遅ればせながら、傑作である。
一つ一つの文章が短くて、簡潔で、生き生きしている。
章割りも短くて、スピーディーに感じる。
主人公マコトの視点がユニーク。
読んでいて、下手な推理サスペンスよりもよっぽどワクワクする良質のハードボイルド探偵モノだ、って言いそうになる。
TVドラマを先に観たので、原作と違う部分に多少とまどった。
けれど、窪塚洋介の演じたGボーイズのキング=タカシはまさにハマリ役だったんだと思った。
TVドラマもデキが良かったし、そもそも原作とTVドラマを同じ土俵で比較するのはナンセンスなんだけど、どちらかといえば、僕は原作の文章や文体そのものに惹かれている。
センスの良いセリフ。
特にマコトとタカシの会話のやり取りはサイコウだ。
会話と呼べるほどの会話は実はとても少ない。
必要最低限の、たった一言か、二言だけなのだ。
けれど、二人の会話には鋭いナイフで短く切りつけ合うような緊張感と、それでいて不思議な友情感覚が漂っている。
オススメ。