2006年6月30日(金)。
この日、職場で、ある人が定年退職した。
いわゆる職人気質の、「手強い頑固オヤジ」。
出世という点ではあまり良くない場合もあるかもしれないけれど、
歯に衣着せぬ感じで、正しいと思ったことは上役に対してさえも、はっきり言うタイプ。
でも、決して尊大でも無礼でもない。
とても礼儀正しいジェントルマンだ。
そして、嘘をつかず、相手の肩書に応じて態度が違うということもない。
年下の若い社員にも役員にも、誰に対しても同じように誠実な対応をとる人だ。
僕は彼をかなり尊敬している。
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・・・・ 彼は、静かに言う。
「取り立てて能力も取り柄もない私ですが、ここまで特に大きな問題も起こさず、なんとか無事に勤めあげることができました」
と。
カッコいいと思った。
誰にでも言える言葉ではない。
なんとか勤め上げる、それが平凡なようでいてどれだけ難しいことか。
何年もかけて何かを積み上げてきた人が、やっと言える台詞なのだ。
取り立てて能力も取り柄もない、なんてことはなくて、実は彼は英語スキルも含めてかなりの能力の持ち主だ。
大きな問題だってなかったわけではなくて、問題が起きそうになったことが何度かあったのに、彼の手腕で未然に防いだだけなのだ。
それが、過去のファイル資料からもよく分かる。
最近、こういう職人気質の 「手強い頑固オヤジ」 が少なくなってきたような気がする。
ちょっと、淋しい。
この日の夕方、
普段と変わらずにオフィスを出ようとするこの職人気質のオヤジに、
僕は、心からの感謝とエールを贈った。
♪テーマ曲
「The Way It Is」 by Bruce Hornsby & The Range ♪