものは、
世界で最も文学的でユーモアに富んだ存在の一つなのかもしれない、

とさえ思った。


僕がこの東南アジアを、南洋を、好きでいる限り、
東南アジアの側も、僕をいつも温かく受け入れてくれるといいのだが。

************

・・・・・・ 龍の車はチャンギ空港のT2に到着する。

車を停めたせつな、
僕も龍も同時に同じことを口にする。
家族によろしく伝えてくれ、と。

龍は苦笑する。 同じこと言ってるな、俺たち。

じゃ、またな。

握手して別れる。

僕は右手でスーツケースを引く。

左手には、
ホテルでチェックアウトする時にもらってきた小さめの青リンゴが1個ある。

青リンゴ。

今のうちに食べとかなきゃな。
果物は、原則持ち込み禁止だからな。
と思いつつ、搭乗手続き。

パスポートよし、ボーディングパスよし、
携帯電話の電源は切って、村上春樹の文庫本を持ち・・・・。

ほろ酔いの赤ワインが今この瞬間もボサノバと甘美なデートを続けているといいなぁ、
と思いながら、

出発ゲートをくぐる。


・・・・ おっと、 青リンゴ、 どこだ? どこいったっけ??

♪ テーマ曲 「Miss Misery」 by Elliott Smith ♪

(終わり)

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by y_natsume1 | 2008-04-26 21:29 | シンガポール
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