2006年2月26日(日) 雨の中、休日出勤。
何とか仕事を終えての夜の帰り道、
僕は青い傘をさして歩いていた。
正直、かなり疲れてた。
雨は小降りになってきている。
向こうの路上に赤い傘をさした女性がいるのが見えた。
錯覚だろうか。
通り過ぎるとき、
なんとなく、「アイツ」に似ているような気がした。
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まさか・・・・・。
こんな場所に、こんな時間帯に、アイツがいる訳もないのに。
あり得ない。
そんなことをボーっと考えながらその赤い傘の女性のそばを通り過ぎ、
少したって振り返ったら、
その赤い傘の女性は
いつの間にか
消えていた。
願望が作り上げた蜃気楼みたいなものだったのか。
少し、風が吹いた。
・・・・・ 最近の風は、もう真冬のそれではない。
まだまだ冷たい風には違いないけれど、
春がだんだんと近づいていることを知らせてくれるような、
ほんのちょっと温かみを含んだ風だ。
このところの雨も、季節変わりの雨なのかもしれない。
吹いてくる風の肌触り、空気の湿り具合、雨の匂い、雨に濡れた木の葉の匂い、濡れたアスファルトを 車のタイヤが擦る音。
僕はこの夜、どうしてだかいろいろと感じた。
季節がほんの少し、けれど確実に、変わる予感がした。
日本の四季の移り変わりはステキだ。
季節は一挙に変わるものではない。
冬が春に変わるのも、暖かくなったり、寒の戻りがあったりして、少しずつ変わってゆくものだろう。
冬の雨の夜、僕は青い傘をさして家路につく。
家に着いたら熱燗を飲もう。
暖かい日本酒で体を温めながら、もうほとんど聞こえなくなった雨音を楽しもう。
今夜、あなたもどこかで この雨音を 「聴いて」 いるだろうか?
♪ テーマ曲
「Left Alone」 by Mal Waldron♪