少し前のことになるけれど、ある夜、ある人と話す機会があった。
その人は、プロのクラッシック歌手で、一本芯の通った人とお見受けした。
白いワンピース。
そのワンピースにはオリンピックの輪のような、カラフルなデザインの輪がいくつもあしらわれている。
品のいい、ステキな夏の装いだと思った。
歌のこと、京都のしがらみ(?)のこと、サラリーマンとは違う種類のプレッシャーみたいなものがあること、好きな食べ物のこと、・・・・ いろんな話をした。
ときおり見せる、意外と人なつっこい笑顔。
見なくていい世界を既に見た人なのかもしれない。
見なければいけないいくつかの世界は、これから先も、ある意味ずっと見ることのない人なのかもしれない。
僕は、アーウィン・ショーの短編小説集
「夏服を着た女たち」 を思い出していた。
この夜のいっときの会話は、あのように洒落た、ニューヨークの短編小説集には及ぶべくもないのだろうけれど、少なくともその夏服を着た歌手は、なんとも魅力的だったと思う。
このけだるい夏の夜に、その歌手の、
更なる成功を祈ろう。
♪ テーマ曲
「木蘭の涙」 by スターダストレビュー♪